「対話力」をテーマに介護関係者向け研修を行う

先週末に、介護関係者向けのコミュニケーションに関する研修をおこなってきました。今回は、「対話力」がテーマです。相手の気持ちをどう受け止め、どう返せばいいのかを具体的な場面に即して考えていただきました。

話し相手になる時には、相手の感情面に意識することが大切です。言葉の裏にはいろいろな思いが隠れています。同じ言葉でも、人によって隠れている思いは異なります。時には、話題をふることで相手の言葉を引き出そうとしていることもあります。いくつかの可能性を考えることが必要です。言葉に潜む感情を察知し、相手の気持ちを想像しながら会話をすることが重要になります。注意してほしいのは、相手の感情に対して「気持ちがわかる」と安易に同調しないことです。特に負の感情の場合、相手が自分の体験をわかるはずがないと反発する可能性もあります。また、「そんなことはないですよ」という下手な励ましは危険です。相手の言っていることをそんなことは「ない」と否定しているからです。負の感情を含めて丸ごと受け止める、理解していることを伝えることが必要になります。「相手の言葉をまず受容する」「相手の気持ちを引き出す」「別の可能性を相手に気づかせる」「前向きな言葉を相手に言わせる」といったカウンセリングマインドで接することが大切です。

「自分は話し下手でまわりの人と上手くなじめない。まわりの人は私といても楽しくない」と考えてみんなの輪に入ろうとしないが、実は入りたいと思っている方に対してどのように対応すればいいかという課題に、グループで取り組んでいただきました。対話を考えてもらえればと思っていましたが、素晴らしい対応を考えたグループがありました。
自分たちが話をしてもなかなか動いてくれない方もいる。また、特定の人にかかわってばかりはいられない。そこで、声をかけてくれそうな方の横に座席を設定するという対応です。人は何か課題に直面した時に、自分が対応しようとすることが多いのですが、そうではなく、第三者を上手く活用するのです。その手段として環境を変えるという発想です。学校でも通用する考え方です。もし、上手くいかなければ、また別の人と組み合わせればいいのです。時間をかければきっとその方にあう方が見つかることでしょう。その方との関係を軸に、他の人と関係を作っていけばいいのです。
さすがは毎日現場で実践をしている方々です。私も学ばせていただきました。

最後に、相談事をされた時の対応についてお話ししました。相談は、自分の決定を後押ししてほしいだけのこともあります。そんな時、いくらこちらの考えが正しいと思っても、そのことを強く主張しすぎると反発を招くこともあります。相手の考えを否定しないように注意しなければなりません。人の数だけ考え方があることを忘れないことが大切です。
また、相手が相談するということは、信頼してくれているということです。その信頼を裏切るような行為をしてはいけません。プライベートなことは、たとえ職場の仲間であってもしゃべらないようにする必要があります。もし、他の職員にも話す必要があると考えたら、必ず本人の許可を得てほしいと思います。

この日も、職場での実践に基づいた対応からたくさんのことを学ばせていただきました。よい勉強の機会を得ていることに感謝します。
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