子どもの多様な考えを認めようとした授業

昨日の日記の続きです。

2年生は九九の決まりを考えて九九の表にないかけ算の答を考える授業でした。

学び合いを意識して机の配置をコの字の形にして授業を進めていましたが、友だちの発言を全員の子どもが聞いていないことがあります。また、コの字の形にしているにもかかわらず、子どもたちが黒板の前にいる授業者の方を向いて発言しています。互いの発言を聞きあうことが、まだ徹底できていないようでした。基本的にまっすぐ前を向けば友だちに向き合うはずですが、どうしても授業者の方を見てしまうのであれば、子どもの視線から外れるようにしゃがんだり、子どもの視線が授業者に向かっても友だちの方を向くように一番前の子どものすぐ横に立ったりするとことが必要です。コの字の形の時は、子どもたちとやりとりする場面では黒板のすぐ前に立たないことを意識するとよいでしょう。
授業者は学習規律を意識できています。子どもたちの指示が徹底できるまで、指示を繰り返したり、待ったりできます。先ほどの立ち位置についても、そのことを意識すればすぐにできるようになると思います。
子どもが指示に従った時に、そのことをほめたりして認めることが少なかったのが気になりました。この時期だからかもしれませんが、うなずくだけもいいので、承認してあげたいと思います。

4×12列の●を提示して、この数を求めるのがどのような式になるかを問いかけます。指名した子どもが「かけ算」と発言します。「4が12列ある」ということを言ってくれる子どもがいます。そのことを最初に発言した子どもに確認します。子どもの考えをつなぐことを意識できていました。よい場面でした。「12が4列」という発言もでます。ここで、4と12がどこにあるのかを確認するとよかったでしょう。そうすることで、「4が12ある」「全部4」「4つずつ12」といった言葉を引き出すことができます。こうすることで九九の決まりを見つけるための視点を与えることができます。「決まりを見つける」場面では、決まりに気づけることも大切ですが、その根拠を意識できることも大切です。「同じものが、いくつかある」からかけ算になっていること、この例であれば「4つずつ」あるから、「4つずつ」増えるという決まりが導き出されることに気づかせたいところでした。

子どもたちの発言が挙手指名で行われているのですが、特定の子どもが何度も指名されます。挙手に頼らず意図的に指名することも必要です。挙手が少ない時には、まわりと相談させるといった方法もあります。できるだけ多くの子どもに考えを外化させることが大切です。

どのようにしてこの数を求めるかを考えさせるところで、面白い場面がありました。6×6という間違いが出てきたのですが、授業者は間違いと切り捨てませんでした。よい姿勢です。間違えた子どもは上手く説明できませんが、他の子どもが12列を6と6に分けて考えたことに気づいてその子どものかわりに説明しました。6と6で6×6と考えていたのでした。このあと、4×12の答をどうやって求めるかで、「4×6が2つ」という考えができました。間違いであっても、そこから新たな発想が出てくることもあります。間違いもていねいに対応することの大切さを感じました。
友だちの考えを理解できた子どもは評価されますが、間違えた子どもは評価されません。間違いだったのですから、どうしても落ち込みやすくなります。「わかってもらえてよかったね」といった言葉をかけて気持ちを前向きにすることも大切です。「4×6が2つ」という考えがでたところで、間違えた子どもの考えとつないで、「○○さんの考えとつながったね」評価したいところでした。

面白い場面であったのですが、6×6の間違いはかけ算の意味が定着していないということですので、注意が必要です。この授業に入る前にかけ算の復習をもう少しする必要があったと思います。「4が12列」から出発するのではなく、「4が8列」くらいから始めて4×8という式を確認して九九で答を出すまでを復習としてやってもよかったかもしれません。6×6という間違いがあってはいけないということではありませんが、ここで、かけ算の意味を確認しておけば避けられたかもしれません。
誘導的になるので賛否はあると思いますが、続いてもう1列4を足すとどうなるかを考えても面白いかもしれません。「4×9を九九で計算する」「32に4を足す」といった考えが出てきたあとに、この4×12に挑戦させると素直にねらった考えは出てきたと思います。

子どもたちからは多様な考えが出てきますが、これをどのように整理していくのかが難しいところです。ねらったものに焦点化していくことになりますが、子どもたちは自分の考えで正しい答が出た時はそれに固執する傾向があります。焦点化したものを全員が自分のものとして理解し、納得する場面が必要です。ねらった考えを「○○さんの考えたことを隣の人に説明して」といった活動を入れるとよいでしょう。もし、その内容が理解できていないようであれば、焦点化した後、グループや個人に戻して考える時間をとることも大切です。なかなか難しいことですが、子どもたち一人ひとりの考えを大切にすると同時に、全員が理解し身につける必要があることはきちんと定着させなければいけません。このことは忘れないようにする必要があります。

グループで活動している時に、一部のグループに入り込み過ぎることがあります。グループの活動では、参加できていない子どもなどに必要な支援がすぐにできるように、常に全体を見ることを意識してほしいと思います。

授業者が一人ひとりの子どもの考えを受容しているよい場面がたくさん見られた授業でした。学び合いを意識しているのですが、基本的な進め方やポイントがまだ自分のものになっていません。学び合いの授業に取り組んでまだ日が浅いので無理もありません。学校全体で進め方の基本を共有していくことが大切だと思います。

この続きは明日の日記で。
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