発言を価値付けすることが大切

前回の日記の続きです。

2年生の理科の授業は、金属の燃焼の実験の考察場面でした。
各グループの実験結果を共有します。1グループ毎に1つの燃焼の結果を発表させ、「違ったら言って」と確認します。他のグループのデータに異議を申し立てることになるのでなかなか言いだしにくいかもしれません。同じかどうかを確認して、「大体同じ」という言葉を拾って「どこが同じ?どこが違う?」と返すと、実験結果のどこに注目しているのかが明確になってくると思います。結果の確認だけであれば、各グループの結果を一斉に板書させて、比較する方がかえって効率的かもしれません。
指名された子どもは自分の言葉で発表するのですが、他の子どもたちはあまり真剣に聞いているように見えません。授業者が子どもの発言をすぐにまとめてしまうので聞く必要がないのです。

燃焼の実験の前後で質量が変わらないグループがあります。「増えるの?変わらないの?どっち?その理由も考えて」とこの点について問いかけることが実験の持つ意味について考えを深めるよい機会となったと思いますが、授業者はうまく対応できずに、うやむやの内に増えることに結論づけられていました。
授業者はこの実験結果から「金属は燃える」と結論づけますが、マグネシウムや鉄だけで一般化しています。子どもたちに何が言えるのか問いかけたいところです。「すぐに燃える金属や時間をかけて燃える金属があるようだね。すべての金属は燃えるのかな?」と疑問で終わらせてもよいと思います。

燃えた後の質量が増えた理由を問いかけます。そもそも燃焼前後の質量を比較するのは何のためでしょうか。何らかの意図・ねらいがあって実験は行われているはずです。授業者は木を燃やしたときと比較するのですが、実験の前に木は燃えると軽くなったことを押さえてから、質量を測る必然性を持たせておきたいところでした。
授業者は子どもから発言が出てこないので、「重くなるのだから何かを取り入れているはず」「人も何か食べると重くなる」といったヒントとなる言葉で一生懸命誘導します。誘導自体はあまりよいことではないのですが、子どもから発言を引き出したいという強い思いを感じました。

「息を吸収する」という言葉が出てきました。「燃やしている時に息を吹きかけると燃え方が熱くなって・・・、それは息を吸い込んだから燃え方が激しくなったから」と説明します。授業者は燃えたできた物に「息が入っている。それでいい?」と全体に返します。他の子どもにつなぐと「予想なんだけど、息を取り込んだというから、何かと反応して違う物質に変わったんじゃない」という言葉が返ってきます。「何かと?」と授業者が発言を板書しながら返すと「気体の何か?」と答えます。とてもよいやりとりなのですが、指名された子ども以外がなかなか参加しません。授業者はどうしても発言者に視線が行ってしまいますが、子どもたちの反応や表情で指名することも必要です。視野を広く持てるとよいでしょう。

この場面に限らず、子どもたちは指名されれば発言をするのですが、今一つ自信がなさそげです。発言中も、発言後も表情はさえません。子どもたちの発言を価値付けすることが求められます。息を吹きかけると燃え方が変わることを発言したのなら、やや大げさでも「おお、『息を吹きかけると、燃え方が変わる』確かにそうだよね」と受容し、「息を吹きかけることで変化があるんだよね。そこに秘密がありそうだと気づいたんだ」というように価値付けするとよいでしょう。たとえ求める正解でなくても、発言のよいところ価値付けすることで子どもたちは安心して発言するようになります。子どもたちの発言を評価することを意識してほしいと思います。
授業はここで時間切れとなってしまいましたが、この発言をうまく焦点化していくことが次の時間の課題でしょう。

実験を通じて燃焼の定義を探っていく展開であれば、「燃やすものが違っても変わらないことは何か?」「現象に共通のこと、ものは何か?」という視点が必要です。燃焼を定義してから、金属は燃えるかどうかを考える展開であれば、「燃焼すると、酸素はどうなるの?」「何が酸素とくっついた?」といった問いかけから考えを深めることができるでしょう。
授業を通じてどのような力、見方・考え方をつけさせたいのかを明確にすると授業の展開がはっきりすると思います。

授業者は子どもの発言を大切にしようとしています。子どもの発言を優しく受容できます。だからこそ、発言の評価、価値付けが大切になります。このことを素直に受け止めてくれました。次回のどのように授業が変化しているか楽しみです。

この続きは次回の日記で。
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