活動の特性を意識する

例えば教科書を読むといった活動でも、音読、黙読、全員で読む、指名で読む、いくつものバリエーションがあります。漫然と活動を選んでいるように見える授業もあります。どのようなことに注意をすればよいのでしょうか。

大切なのはそれぞれの活動で何が身に付くか、どんな注意が必要か、何ができることが前提か、といった特性を意識することです。
先ほどの教科書を読むことで考えてみましょう。

音読は、漢字の読みや発音、文の区切りを意識して読むことにつながります。滑らかに読めるようになることは文の理解にも通じます。一方どうしても発音することに注意がいくため、内容を深く理解するには向かない面もあります。
黙読は、わかりにくいところは何度も繰り返して読むなど、自分の理解度に合わせて読めるので、内容を深く理解するのには向いていますが、字面を目で追うだけの流し読みになってしまうこともあります。「筆者の気持ちが表れている部分に線を引く」といった、内容を意識して読ませる工夫が必要になります。

また、音読も個人でするのか全体でするのか、全体でも、一斉に読むのか、指名して順番に読むのかでもいろいろと違ってきます。
個人で読むのであれば、うまく読めないところをやり直したりして自分のペースで練習できますが、自分で気づかない間違いを修正することはなかなかできません。読み終わるまでの時間もなかなかそろわないことも問題です。
全体で一斉に読む場合は間違いに気づくこともできますが、どんどん進んでいくのでその場で修正はできません。
指名して順番に読む場合は、指名された子どもはきちんとチェックできますし、またうまく読めなかったところはやり直せます。その他の子どもは、友だちの読みを聞くことで自分の読み方の確認ができます。しかし、受け身になって聞き流してしまうこともあるので、読んでいるところを指で追いかけさせるといった工夫も必要になります。

このようなことを意識すれば、「初めて目にする文章なので全体で読むことから始めよう」「しっかり読めるようになったから、黙読でしっかり内容を理解させよう」といった判断もしっかりできるようになります。

子どもたちにとって適切な活動を選ぶには、個々の活動の特性をしっかり理解し、そのことを意識することが大切になるのです。
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31