研究に関する打ち合わせ

昨日あった打ち合わせで話題になったことを少しお伝えします。

授業「研究」と授業「研修」のどちらだろう。
研修は研究と修養という意味ですが、修養という言葉は、授業に関しては具体的にどのようなことを表すのでしょうか。たとえば、若い先生の中には子どもにどうなってほしいという目指す姿が明確でない方もいます。子どもの受け止め方、つなぎ方といった授業技術を伝えても、子どもにどうなってほしいという目的意識がなければ、ただ意味なく「なるほど」と答えたり、「今の意見に賛成の人」と問いかけたりするだけです。「なるほど」と受け止めた後、「それってどういうこと?」と深めるのか、「今の意見、なるほどと思った人いる」とつなぐのか、「いいね。みんなどんどん意見を言って」と次の意見を求めるのかといった判断が必要です。しかし、目指す子どもの姿が明確でなければ判断のしようがありません。個々の授業技術を教えることはできても、目指す姿を教えることはできません。教師として自らに問いかけ続けることで初めて明確になっていくものです。修養という言葉が示すのはこういうことだと思います。トータルに授業力を上げるという意味では、授業研修という言葉がふさわしいように思います。

基本となる授業のパターンの中に、本質が見える。
数学の飛び込み授業が話題になりました。・・・足して10になる2つの数を子どもに言わせる。ここまで聞くと次の展開が想像できました。この先生の問題把握の場面での進め方のパターンを知っているからです。
「1と9」「3と7」・・・、と答えさせながら、「どんな数でもいいの?」といった子どもから疑問が出るのを待ちます。疑問に対して、「それってどういうこと?」と問い返します。「負の数とかだったら、いくつでもできる」と子どもが具体的に説明できれば、「素晴らしい」とほめて、「じゃあ、整数ということにしようか」と子どもの疑問をもとに条件を与えます。
実際にもこのような展開になったようです。課題さえ決まれば、問題把握の進め方はこのパターンを使えばすぐに見えてきます。こういう基本となるパターンをいくつか持つことで、効率的に授業をつくることができるようになります。だれしもこのような基本パターンがあるものですが、そこにその教師の本質が見えてくるように思います。
この課題であれば、子どもが疑問を持たないように、最初から「整数」という条件を付ける教師もいます。子どもに「どんな数でもいいの?」と聞かれたら、「整数だよ」と教師が条件を付加するかもしれません。ここでは、最初に条件を付けないことで子どもの視野を広げています。子どもの疑問や気づきをもとに考えることで、条件が教師から一方的に示されるものではなく子どもにとって必然性のあるものになっています。「なぜこの条件が必要なのだろうか」と条件の持つ意味を考える。問題の意味を理解した結果、受け身ではなく、自分から解きたいと思う。そんな子どもを育てたいと考えた結果、このようなパターンが生まれたのです。基本となる授業のパターンの中に、その教師の授業に対する姿勢や目指す子どもの姿が埋め込まれているのです。

模擬授業は子どもを使えないので教師がその代わりをしているのか。
模擬授業では、教師が子ども役をすることに積極的な意味を持たせることができます。授業を子どもの視点で見ることで新たな気づきができます。子どもを使わないので、うまくいかなった場面をその場ですぐにやり直すことができます。実際の授業とはまた違った視点で学ぶことができます。模擬授業だからこそできる学びがあるのです。

というわけで、模擬授業を活かした授業研究(研修)をこの1年研究することになりました。模擬授業を通じて互いに学び合い、高め合うためのノウハウを蓄積していきたいと思います。どのようなものになっていくのかとても楽しみです。今後この日記でも報告していきたいと思います。
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