この時期に子どもに伝えてほしいこと

大体どの学校も授業が始まって最初の土日が終わったところでしょう。忙しい毎日を過ごしている先生方も、ちょっと一息入れて新しい週の始めを迎えていることと思います。ゴールデンウイークまでは、もう少し時間があります。大切なこの時期、もうひと踏ん張りして、それまでに子どもたちに最低限のことを伝えておく必要があります。

一つは子どもたちにどうなってほしいかという目指す姿です。学級、授業の規律と言い換えてもいいかもしれません。チャイムが鳴る前に席につく、話し手の方を向いてうなずきながら聞くといった具体的な場面での行動です(目指す学級の姿を具体的にする参照)。わずかな間に完璧にできるようになるわけではありません。時間をかける必要があります。あせって、できていないことを指摘し続けるのではなく、わずかでもできたことを認めることで伝えていきます。できること、できる人を少しずつ増やしていくのです。大切なのは、できる、できないにかかわらず、4月の内にまずその目指す姿を子どもたち全員が理解することです。4月は子どもたちも緊張していますし、今年は頑張ろうと意欲的になる時期でもあります。これがゴールデンウイークで緊張がゆるんだ後ではなかなか浸透しません。また、最初から多くは無理だからと伝える中身を絞るという発想もありますが、今まで許されていたこと、指摘されなかったことが後になってダメと言われても子どもたちは釈然としません。目指すものだけは明確に伝えておくことが大切なのです。

もう一つ伝えてほしいのは、子どもたちの目指す姿を見ることが教師にとって喜びだということです。子どもたちのよい姿に対して、「えらい」「いいね」「すばらしい」とほめて認めるのはよいことなのですが、こういう言い方はどうしても上から目線にも聞こえます。「うれしい」「ありがとう」といった言葉に変えたり、付け加えたりすることで、子どもたちのよい姿を教師がうれしく思っていることを笑顔と共に伝えるのです(主語を意識する参照)。このことを伝えることで、よい行動がほめられるためのものでなく、喜んでもらうためのものに変わります。教師が自分を一人の人間として受容し認めていると感じ、自己有用感が増すのです。今後1年間の学級経営や授業を支えてくることになります。
注意してほしいのは、このことがきちんとできるようになれば、次は、友だちに認められる、友だちの役に立つ、友だちに喜ばれるといった場面をつくることが必要になることです。自己有用感を持つための対象を教師から友だちに変えていくのです。そうしないと子どもの意識が教師にばかり向いて、友だちとうまくかかわり合えなくなってしまうからです。

何かと忙しいこの時期ですが、1年間の学級経営、授業づくりを考えると手が抜けないときです。今子どもたちに伝えておかなければならないことは何かを意識して子どもたちと接してほしいと思います。
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