会議で授業との共通性を感じる

先日、ある会議に参加しました。会議を多くの人から意見の出る活発なものにするポイントは、子どもが積極的に参加する授業と共通点が多いと思いました。

司会者が、できるだけ参加者に意見を出してもらおうと一人ひとりに声をかけます。笑顔で発言をポジティブに受け止めようとしていることもよくわかります。決して「それはおかしい」といった否定的な言葉は発しません。しかし、なかなか意見が出てきません。どこに問題があったのでしょうか?
発言に対して受ける言葉が大きく2種類ありました。「それもありますね。他にはないですか?」と「そうですよね」の2つです。どうやらここに問題がありそうです。この表現では、意見の価値を司会者が判断していることになります。具体的に言うと、「それもあります」というのは「他にもある」ということです。それが判断できるということは、司会者が他の考えを持っているということです。その上で、「他にはないですか?」と言えば、その司会者の持っている考えを言ってほしいということになります。こういうやり取りをした後に「そうですよね」と言えば、それが司会者の求めていた意見ということになります。司会者が自分の求める意見がどうかで評価していることになります。
「自由に意見を」と言われても、司会者の求める意見に収まるのであれば、あえて自分の考えを言う必要はありません。意見を言うにしても、司会者の求める意見を言おうとします。これでは、活発に意見は出なくなります。

司会者がある程度考えを持って議論を誘導することは必要です。しかし、それが前面に出てしまうと、多様な意見は出にくくなります。
他の意見を求めるならば、「○○さんの考えいいですね。こういう皆さんの考えをドンドン聞かせてください」というように、司会者はどんな意見も同じように評価する姿勢を見せる必要があります。もし、価値づけしたければ「○○さんの意見は、・・・が素晴らしいと思いました。皆さんどう思いますか?」と自分が評価した上で他の参加者につなぎます。参加者に最終的な価値の判断を委ねる形をとることで、参加意識が高まるのです。

このことは、授業にもそっくり当てはまります。ちょっとした言葉づかいで、子どもは教師の意図を感じ取ってしまいます。子どもの意見や解答に対する「他にはない?」という言葉は、「あなたの答は私の求めていたものではない」というメッセージとなることがよくあります。教師がこのようなメッセージを発し続ければ、子どもは教師の求める答探しをするようになります。その一方で、教師が最後には答を提示するのだからと、間違えるリスクを取らずに参加しない子どもも増えてきます。いずれにしても、子どもたちから自由な意見や考えは出なくなってしまいます。教師が正解かどうかを判断するのではなく、子ども同士が考えを伝えあうことで、自分たちで納得する答を見つけることが大切になります。

会議でも授業でも、まずどんな意見も尊重され、安心して発言できるという雰囲気をつくることが大切になります。その上で、たとえ目指す方向はあらかじめ決まっていても、結論は自分たちで出すように進めていくことが、活発で納得性のあるものにするために必要です。
授業で学んだことは、実は授業以外の場面でもいろいろと応用がきくのだと、あらためて感じました。
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