「わかりません」を許さない

指名した子どもが「わかりません」と答えたとき、すぐ次の子を指名するのがよいのか、ヒントを出して何とか答えさせするのか迷うときがあります。「わかりません」と答えてすぐ次の子が指名されると、解放されてホッとしてしまい、そのまま集中力をなくす子もいます。また、ヒントを出してもなかなか答えてくれなくて、無駄に時間が過ぎることもあります。「わかりません」と子どもが発言したときはどのようにすればよいのでしょうか。

「前の時間学習した、○○はどういうものでしたか。△△さん、教えてください」
「わかりません」
「あっ、ノート見ている子がいるね」
ノートを見始める。
「△△さん、見つかった」
「はい、□□です」

質問内容が既修事項であれば、ノートか教科書に必ず書かれているはずですから、子どもにそれを調べさせれば答えが見つかります。教室の中に調べ始めている子がいればそのことを指摘することで、多くの子どもが動きます。そこで、本人が調べるのを待って答えさせればいいのです。それでも本人が見つけられなければ、「まわりの子助けてあげて」「どこに書いてあるかだれか教えて」と友だちに助けてもらうようにします。

「○○はどういうことですか。△△さん」
「わかりません」
「どこがわからないの」
「・・・」
「いいよ、また後で聞くからね。□□さん」
・・・
「△△さん。○○ってどういうことかな」
「××です」
「ちゃんとわかったね。えらいね」

ヒントを出してもすぐに対応できないときは、その子にかかわりすぎてもかえって追い詰められたような気持ちにさせてしまいます。再度聞くことを伝えて、次の子を指名するようにします。もう一度指名されることがわかっているので、友だちの発言をしっかり聞きます。たとえ友だちの発言をそのまま言うことになっても、自分で発言してほめられることで、達成感も味わえます。今わからなくても、友だちの発言を聞いて理解しようとする姿勢が生まれてきます。

大切なのは、「わかりません」と言えば許されると子どもたちに思わせないことです。「わかりません」を許していると、自信のない子は間違えるくらいなら「わかりません」と答えるようになっていきます。学級全体が消極的になっていきます。指名されたら、たとえわからなくても最後はきちんと答えて、ほめられて席に着く。これがあたりまえになっていくにしたがって、「わかりません」という言葉も学級から減っていき、子どもたちが積極的に授業に参加する様になっていきます。
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