私立の中学校高等学校の授業公開1日目

私立の中学校高等学校の3日間の研究授業公開に参加しました。

夏休みが明けて1週間が過ぎていましたが、子どもたちはとても落ち着いて授業を受けていました。

1日目は、3つの授業が公開されました。
高校2年生女子の体育はテニスの授業です。あいにくの雨のため狭いピロティでの活動で、思うようにボールを打たせられない状況なのが残念でした。
準備運動のストレッチを、授業者が子どもたちの間を動きながら口頭で指示します。中には間違った動きをしている子どももいます。前に立って見本を見せることや互いに見合って確認するといったことが必要なのかもしれません。
一連の活動を口頭で説明しますが、いくつもの指示が続くので子どもたちの理解は今一つです。急なことで準備が難しかったのかもしれませんが、移動黒板などを用意して箇条書きにしておくとよかったと思います。
ここで気なったのが、指示が活動に関するものだけで、ラケットの振り方やインパクトの位置など技術的なものがなかったことです。子どもたちはペアで打ち返す練習をしますがポイントを意識して練習していないのでなかなか上手くはなっていきません。授業者は移動しながら気づいたことを個別に指導しますが、全体の場でポイントを押さえておく必要があるでしょう。
続いて、ボールをトスする人、打ち返す人、iPadで撮影する人と役割をローテンションしながらグループで練習します。ここでも、それぞれの役割のポイントはきちんと指示されません。子どもたちが上手くなるための仕掛けがこの活動にはないように見えます。活動の最後に撮影したビデオを見ながらワークシートに書かれているポイントに従ってチェックをします。チェックポイントには「ボールをコントロールできているか?」などの項目がありますが、できたかどうかは評価できてもどうすれば改善できるのかは見えてきません。これでは次につながっていきません。iPadを利用するのであれば、見本となるビデオをあらかじめ送っておいて、それと自分を見比べるといったことをするとよいでしょう。具体的にどこが違うのか、何を意識すればよいのかに気づけると思います。また、授業の最後にチェックをしても、それを活かすのは次の時間になってしまいます。ポイントを意識して見合い、リアルタイムにアドバイスをし合うことで技術が向上していくと思います。
できない子どもができるようになる、上手くなる場面をどこに設定するのか、どう仕掛けるのかを意識して授業を組み立ててほしいと思います。

若手の先生の高校2年生の古典の授業は、平家物語の一節の読み取りの場面でした。
この先生の古典の授業はグループで行うことが原則のようです。古典の授業の隊形になるように指示をすると、素早く移動してグループになりました。
授業者は古文を読むときに注意をすべきことを確認します。常に共通して意識すべきことを明確にするのはとてもよいことです。一問一答で「主語」「相手」「敬語」といった言葉が出てきますが、次々に何人も指名してできるだけ多くの子どもに発言させたいところでした。
指名した子どもに教科書の本文を音読させますが、子どもたちはしっかりと教科書を目で追っています。参加意識が高いことが印象的でした。
グループでわからないところは互いに聞きあいながら本文を読み取っていきます。この学級は理科系で女子は少ないのですが、どのグループでも女子が男子とよくかかわっていました。よい傾向です。
授業者は机間指導しながら子どもたちがどこで困っているのかを観察しています。途中で活動を止めて困っていることを発表させます。困っていることを共有することで疑問を持たずに通り過ぎていた子どもたちにも、課題として意識させることができます。「や」が疑問か反語かで困っているという発表に対して授業者は、どうやって考えればよかったかと投げかけ、そのままグループに戻します。すぐに授業者が説明したり答を与えたりしないのはよいことです。
しばらくして、また作業を止めて別のグループに困っていることを発表させます。今度は助動詞「たり」が「断定」か「完了」かで困っているようです。授業者が見分けるポイントをすぐに「接続」と確認してグループに戻します。ここは古文の助動詞の学習では大切なことですから、全員に問いかけてしっかりと確認する時間を取りたいところでした。活用表を見て「たり」の「接続」を確認する子どもとそうでない子どもがいます。活用表を見ない子どもは頭の中に入っているのでしょうか。そうであればよいのですが、ちょっと気になる場面です。ここは、子どもたちの定着の度合いを確認したいところでした。
少し時間をおいて、先ほどの助動詞はどちらだったかを問いかけます。指名した子どもが答えると、授業者がすぐに正解と判断しました。その後で理由を説明させたところ、指名された子どもはきちんと答えることができました。きちんと理由が言えるのですから、それを聞いてから、子どもたちに判断させるとよかったでしょう。
子どもたちの困っていることをもとに授業を進めているのはよいのですが、一問一答で授業者が正解かどうかは判断している場面が多く見られます。授業者がすぐに判断をすると、どうしも自分で判断せずに教師の判定を待ってしまう子どもが出てきます。正解かどうかの判断は保留しておき、子どもに理由を言わせてそれで納得するかどうかを問いかけるとよいでしょう。
また、困ったことをその都度作業を止めて共有しています。焦点化してよいように見えますが、子どもたちのグループでの活動のリズムを悪くすることにもなります。困ったことをある程度まとめて共有してからグループに戻せば、それぞれのグループの状況に応じて進めることができると思います。
授業者が一方的に説明しないように意識して授業を行っています。他の若手にも大いに参考になったこと思います。いろいろと工夫しているからこそ、次の課題も見えてきます。これからどのように進化していくか楽しみです。

中学校3年生の英語は、広島に関する本文を読んだ後、”No More War!”といった3語ほどのメッセージを個人で作る場面でした。
授業者はだれが見てもわかるようなメッセージを作ってほしいと説明をしますが、説明の時間が少し長すぎたようです。手元にあるiPadに視線を落としている子どもが目立ちます。文で書くのではなく、標語やキャッチフレーズの形にする意味が今一つわかりません。子どもたちがこの課題をクリアするために必要とされる力や方法がはっきりしないことも気になりました。
作業に入ると子どもたちは思い思いに活動しますが、集中力が続かないように思いました。なんとなく思いつきで書いていることが原因のように思います。言葉を作る前に、本文を読んでどのようなことを感じたかを書き出させたり、どこが印象に残っているか原文のまま書き出したりといった作業をしておくことで、手がかりが得られたのではないかと思います。また、途中でもよいので作業を止めて何人かに発表させ、どうやって考えたのか、工夫しているところなどを共有し評価すると活動の方向性もはっきりすると思います。
また、教室の広さに対して子どもの数が少ないので、座席の間隔が広がりすぎています。友だちと相談したいと思っている子どもが声をかけようとするのですが、距離が離れすぎてうまくかかわることができませんでした。意図的に机をくっつけることやグループの隊形を利用することを考える必要がありそうです。
最後に一部の子どもに発表させますが、子どもたちはあまり集中して発表を聞きません。ねらいがはっきりせず、どう評価していいのかわからないことがその一因でしょう。活動のねらいや評価を意識して活動を組み立ててほしいと思います。

公開授業ではありませんが、非常勤講師の高校3年生の現代文の授業を見せていただきました。
授業者は子どもとコミュニケーションが取れていませんでした。子どもの状況にかかわらず一方的に説明をし続けます。子どもと視線を合わせないことも気になりました。また、説明は結論だけで、その根拠となる本文の記述等には触れられません。
そして、特に気になったのが、子どももたちが発言する場面がまったくなかったことです。○○は△△であるという授業者の話が延々と続くのです。
多くの子どもたちは話を聞かなくても板書内容さえ手元にあればよいと思っているようです。板書を写している子どももいますが、写真に撮れば十分と考えている子どももかなりいます。それでも、子どもたちは頑張って起きていようとしていましたが、時間が経つにつれ一人、二人と倒れていきました。
授業者はこれまで他の職業についていて、今年初めて教壇に立った方です。おそらく自身が学生時代にこのような授業を受けてきたのだと思います。授業の進め方について学ぶ機会が必要だと思いますが、非常勤講師の場合そのような時間をとることが難しいのが問題です。せめて他の先生の授業を見るような時間を確保することが必要だと思いました。

2日目については次回の日記で。
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