挑戦的な授業

前回の日記の続きです。

3年生の国語は、俳句の季語と語感についての挑戦的な授業でした。
「自転車で坂を上れば(   )」という句の穴埋めを考えさせるものです。「山笑う」「花曇り」「春一番」の3つから語を選択します。

俳句の鑑賞で大切なことは何かと問いかけます。復習ですのでたくさん手が挙がってほしいところですが、あまり手が挙がらなかったのが残念です。「省略されているところを想像する」という答えが返ってくると、それを授業者が確認して先に進みます。一問一答形式になっているので、子どもたちが積極的に参加する意味がなくなっているのです。

子どもたちはかろうじて「春一番」は春の季語だとわかりますが、言葉をどれか選ぶといっても、そもそも言葉の意味がわかっていません。そこで季語辞典を使って意味を調べさせます。ところが用意した季語辞典は何種類かあり、索引や並べ方がそれぞれ異なっています。子どもたちは互いに相談しながら調べますが、中にはなかなか見つけられない子どももいます。また、辞典の説明も「春の季語、春の山の明るい感じを表わす」といったものですから、それを読んでも語感をつかむことはなかなかできません。例えば、山笑うはもともと画論から来た言葉ですから、それにふさわしい絵を見せる、花曇りの様子がわかる空の写真を用意しておく、春一番であれば新聞の写真入りの記事を見せるとかして、子どもたちの感覚に直接訴えることも必要だったと思います。
子どもたちはこの語感つかめないので、なかなか選ぶことができません。授業者は省略されたものというキーワードで俳句の世界を広げようとしていますが、なかなかイメージは広がらないようです。このキーワードは少し漠然とし過ぎるように思います。もう少し具体的に「どんな坂が浮かぶ?急な坂?なだらかな坂?「どんな場所?山?海?街?」「どんな自転車?ママチャリ?ロードバイク?」「どんな様子で登っている?颯爽と?必死に?」というように具体的に問いかけた方が、子どもたちのイメージは広がりそうです。

俳句の世界の広がりを子どもたちに実感させようとする意欲的な授業でした。実験的な部分もあるので、発問や進め方にもう一工夫必要でしたが、挑戦したからこそ見えてくることでもあります。私自身が大いに刺激される授業でした。ベテランの先生でしたが、無難な授業ではなく、いろいろなスタイルに挑戦する姿勢には感心しました。次回はどのような授業を見せてくださるのかとても楽しみです。
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