子どもたちの気がかりな変化

2学期に3回訪問した中学校では、1、2年生の子どもたちに気になる変化を感じました。

1回目は、体育大会が終わった後の訪問でした。
しっかりとやり切ったのでしょう。学校全体はよい雰囲気でした。夏休み前はちょっと心配していた1年生ですが、一部の学級を除いて授業規律もよいように思いました。ただ、授業者によって子どもたちの態度が異なるということは依然としてあるようでした。学年で統一して取り組もうとしているのでしょうが、中々意識が統一できないようです。
2年生は、特に大きな変化を感じることもなく、落ち着いて授業に取り組めているようでした。

ところが、合唱大会の少し前に訪問した時に、変化が起きていました。
1年生で、以前は一部の時間や学級でしか見られなかった、授業に集中していない子どもの姿が、どの授業でも目につくようになっているのです。このこと自体はよくあることなのですが、問題は授業者がそれをスルーしていることです。気づいていないのか、見ようとしていないのかはよくわかりません。しかし、放置しておくということは、子どもからすればその行為は許されたことになります。ヒドゥン・カリキュラムです。今の段階であれば、4月当初のように、望ましい行動を確認し、できた子どもを認め、できていない子どもができるまできちんと待ち、そのことをほめることすれば、よい方向へ変わっていくはずです。
2年生は、一見すると大きな変化が無いように見えます。授業規律が乱れているということおありません。しかし、わかりたい、できるようになりたいという前向きなエネルギーが感じられなくっています。このことは、合唱大会の練習風景にも表れていました。
この学校の合唱大会は準備期間も長く、毎年子どもたちの。素晴らしいものにしたい、勝ちたいという意欲、エネルギーを感じさせられるものですが、どうも今年はそのエネルギーが低いように思えるのです。2、3年生は昨年と比べて明らかに子どもたちから感じる意欲が低下しています。
先生方とお話をしてみると、ベテランの方はこのことに気づいておられます。当然それなりの対応をされるでしょうから、それほど心配はしませんでした。

さて、2学期末の試験前に訪問したところ、合唱大会は例年通り素晴らしいものだったと報告を受けました。きっと先生方が、ちゃんと対応されたのでしょう。授業でも子どもたちが落ち着いて参加する姿が期待されます。ところが、教室を回ってみると、子どもたちの様子は私の想像とは大きく違っていました。
1年生は、今までぽつりぽつりと点で見えていた気になる子どもたちが、明らかに増えているのです。どの学級にも学習に対して意欲を失くしている子どもの姿が見られます。それに対して先生方が働きかけをしていません。放っておかれているように見えます。なにも、口うるさく注意しろと言うのではありません。その子どもたちが授業に参加できる場面を意図的につくるのです。ペア活動やグループ活動でかかわり合うように、ちょっと声をかける。困っているところ聞いてやる。そういったことを積み重ねるのです。
そして気になるのが、そういった子どもたちがつながりだしているということです。授業者の目を盗んで、つながろうとしているのです。あまりよい表現ではありませんが、ブラックホールのようにまわりを巻き込みだしているのです。
一方2年生ですが、1年生のようなことはないのですが、どうにも子どもたちが緩いのです。一緒に授業を見ていた先生が、フワフワしているという言葉を使われましたが、まさに言い得て妙です。授業の開始時、どの学級も異様にテンションが上がります。授業が始まっても、どこか集中していません。この学校で子どもたちのこんな姿を見たことは、ここ何年も記憶にありません。行事の余韻が残っているにしても、時間が経ちすぎています。この変化はとても気になります。

行事を通じて、子どもたちの交友関係に変化があった時など、新しい人間関係が授業に持ち込まれて、落ち着かなくなることがあります。これは、文化祭でのグループ作業や、修学旅行や校外学習などの小集団での活動が中心となる行事の後で見られることがあるのですが、合唱大会の後ではあまり見たことがありません。いずれの学年の問題も、管理職や主任層、ベテランは認識しています。しかし、その危機感や指摘がどうも若い先生と共有できていないことが問題のようです。端的に言うと、若い先生がこの状況を悪い兆候だと実感持ってとらえていないのです。
1年生で言えば、気になる子どもはいても席を立ったり授業を妨害したりするわけではありません。授業は通常通りに大過なく進んで行きます。2年生で言えば、テンションが高いのは、子どもたちが参加していることの現れともとらえることができます。楽しくやっているし、個人作業の課題を与えればちゃんと鉛筆を持って取り組むので、問題ないと考えているのかもしれません。
経験のある方は、こういったことが、今後急激に学校が落ち着かなくなる兆候ととらえることができるのですが、そういった経験がない若い先生はその実感がありません。特にこの学校しか知らない方は、そういった状況を見たことがないのです。

生徒指導主事や教務主任とも話をさせていただきましたが、担任の先生方を中心に学校全体で取り組んでいかなければいけない問題です。経験の少ない方が多いので、単なる警告だけでなく、どう対応していけばよいのか具体的に伝えなければいけません。
今後主任層を中心に対応をしてくださると思いますが、次回訪問まで少し期間が空くのでちょっと気がかりです。

この3回の訪問で、いくつかの授業研究もありましたが、それについては次回以降の日記で。
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