子どもたちの様子の変化から考える

2学期に3回訪問した中学校では、子どもたちの様子を中心に授業を見せていただきました。先生方の指導と子どもたちの姿の変化についていろいろと学ぶことができました。

1年生は入学当初の幼いイメージがずいぶんとしっかりしたものへと変わってきました。学年の先生方がチームとして授業規律等を意識してきた成果が表れていると思います。落ち着かいない子どもが目立った学級が2つあったのですが、一つの学級は子ども同士がしっかりとかかわり合える明るい雰囲気になっていました。もう一つの学級は落ち着かない子どもにまわりが引っ張られていたのですが、そういった影響を受けなくなっていました。担任を中心に先生方が全体の子どもたちとよい関係を作ることができた成果だと思います。
学力的に厳しい子どもが多い学年ですが、学力格差が特に大きいと感じる学級がありました。こういう学級では「わからない」と言える雰囲気をつくり、困った感を共有することが大切です。困っている子どもがまわりに「助けて」と言え、その子をまわりが助けられるようになることを目指すとよいと思います。できる子どもは正解を言って活躍するのではなく、みんながわかる説明をすることや困っている子どもを助けることで活躍させるのです。
気になったのが一見すると授業規律もしっかりして子どもたちが落ち着いているように見えるのですが、かなりの子どもたちが授業に参加していない学級があったことです。下を向いて作業しているように見えても他ごとをして集中していなかったり、授業者が話をしている時に視線がそちらを向いていなかったりします。全体的に表情が悪く、個人作業よりも授業者が話をしている時の方が集中していないように見えます。どうやら、先生との関係が一部の反応する子どもとだけになっているようです。担任一人でなんとかしようとするのではなく、かかわっている先生方全員で、目立たない子どもにも目を向け、受容し、認めることを意識してほしいと思います。
一学級の問題でなく、学年全体の問題として捉えることができる先生方ですので、次回の訪問時にはきっと改善していることと思います。

2年生はまわりの空気を読める賢い子どもたちです。先生方が意識していることを感じ取って対応することができます。逆に、先生方が特に注意をしなければ、自分に都合のよい判断をして行動する子どもが目立ちます。多くの子どもが授業者の話しを楽しく聞いている時でも、学習ノートの先のページ―を開いて作業をしている子どもがいます。どこまで先生が許すかを測っているように感じます。授業者が注意をすればその場は行動をあらためるでしょうが、また別の場面で自分に都合のよい行動をとりそうです。そのため、学年全体としては決して悪い状態ではないのですが、授業者によって教室の雰囲気が微妙に変化します。行事等でも、非難されない程度には参加するが、積極的に動こうとはしない空気があったのではないかと想像します。見えないところで、ちょこちょこと問題行動が起こりやすい雰囲気を感じました。
2年生のこの時期であれば、3年生に向けて進路を意識することで気持ちを切り替えさせるのが一般的ですが、この学年ではかえって個人主義的な行動を助長するような気がします。いろいろな場面で、今自分が取るべき行動はどうあるべきかを考えさせることが必要だと思います。子どもたちがよりよい行動をとろうと意識するような場面をどうつくっていくかが課題です。一朝一夕ではできることではありませんが、学年主任を始め、この状況を多くの先生が感じていますので、学年全体でこの課題に向かって力を合わせてくれることと思います。

3年生は学力的に厳しい子どもが多い学年です。2年生の後半から進路を意識させることで、意欲的に学習に取り組むことができるようになっていました。2学期になっても3年生らしく授業によく集中していましたが、体育大会、合唱コンクールが終わった後の様子は少し違ってきました。進路の最終決定が現実のものとして目の前に迫って、プレッシャーがかかっているのです。成績面で順調に来ている子どもとそうでない子どもの差が形として授業での様子に現われてきました。ここまで何とか頑張ってきた子どもも結果が出せずにエネルギーが切れたり、わからないとあきらめてしまったりする姿が見られます。それでも、自分にできそうなことはやろうとする姿を見せてくれたりします。頑張ろうとはしているのですが、精神的に苦しくなっているのです。
子どもたちがこういう姿を見せる時に、先生方は「最後まで頑張れ!」といった強い励ましの言葉を発することがあるのですが、「頑張れ」といった言葉には注意が必要です。今自分なりに頑張っている子どもにとっては、これ以上頑張れというのは酷なことなのです。それよりも、苦しさに寄り添うことが必要です。今順調に言っている子どもも自分のことに精一杯で、友だちのことを面倒見る余裕はありません。どの子どもも孤独な状況なりやすいのです。
この時期の面接は、受験校をどうするかといったことが中心になるのですが、それと同時に苦しいことがないかを聞いてあげることが必要です。下手にこうしろと言うのではなく、「そうだよね。この時期は苦しいよね」と寄り添ってほしいのです。時には全体の場で、「こういう苦しい気持ちの人がいたけれども、わかるよね」「同じように苦しい人もいるよね」と苦しさを共有して子ども同士が支え合えるような雰囲気づくりをすることが必要です。また、上手くいっている子どもにはどんな風に切り抜けているかを聞いておいて、タイミングを見計らって紹介するのも手です。子どもたちから見れば強者で成功者の先生の話よりも、自分たちの仲間がどうしているかを伝える方が受け入れやすいのです。苦しい状況を切り抜けた子どもに毎年体験記を書いてもらい、折を見てそれを紹介するというやり方もあります。
子どもたちを引っ張り上げるのではなく、下から支えてあげることを意識してほしいことを伝えました。

日々子どもたちの様子は変わっていきます。常に子どもたちの変化を見ながら、課題があれば具体的にどのように対応して解決するか、成長が見られればさらなる成長のために何をすればよいかを考え続けることが大切です。この学校ではこのPDCAのサイクルがきちんと回っていると思います。次回は今年度最後の訪問ですが、子どもたちの成長した姿を見られることと楽しみにしています。
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