目指す子どもの姿を明確にして授業をする

先日、中学校で授業アドバイスをしてきました。

3年生の社会はファシズムの学習でした。
授業者はファシズムの恐さをどのように子どもに気づかせるか、発問を相当悩んでいたようです。ヒトラーの演説に歓喜する聴衆の写真から子どもたちが気づいたことを取り上げ、ヒトラーの人気の理由を考えさせます。考えると言っても子どもたちは教科書や資料集からそれに関係のある言葉を抜き出しているだけです。調べることと、考えることを明確にしておかないと「考えろ」と言っても答えを探すようになってしまいます。
ヒットラーの政策と当時のドイツの置かれた状況を整理した後、ユダヤ人虐殺をドイツの人々はなぜ容認したのかを考えさせます。ファシズムの恐ろしさを子どもたち自身で気づかせようとして考えた発問です。
面白い発問ですが、まだ子どもたちの課題になっていませんでした。授業者に問われたから考えるのであって、なぜだろうと疑問に思っていないのです。「ドイツの人たちは残虐な人なの?」「君たちがドイツ人だったらどうした?」と、ちょっと道徳的ですが、揺さぶることも必要だったと思います。
この答は教科書や資料集には書かれていません。しかし、子どもたちは教科書や資料集で答を探しています。挙手で意見を求めても数名しか手が挙がりません。特定の子どもが発言するだけで他の子どもはあまり真剣に聞きません。その理由はすぐにわかります。授業者が一問一答で子どもたちに問い返しながら、反応する子どもの考えを誘導しています。求める答えが出た後は、授業者の一方的な説明が始まります。子どもたちは、参加しなくても授業者の説明とまとめを聞けばよいのです。自分なりの答が出せた子どもは友だちの考えが気になるので話を聞こうとしますが、そうでない子どもには聞く必然性がないのです。
授業者は、この発問の答を自分なりに一生懸命に考えてきたようです。アンネの日記の話なども準備していました。そのためどうしても用意したことを話したくなってしまうのです。教材研究を頑張ったことが授業としてはマイナスになってしまいました。準備したことすべてを使うのではなく、あえて省くという引き算の発想も必要です。
「子どもが考えたくなるような課題の設定や提示の仕方を工夫する」「考えるために必要な知識を整理して、どうやって与えるのかを考える」「子どもから出てくる発言を予想して、それをどうやって深める」。このような授業の進め方についてもエネルギーをかけることが大切です。
授業者は前向きで素直な方です。今後度の成長が楽しみです。

1年生の体育は笑顔の素敵な先生でした。バレーボールをバスケットゴールに向かって投げる的当てゲームの時間でした。
最初にウォームアップも兼ねて、ボールぶつけやしゃくとり虫、ジャンプなどを順番に行うサーキットを行います。子どもたちは遊びの要素があるのでとても楽しそうです。子ども同士の関係もとてもよさそうです。ただ、一つひとつの運動で何を意識するのかが明確でないので、活動しているだけになっています。特に、ボールぶつけはこの後の的当てのための練習でもあるので、ただ投げるだけでなく投げ方なども意識できるとよかったでしょう。
この日の主活動を説明するために集合させますが、子どもたちはのんびりと移動しています。集まってもすぐに整列して指示を聞く態勢になりません。ところが、この後活動を終えた後に再度集合する場面では素早く行動できました。授業者が早く集まるように指示を出したからです。子どもたちは授業者が意識して指示したことはきちんとできるのです。指示がなくても自分自身で判断して行動がとれることを授業者が目標として意識することで、子どもたちは大きく成長すると思います。
子どもたちへの活動の指示は授業者が一方的に話す形なってしまいました。時間と共に集中力が落ちていきます。試しに一度やってみようとしますが、1グループずつ別々に行い、他のグループは別の場所で活動します。ここは1グループでよいので、代表のグループにやらせ、それを見あうことで互いに学び合うことを意識させたいところでした。
グループの活動でも子ども同士のかかわりが弱いように感じました。よいプレーが出ても、ほめる言葉が仲間から出てきません。そもそも友だちのプレーを見ていない子どもがほとんどです。自分が活動していない時に何を大切にするのかを意識させる必要があります。中には積極的に友だちの投げたボールを拾って次に渡す子どももいますが、こういった行動が評価されません。授業者が意識して価値付けしないと子どもは互いに認め合えません。活動中に子どもたちのどんな姿を見たいのかを授業者が明確にすることが大切です。見たい姿を意識すれば授業のどの場面がポイントか、子どもたちの何を評価するのかがはっきりすると思います。
インクルーシブ教育の関係もあり、サブでもう一人先生がいますが、二人の連携があまりないのが残念でした。活動場所がグループごとに分かれていたので、意識して連携を取ることが重要です。特に一方が個別指導している時には、もう一方が全体の様子を見ていること求められます。互いに意識してほしいと思います。
授業者は力のある方なので、子どもたちに求める姿を意識すればすぐに授業は大きく改善すると思います。次回、授業を見させていただくことが楽しみです。

この続きは次回の日記で。
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