子どもの顔を上げる

教師が話をしたり、教科書を音読したりする一斉指導の場面で、子どもの顔が上がっていないことがあります。教師にとって子どもの表情は理解しているのかどうか、きちんと参加しているかどうかを知る大事な情報源です。子どもの顔が上がっていないとその情報を得ることができなくなります。どのようなことに注意をすればよいのでしょうか。

子どもが板書を写していたり、まだ作業をしているのに話し始めてしまうと当然顔が上がらない子どもが出てきます。いったん作業をきちんと終わらせる必要があります。板書しながら話をするのであれば、鉛筆を置かせて話に集中させるようにします。
図を見せたり、身振りをつけるなど視覚的な情報を加えることで、顔を上げる必然性を与えることも大切です。そして、一方的に聞かせる姿勢ではなく、子どもたちの表情や反応に対して、教師もきちんと反応を返す必要があります。

「みんな鉛筆を置こう」
「○○さん。しっかり顔が上がっていていいね」
「みんな顔が上がったね。それでは、前の図を見よう」
「△△君、何か気づいたみたいだね。気づいたことを聞かせてくれるかな」
・・・
「□□さん、首をかしげてくれたけど、疑問に思ったことがあるの。みんなに教えてくれるかな」

このようにすることで、顔を上げて教師とコミュニケーションをとりながら話を聞く様になっていきます。

教科書の音読のように何かを見なければならないときは、どうしても下を向きやすくなります。教科書であればきちんと両手で持って目の前に置くことで顔が上がります。
「○○君、しっかりと読めているね」とほめることもしやすくなります。

何かを見て一斉指導するような場面では、ICT機器の活用がとても有効になります。デジタル教科書を使ってスクリーンに写すことで、顔を上げて音読することが可能になります。資料も手元に置いて見るのではなく、実物投影機を使うことで簡単に顔が上がります。
このとき注意してほしいのは、つい教師も一緒になってスクリーンを見てしまうことです。せっかく子どもたちの顔を上げているのですから、教師が子どもたちを見ようとしなければその効果は半減してしまいます。

大切なのは子どもの顔を上げて、表情を見ようとする意識を持つことです。このことを意識すれば、子どもたちの顔を上げるようにすることはそれほど難しいことではありません。子どもたちの表情や動作から子どもたちとコミュニケーションをとろうという姿勢を持ってほしいと思います。
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