他校の取り組みをどう見るか

研究指定校でなくても、新しい取り組みをしている学校がたくさんあります。よい取り組みであれば、他校の保護者は自分の学校でもと願い、学校関係者は自校でもやれそうなことであればやってみようと思う。そこに矛盾はないようなのですが、保護者と学校関係者では若干とらえ方が違うようなのです。

以前は学校の取り組みを他の学校の保護者が知ることはほとんどありませんでした。ところがネットの発達で状況が変わってきました。ホームページを見ればその学校がどのようなことに取り組んでいるのかすぐにわかります。ある方が教育長時代に「保護者はホームページを通じて校長比べをしている」とおっしゃっていたことを思い出します。市町を超えて、面白い学校のホームページを見ている方が増えてきているように思います。毎日のアクセス数が保護者の数を超えている学校もあります。電子メールなどを使っての保護者同士の情報交換もあたりまえのことです。さて、こうなってくると「よい取り組みを我が校でも」というプレッシャーが学校にかかってくることになります。これは学校にとってよいことのように思います。学校側だけで考えるより、保護者からこうしてほしいと言ってもらえた方が、同じ土俵で学校運営を考えることもでき、協力体制がとりやすくなるように思えるからです。何もすべて取り入れる必要はありません。学校ごとに状況は異なるのですから、取り入れるべきは取り入れ、無理なことであれば無理といえばいいのです。要はしっかりと説明責任を果たせばよいことです。ところが、なかなかそうはいかないようです。学校には慣性力が大きく働くので変化への抵抗が未だに強いのかもしれません。保護者や外部からの圧力で変わることへの抵抗感があるのかもしれません。

どうやら後者の方が要素として大きいのではないかと最近は思うようになりました。というのは、よい取り組みを自ら取り入れようとする学校が増えているように感じるからです。ある学校で見た取り組みをよその学校でも目にすることがよくあります。よい取り組みがあれば紹介してくださいということもよくお願いされます。今の時代、学校は変わらなくてはいけなという意識は高くなっているのです。
では、外部の圧力で変わることへの抵抗感があるというのはどういうことなのでしょうか。私がこう感じる理由は、冗談交じりで「○○さん(いろいろと新しいことに挑戦している校長)、もう少しのんびりやってよ」といったことを聞くからです。研究指定校にはどんどん先進的に取り組むように言う教育長でも、自主的な取り組みに対して、市町全体のバランスを考えてほしいということをにおわせることもあります。
自分たち主導で変わることはいいのですが、外部からのプレッシャーはどうも好ましくないようです。外部の圧力で変われば、どんどん要求が増えてくる。理不尽なものも出てくるのではないか。そう考えるのかもしれません。確かに、マスコミの情報や中途半端な知識で流行の教育法を取り入れてほしいといった要求があることもあります。その学校にとっては取り入れ難いことでもきちんと説明して、代替案を示せば間違いなく納得していただけます。取り敢えず意見を聞いて試してみて、その結果を一緒にきちんと検証してもよいでしょう。保護者をうまく巻き込み、協力体制をつくれば、学校としてもメリットが多いはずです。

新しい取り組みが成果を上げ、取り入れる学校がどんどん広がっていくことはとてもよいことです。学校が自ら取り入れるのか、保護者からの願いで取り入れるのかといったことはどうでもよいことのように思います。それは単なるきっかけであり、いずれにしても保護者の合意を得、巻き込みながら進めていくことが求められるはずです。新しい取り組みを応援し合い、互いに参考にしながらすべての学校がよりよい方向に向かっていくことを願います。
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