授業改善へのエネルギーを感じる

前回の日記の続きです。

高校2年生の英語はコミュニケーションの授業でした。
表情のよい子どもたちが多いことが印象的でした。特にペアで活動している時はよい笑顔がたくさん見られます。子ども同士の人間関係のよいことがわかりますが、一部の男女のペアで距離を取っているのが気になりました。かかわりを促すような働きかけが必要でしょう。
授業者は私が見ているので緊張していたのかもしれませんが、表情が少しかたいようでした。子どもたちも、授業者が話している時にあまり顔が上がりません。子ども同士での活動の時と比べて表情が今一つです。そのせいか、活動の指示が上手く伝わりません。活動に入った時に、まわりの子どもに何をすればよいのか聞いている姿が目につきました。顔を上げさせてこちらに集中させることと指示の確認が必要でしょう。子どもたちは決して英語に対してやる気がないわけではありません。英語ができるようになりたい、わかりたいと思っていることが子ども同士での活動の姿から伝わってきます。課題は子どもたちとの関係です。このことを意識することで授業の様子は変わっていくと思います。具体的には、笑顔で子どもたちの行動をポジティブに評価し続けることです。

子どもたちに発音を注意して全体で練習させます。この時、「ここができていない」という表現で注意をしました。注意をする時は原則として、「こうするとよい、もっとよくなる」ということを伝えるとよいでしょう。気持ちを前向きにすること、具体的にどうすればよいか次の行動がわかることが重要です。また、途中で「さっきよりいいよ」と声をかけますが、何がよいのかよくわかりません。「さっきより大きな声が出ているね、いいよ」というように、何がよいのかを具体的にすることが必要です。また、「○○さん、口がしっかり開いているね。いいよ」と固有名詞でほめるとほめられたことがよくわかりますし、誰のまねをすればよいのかもわかるので、よい行動が広がります。
読み方の練習では教科書を読ませるのでどうしても顔が下を向き、声が出にくくなります。また、口元もよく見えないので誰がしっかりと声を出しているかわかりません。この日は後半でプロジェクターを使っていましたが、そうであれば最初から教科書をスクリーンに映してそれを見て読ませるとよかったでしょう。ICT機器のこういった使い方も覚えてほしいと思います。

動画を見せて、その内容をもとにワークシートの質問に答える場面がありました。まわりと確認するのですが、動けるのはできている子どもだけです。確認と言われても、書けていない子どもはなかなか自分からは動けません。また、机が離れていることもかかわりにくいことの要因となっています。隣同士しっかり机をくっつけるよう指導してから活動をするとよいでしょう。
答を確認し合うだけでは、わからなかった子どもができるようになるわけではありません。できない子どもができるようになる場面をつくることも大切になります。このことを意識して授業を組み立ててほしいと思います。

授業者は非常に素直にアドバイスを受けて止めてくれました。私が指摘した子どもたちの表情や様子についても、自分で気づき課題と認識していました。子どもたちをよく見ることができています。英語科はチームワークがよく、同僚から教えてもらったり相談したりできると話していましたので、きっと課題を解決しながら成長してくれることと思います。

高校1年生の国語の授業は対比を意識して読み取る場面でした。
前回の私のアドバイスを受けて、文を読み取るための力を意識していました。今回の授業では「対比」がキーワードです。対比を意識しているのですが、基本は一問一答になっていました。授業者が求める答が出てくると、すぐに説明し始めます。このことを教えなければという気持ちが勝ちすぎて、どうしても一方的にしゃべり続けてしまうのです。テンションが上がっていき、子どもたちもその圧に負けてしだいに顔が下がってしまいます。しかし、説明することだけに意識がいってしまい、子どもたちの顔を見る余裕がなくなってこのことに気づきません。授業者の結論を一方的に子どもたち説得し続ける授業になってしまいました。
子どもに考えさせる場面をどうつくるかを意識してほしいと思います。課題を解かせる場面だけでは不十分です。わからなかった子どもがわかる場面や全員で考えを深める場面が必要です。結論ではなく、どのように考えたかという過程や根拠を問う。発言に対してどう思うか他の子どもとつなぐ。こういったことが大切です。
授業者は授業を改善する意識はありますが、授業の構成や発問に意識がいってしまい、子どもたちが考えるために何が必要かを意識できていませんでした。教師ではなく子どもの活動を意識することを強くお願いしました。

この日授業を見せていただかなかった先生とは、校内を一緒にまわりました。教室ごとに子どもたちは集中しているか、考えているかといったことを問いかけながら授業を見ていただきましたが、子どもの様子から自分の授業ではどうだろうかと、自分の教室で起こっていることに思いを巡らせていました。子どもの状況を判断することは、授業改善の第一歩です。このことに気づいていただけたと思います。次回授業を見せてもらうのが楽しみです。

学校はどの学年も基本的によい状態です。しかし、一部ではありますが、一方的に先生がしゃべり続ける授業では、既に子どもたちが授業から離れてしまっている状態が見受けられました。個人や教科の問題ではなく、担任や学年(学校)全体の問題ととらえる必要があると思います。
ちょっと気になったのが、高校1年生です。とても明るく、いい意味で子どもらしい学年です。子ども同士の関係もよさそうなのですが、授業中どの学級でもまわりを跳び越えて遠くにいる子ども同士がつながる場面が目につくのです。オリエンテーション合宿で子ども同士の人間関係ができ、それがそのまま授業に持ち込まれているようです。授業では生活面とは関係なく、だれとでもかかわれることを意識することが大切です。このことを忘れると、孤立して不適応を起こす子どもが出やすくなるので注意が必要です。
また、中学校では同じような場面で子どもたちの態度が大きく異なることが気になりました。授業者が説明をしている時に私たちが廊下を通り過ぎるとそれに気づいて何人かの子どもがこちらを見ました。その後、子どもたちがすぐに集中を取り戻し何事もなかったように授業に戻る学級と、次々に他の子どもたちがこちらに気を取られてなかなかおさまらない学級とがありました。どちらの授業者も特に子どもたちに声は掛けていません。子どもたちが授業者の話を大切だと思っているのかどうかの差かもしれません。少なくとも集中が戻らない学級では授業者が一声かけるべきでしょう。授業者の問題と言ってしまえばそれまでですが、子どもたちは実に素直にその時の状態を表します。高校受験のあるなしも関係するとは思いますが、中学3年生になると授業者の差が子どもたちの態度の差となって表れにくくなるのが普通です。授業者個人の問題とせずに、子どもたちの成長の問題ととらえて、学年(学校)全体で取り組んでほしいと思います。

この日は、中学校の新教科と来年度から特別の教科になる道徳について相談を受けました。
新教科では、言語技術についての取り組みから始めています。主語と述語を見つける課題に取り組ませたところ、全問正解から3割ほどしか正解できない子どもまでかなりばらつきがあったようです。この差をどう埋めていこうということが話題になりました。これだけの差を個別に教師側で対応するのは難しいと思います。また、全問正解の子どもでも感覚的にわかっているだけできちんと説明できるかどうかは疑問です。できた子どもには間違えた子どもが納得できる説明をする。間違えた子どもはその説明を聞いてできるようになる。このことを意識させて子ども同士をかかわらせる場面をつくることをアドバイスしました。
また、この新教科を何コマかをまとめて行うのか毎週1回行うのか、どちらが効果的かも悩んでおられました。特に言語技術のような内容はどの教科でも意識させたいものですから、週1回でよいので、すべての教科で機会を見つけて取り上げていただくとよいと思います。たとえば数学なら、問題文で何が問われているかを確認するときに主語と述語を意識させるといったことです。新教科で何を扱っているかを伝え、それを意識したことをほんの少し授業に取り入れてもらうのです。校内ネットワーク上でこのように扱ってみたという実践の簡単な書き込みをしてもらい、互いに参考にし合えば広がっていくと思います。
道徳については、今までほとんど実践していなかったためどのように進めていけばよいのか戸惑っているようです。優れた道徳の実践はたくさんありますので、そういったものを参考にしてとりあえずやってみることが大切だと思います。意識してほしいのは、子どもたちを変えよう、このように考えさせようとすると先生の求める答探しをするようになってしまうことです。まずは本音を引き出し、子どもたちの心を耕すことを目標としてほしいことをお伝えしました。
相談者の方々からは大変だけど楽しいという言葉が出てきました。このような言葉をこの学校の先生方から聞くことが増えてきました。先生方の前向きな姿勢がこの学校の推進力となっています。どのように学校が変わっていくのか毎回とても楽しみです。
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