「チェックする目」から「育てる目」へ

私が教師時代に生活指導を担当していた時期があります。女子のスカートの丈、靴下、男子の制服のボタン、生徒とすれ違うときには必ず服装をチェックしていました。もちろんルール違反がれば指摘をして直させます。私の姿を廊下の端で見つけると隠れる生徒もいました。いつの間にか私の目は、生徒を「チェックする目」になっていました。

学校を訪問して、笑顔が少ないと感じることがあります。その場合、かなりの確率で教師の子どもたちを見る目が、この「チェックする目」になっているのです。別の言い方をすれば、「悪いとこみつけ」です。規律を守れていない、できていない子どもを注意しようとする姿勢です。「チェックする目」はどうしても表情がかたくなります。教師の表情がかたければ、子どもたちも笑顔になりません。
「できない子どもを減らすのではなく、できる子どもを増やす」という発想を持ってほしいと思います。できる子どもを増やそうとすると子どもをほめることになります。できた子ども、できている子どもをポジティブに評価することで、他の子どももほめられようとまねをしてよい行動が広がっていきます。ほめることが、できる子どもを増やすのです。

学級の規律でいえば、できていない子どもより、できる子どもの方が多いはずです。たくさんの子どもをほめる機会があります。たとえできていなかったとしても、できるようになればほめることができます。できる子どもを増やそうとすれば、自然に多くの子どもがほめられ、学級の雰囲気がよくなっていきます。一方、できない子どもを減らそうとすると、特定の子どもばかり注意されることになります。できるようになるまで、集中的に注意をされることになります。できる子どもも友だちが注意をされる場面を見せられるのであまりよい気持ちにはなりません。学級の雰囲気が悪くなります。

「できない子どもを減らすのではなく、できる子どもを増やす」という発想で、子どもたちのできていないところを「チェックする目」から、できているところを見つけて「育てる目」に変えてほしいと思います。
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