テンポのいい授業とは

テンポがいい、間がいい授業ということがよく言われます。ところがテンポのいい授業を目指して、次々に指名しても子どもが反応できない、かえって混乱してしまう。そこでゆっくりと間をとると今度はだれてしまう。こんなことがよくあります。テンポがいい授業について考えてみたいと思います。

テンポがいい授業というと、教師の話す技術、話すテンポに目がいきがちです。ここに目を奪われてはいけません。ベースになるのは子どもの状況を把握する力です。次の2つの例を見てください。

「どうやって考えたか教えてくれる」
「点Aと点Cを結びました」
「なるほど、○○さんは?」
「私も、点Aと点Cを結びました」
「いっしょだね。△△さんは?」
「私も2人と一緒で、点Aと点Cを結んで考えました」

と受容の言葉も簡単にして次々と指名していく。

「どうやって考えたか教えてくれる」
「点Aと点Cを結びました」
「なるほど、点Aと点Cを結んだんだ。同じように考えた人いる」
「何人かいるね。それってどういうことか説明してくれるかな。○○さん」
「点Aと点Cを結ぶと三角形ができて・・・」
「なるほど、今の○○さんの説明どう。納得した」

とじっくり受け止めて説明させる。

どちらかが正解ではありません。子どもの状況によって対応が変わるのです。
前の例はほとんどの子どもが気づいていて、確認をすればよい状態の時です。最初の発言にほとんどの子が納得しているので、丁寧にやってもだれるだけです。テンポを速くすればよいのです。
後の例は、多くの子どもが気づいてない時です。気づいていない子は発言を理解するのにも時間がかかります。一度復唱して発言を理解させ、その意味を十分納得させるためにじっくりと時間をとります。

子どもの状況を把握しないでテンポだけを速くしようとすると、多くの子どもはついていけなくなってしまいます。テンポのいい授業をしている教師は、子どもの反応や事前の机間指導、経験を通じて子どもが今どういう状況か的確に把握しているので、テンポを速くしたり、間をとるという判断を正しくできるのです。テンポのいい授業を支えているのは教師の話す技術ではないのです。
子どもの状況に応じて、速く進めるところは進めて、時間をかけるべきところにじっくり時間をかけるのがテンポのいい授業なのです。
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