子どもが学び合うために大切なこと

1学期に訪問した小学校の授業アドバイスです。

1年生の道徳は、主人公が水やりをする時間になったのに気づかず、気づいた時に1回くらいやらなくても大丈夫だという友だちの言葉に従ってサボってしまったら、翌朝苗がしおれていてドキドキしたという話でした。授業者はゆっくりとわかりやすく話をします。少し集中していなかった子どもも次第に集中していきます。
話し終わった後、内容の確認をしました。最初に登場人物は誰かを問いかけますが、手が挙がるのは2/3くらいです。先生、女の子(私)と発言が続きます。コの字型にしているのですが、子どもは黒板の前に立っている授業者に向かって話をします。授業者ではなく友だちに向かって話すことを意識させることが大切です。そのためには、授業者が黒板の前でなく、子どもたちにもっと近い位置に立つといったことが必要です。
登場人物が2人挙がったところで、挙手がずいぶん減ってきました。登場人物は先生、私、友だちの3人なのですが、3人目が発表されてもまだ手を挙げている子どもがいました。授業者は「いいよ、ありがとう」と言って先に進みましたが、ここは、手を挙げている子どもを指名して聞いてみたいところです。間違った読み取りをしていたかもしれませんが、授業者も気づいていないよい視点での発言かもしれません。ここで切ってしまうと、授業者の求めるものしか発言できないというヒドゥンカリキュラムになってしまいます。
続いて、友だちと私がどんなことを話したかと内容を聞きますが、記憶がはっきりしないためか、手が挙がる子どもはわずかです。子どもたちは、自分が答えられないので参加意欲が失われ、友だちの話も聞いていません。集中力がどんどん下がっていきました。小学1年生にとって、話の内容を記憶することは想像以上に難しいことです。新しい人物が登場したらその場で確認し、話のポイントと合わせて黒板に書き留めるといったことが必要です。
また、挙手できない子どもをどう参加させるのかも課題です。授業者は、「みんなの意見が大切」「パスしてもいいけど、最期は意見を言って」「友だちと同じでもいいから、しゃべって」と子どもたちに告げますが、その時点で子どもたちの集中力は切れているので、多くの子どもが聞けていません。子どもたちの姿勢を正し、集中させてから話す必要がありました。話すだけでなく、実際に指示したことできた時にはほめて、よい行動を強化することが大切になります。先生が言ったことが具体的にどういうことなのかは、小学1年生ではなかなか理解できないからです。
また、子どもたちの聞く姿勢がまだ育っていないようなので、聞くことを評価する場面をつくることが求められます。「今、○○さんの言ったこと、もう一度言ってくれるかな?」「○○さんの考えをなるほどと思った人、どこでそう思った?」「○○さんの考えとどこが同じ、どこが違う?」といったことを問いかけ、ちゃんと聞いていれば活躍できる、ほめてもらえるということを子どもたちに実感させてほしいと思います。

2年生の算数は、子どもたちが問題を解く場面でした。
授業者は子ども同士で学び合ってほしいと願っているようです。このことはとてもよいことだと思います。
子どもが席を移動して教え合っていますが、一方的に教えている子どもが目立ちます。授業者は「後20分でわかるようになれよ」と子どもたちに大きな声で指示しています。机間指導をしながら、「正解」と声かけをしますが、これでは「わかるようになれよ」と言っているのに「正解」が「わかること」になってしまいます。そうではなく、問題の解き方を見つける力・考える力、説明できる力を大切にする必要があります。「考えて」と授業者は声をかけますが、具体的にどのようにすればよいのかは指示がありません。抽象的、感覚的です。授業者は絶えず何かしらの声をかけていますが、授業者の声が大きくなると、子どもたちの声も大きくなります。互いの声が影響し合ってどんどん大きくなり、教室は騒然としてきました。
「(教える人が)どんどん入れ替われ」と指示しますが、これでは教える側は言いっぱなしで、わからなければ相手の問題で仕方がないと無責任になってしまいます。そうではなく、「わかるまで」付き合う姿勢を持たせることが大切です。授業者は「逃げとるやつがいる。最悪」といいますが、次から次へと一方的に教えられたら、嫌になる子どもがいてもおかしくありません。静かな雰囲気の中で、じっくりと考えるようにする必要があります。正解ではなく、考え方をいかに共有できるかを意識して授業を見直してほしいと思います。

この続きは次回の日記で。
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