子どもの言葉から課題を見つける

子どもの疑問から課題を見つける、子どもの言葉から授業をつくるということがよく言われます。とはいえ、あまりに子どもの発言が拡散しても扱いが大変ですし、授業のねらいに迫るような言葉が子どもから出てこなければ、これも困ってしまいます。どのように考えればよいのでしょうか。

子どもの考えを広げるような問いかけと絞っていく問いかけや活動をうまく組み合わせる必要があります。

「この詩を読んで、気づいたこと、わからないところ疑問に思ったところを箇条書きにしてください」
・・・
「それでは、グループで聞き合って、わからないことや疑問を相談しよう」
・・・
「どんなことを話したか聞かせてくれるかな」
「カタカナで書いてある」
「ボクがだれかわからない」
・・・

このような間口の広い問いかけであれば、子どもは何らかの意見や考えを持つことができますが、そのまま発表すると拡散してしまいます。机間指導で使える考えをピックアップしておいて指名することで、拡散を防ぐという方法もあります。しかし、多くの子どもは自分の考えを持てているので発表したくなります。この気持ちを無視すると、せっかくのやる気がなくなってしまいます。そこで、グループを活用します。自分の考えを聞いてもらう機会を与え、話し合うことで簡単な疑問を解決させておきます。全体での発表は整理されたものになっているので、効率的に課題を焦点化することができます。

このような時間がない時は、最初の問いかけを「この詩を読んで、どの言葉が印象に残った」「何を言っているかよくわからない部分に線を引いて」と、もう少し具体的にすることで、より早く教師のねらいに迫る言葉を引き出すことができます。

子どもにできるだけ自分の考えを持たせること、持った考えを受け止める場をつくることと、それに対して教師のねらいに迫る言葉をどう引き出すかのバランスが大切になります。こうすればうまくいくというものではなく、子どもの実態に応じてどのような問いかけや活動をするのか、どう働きかけるのかを常に考えながら授業を進めることが求められるのです。

いきなり、「○○ついて考えなさい」「△△をしましょう」と教師が迫るより、自分たちの疑問や自分たちで見つけた課題について取り組むほうが子どもたちの意欲も高まります。子どもの疑問や発言を活かす授業を目指してほしいと思います。
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