教務主任の影響力をあらためて感じる

昨日小学校で授業アドバイスを行いました。2回の訪問で全員の授業を見せていただき個別にアドバイスしますが、その1回目です。数年ぶりの訪問でしたが、前回の訪問時と今回では学校の雰囲気が大きく異なっていました。

どの学級も子どもたちがよい表情で授業に参加し、先生との関係のよさがうかがえます。共通して先生方が子どもの発言をしっかり受容しようと意識していることがわかります。どの教室からも目指している授業の方向性が伝わる、一体感のある学校ですが、挨拶の仕方、話型、授業のルールなどを共通で決めているわけではありません。子どもを受容する、子どもの発言を活かす、子どもの発言をつなぐといった大切にしようとしていることが共有されているのです。

若手の先生は、経験年数からは想像がつかないほど力をつけている方ばかりですが、そのことに慢心せず、謙虚に授業の課題に向き合い、改善を意識しています。アドバイスの時に自身の授業について聞いてみると、今自分が困っていること、できていないと思うことがすぐに出てきます。しかも、それが的を射ているのです。自分で課題に気づける方は、確実に成長していきます。正直、私のアドバイスは必要ないのではと思うほどです。また、この授業改善に前向きな姿勢は中堅、ベテランからも感じます。数年後には授業名人と呼ばれるのではないかと思うような方も、現状に満足せず次の課題を意識しています。学校全体が授業改善としっかり向き合っていました。一人ひとりフェイズは異なりますが、次の課題、ステップが明確な先生ばかりです。課題を意識して取り組み、それをきちんと達成できているからこそでしょう。私のアドバイスが先生方の更なる成長のきっかけとなれば幸いです。

このよい状況をつくり出しているのは間違いなく教務主任でした。どのようなことをしたのかという問いかけに、「こうやっています」という明確な答えは返ってきません。それこそ、「あの手、この手」と思いついたことを積極的に実行し続けたそうです。若手には、年次に関わらず研修を計画して実施しています。授業について先生方と話す機会をつくるため、週に1時間を目安に多くの先生の教室にT2として入っています。T2として参加した授業で先生のよいところを一言書いて伝えることも忘れません。今回の私の訪問に際して、夏休みに指導案を作成してもらい、一人ずつアドバイスをしています。先生方と授業について話せる関係を一生懸命作っています。学級経営と同様に、先生方の困り感をキャッチできる、困ったことを相談してもらえる、そんな関係をいかにつくるかを意識しておられました。先生方の成長に合わせて、取り組みも変化させています。私も、その新しい取り組みの駒の一つとして使っていただけているようです。

学校の授業改善に果たす教務主任の影響力をあらためて感じるとともに、そのエネルギーに大いに刺激されました。教務主任を長く勤められているので、そろそろ次のステージに移られると思います。教務主任が変わってもこのよい状態を維持、発展できるために何をすべきかも考えられていました。教務主任と先生方の姿から、本当にたくさんのことを学べました。次回の訪問が今から楽しみです。
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