子どもの発言をつなぐタイミングを考える

子どもの発言をつなぐことが大切(「子どもの発言つなぐことを考える」参照)ですが、自分の意見を発言したくてなかなか待てない子どもがいます。友だちの発言についてどう思うか問いかけてもうわの空で、自分が発言するチャンスが早く来ないかとイライラして待っている。そんな子どもの姿を見ることがあります。小学校の低学年に多いように思います。一人ひとりの考えをその場でつなごうとしても、子どもの聞く姿勢が育っていなければなかなか難しいものです。その場でつなぐことが難しいときはどのタイミングでつなげばいいのでしょうか。

発言したいという気持ちをまず満足させるために、テンポよく次々に指名していく方法があります。子どもたちに一通り発言させて、発言したい気持ちを落ち着かせるのです。子どもの意見が一通りでると、教師は出てきた子どもの意見を自分でまとめたくなります。そうではなく、このタイミングでつなぐことを考えるのです。そのためには、一人ひとりの発言を「なるほど」と受け止めると同時に、誰がどのような発言をしたか教師がしっかりと覚えておくことが必要です。子どもたちの発言の中から、深めたい考えや同じような意見など取り上げるべきものを選び、「みんな、○○さんの意見覚えている?」と問いかけます。ここで、「・・・という意見があったけど覚えている」と内容を教師が説明するのではなく、固有名詞で取り上げることが大切です。友だちの発言をちゃんと聞いていなければ、思い出せないので聞くことを意識させることができます。覚えている子どもがいれば、発言させてから本人に確認します。もしいなければ、「○○さん、もう一度聞かせてくれる。みんなしっかり聞こうね」と本人に再度発言させます。ここからつなぐことを始めればよいのです。他の発言とつなげるのであれば、「今の○○さんの意見と似た意見があったけれど、誰の意見だったか覚えている?」「似た意見を言った人はいた?」と問い返すことで、聞くことを意識させます。
このようにして、発言することから聞くことに価値の比重を移していくのです。

子どもたちは発言したい気持ちが強いため、初めはなかなか友だちの発言を落ち着いて聞くことができません。そのような場合は、とりあえず発言させることで、発言したい気持ちを満足させましょう。その上で子ども同士の発言をつないで、友だちの発言を聞き、かかわりながら考えを深めることを経験させます。しっかり聞くことが活躍のチャンスを増やすと知ることで聞く姿勢が育ち、一つひとつの発言をその場でつないでも、発言したい気持ちを抑えてきちんとかかわれるようになるのです。
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