中学校で、各学年の様子から考える

先週は中学校で授業アドバイスを行ってきました。

前回訪問時、1年生は授業者によって態度を変えたり、どこまで許されるのか探ったりしている感がありましたが、今回はそういったことが感じられませんでした。どの学級も落ち着いた状態で授業に向かっていました。学年全体でどのように子どもたちに対応するのかの意思統一ができているのだと思います。ただ、どの学級にも、わからない、手がつかない状況の子どもが目につきます。やる気がないのではなく鉛筆を手にして解こうとしているのですが、そこから先に進めないのです。この状態が続くと最後にはやる気もなくなってしまいます。かといって、授業者が個別に指導するにも限界がありますし、何より先生が個別に対応するとまわりの子どもたちがその子どもは先生が対応するから自分たちはかかわらなくてよいと思ってしまいます。子ども同士の関係が切れてしまいます。まわりの子どもに助けを求めるように声をかけたり、ペアやグループでの活動で教えてもらえる機会をつくったりすることを意識してほしいと思います。また、授業時間以外でも、困っている子どもたちが学習する機会をつくることも必要でしょう。「前回の試験でよくわからないところがあった子どもは勉強会をするよ」と、授業後に学習する場を設けたりするのです。互いに聞きあうことを中心にしますが、可能であればできる子どもも先生役を期待して参加させるとよいでしょう。先生は基本的に教えないことにして、教科に関係なくだれかがその場にいるようにすることで負担も分担できます。自分の専門教科外であれば、子どもと一緒に考えることをしてもよいと思いますが、答を教えるのではなく、教科書や資料を一緒に見たりして、あくまでもサポートに徹することが大切です。自ら友だち聞くことも含めて、子どもが主体的に学習に取り組むことができるようにしてほしいのです。
学習面で苦しんでいる子ども以上に気になったのが、できる子どもの一部の態度です。わかっているからと、説明を聞き流したり、挙手をしなかったりという子どもが結構いるのです。塾等で学習している子どもなのかもしれませんが、こういった子どもをきちんと授業に参加させないと、次第に授業規律も緩んできます。本来、行事などでもリーダーシップを期待したい子どもなのですが、一歩下がった冷ややかな態度を取る可能性もあります。こういった子どもには。自分が正解することではなく、他者の役に立つことで有用感を与えることが必要です。友だちの考えを代わりに説明してみんなに納得させるといった役割を与えるとよいでしょう。「○○さんのおかげでよくわかったね」とほめることで自己有用感を持たせたいところです。

2年生は、4月に気持ちがリセットされてやる気が出ていた状況から、少し変化が見られました。集中力を失くしたり、受け身になったりといった子どもたちの姿が見られます。頑張ってきたけれど達成感が得られていないため、エネルギーが低下しているように思います。だからダメだというわけではありません。子どもたちが頑張ろうという気持ちを失くしてしまった状態ではなく、4月からの緊張が切れた状態なのでしょう。これから盛り返すのか、下降していくのかの分岐点にさしかかっています。子どもたちは自分で自分を認められないので、先生方がほめてやることが必要な状況だと思います。結果が出ていないとほめられないと思うかもしれませんが、スモールステップで評価することで、子どもたちのエネルギーを引き出すことができると思います。子どもたちをうまく認めながら進めている授業では、子どもたちのやる気をみることができます。もうすぐ校外学習がありますが、これはチャンスだと思います。先生方から見ると満足できない状態になるかもしれませんが、できているところ、やれているところを認めてほめることを意識してほしいと思います。

3年生は修学旅行が終わってどのような変化がみられるか楽しみしていたのですが、4月とあまり変わらない状況でした。修学旅行でエネルギーが高まるでもなく、落ち着かない状況でもなく、淡々と授業を受けているという感じです。部活動の最後の大会が近づき、それが終わると受験勉強が本格化しますが、傍からはそこに向かって行こうとしている状態には見えません。落ち着いて授業を受けているのですが、下手に頑張れと声をかけても逆に「そんなに言わないで」と引いてしまいそうに見えます。様子を見ているというか、モラトリアムというのか、なかなか難しい状況です。担任が毎日少しずつ、受験という目先のことではなく、もっと将来について考えるように働きかけることが有効なように思います。「君たちが社会で働く時はAIの時代って言うけど、どんな時代だろうね?食事の時にお父さんやお母さんはどう思うか聞いてみたら?」というように、少しずつまわりから刺激を与え続けることが必要でしょう。

どの学年主任も、子どもたちをよく見て、その状況を理解しています。あとはどのように働きかければよいのか学年全体で意見を出し合い、最後は意思統一して取り組めるかどうかです。チームワークが決めてとなります。夏休み前までが勝負だと思います。

体育と国語の授業研究がありましたが、それについては次回の日記で。
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