「何を考えさせるのか」「どんな力をつけるのか」というねらいを意識した活動が大切

昨日の日記の続きです。

6年生の理科の授業は、LEDと豆電球の電気の使用量の違いを考える実験でした。
手回し発電機で発電した電気をコンデンサーに蓄え、どれだけの時間光っているかを調べる実験をしているところから参観しました。子どもたちは実験に夢中です。じっとLEDや豆電球が光っているところを見ています。授業者が途中で指示をするのですが、子どもたちは目を離すことができないので、指示をしっかり聞くことができません。途中で止めることが難しい実験などの時は、必要な指示は事前にしておく、言葉ではなく板書やディスプレイに表示するといった工夫が必要です。
また、LEDがかなりの時間光り続けているので、その間ごそごそしてしまう子どももいます。何回手回しするかで決める充電量を子どもたちに決めさせたので、回数が多すぎたのです。実験時間から逆算してある程度縛りを設けるか、試しに1回やって見て、長すぎないような回数になるように誘導すべきだったでしょう。
実験を終えたあとの子どもの状況が、「結果を板書する者」「板書を写すもの」「片付けをする者」「考察をする者」とバラバラになっていました。授業者は力のある先生です。よい行動をほめて促そうとしているのですが、この状況ではあまり効果がありません。ここは一旦動きを止めて、順番に行動を指示したいところでした。
結果から考えたことを考察するのですが、まず全体で結果を整理したいところでしたが、時間が押していてその時間を取ることができませんでした。子どもたちは、実験には楽しく取り組んでいたのですが、実験から何を知るのかという意識は薄かったように見えました。授業者は「なぜ信号機がLEDに変わっているのか?」という疑問を最初に持たせようとしていたようです。しかし、子どもたちにはよくあることですが、そのことは薄れてしまって、どれだけ長く点いているかという競争のようになっていたようでした。
理科の実験では、その実験から「何を確かめたいのか」「どんな疑問を解決するのか」といったことが大切になりますが、子どもたちは、ともすれば、実験そのものに興味が行ってしまいそのことを忘れてしまいます。実験を行う時はこのことを意識しておく必要があります。

もう一つの6年生の学級の授業は体育のバスケットボールでした。昨年の初任者です。
体育では床に座って話を聞く場面が多いのですが、顔が下を向いてしまいやすい姿勢です。指示が徹底しないとケガをする危険が増します。子どもたちの目線が自分に向かっているのを確認して話をすることが大切になりますが、顔が上がっていない子どもが目立ちました。
子どもたちが動いている時に、「上着をどうするんだったか覚えていますか?」と問いかけます。問いかけそのものは悪くないのですが、まず動きを止めてからにしないと、きちんと伝わりません。
寒いせいもあるのですが、子どもたちが準備運動を雑に行っています。寒い時だからこそ、しっかりとする必要があります。ランニングを全体で行いますが子どもたちがばらけています。授業者も一緒に走っていますが子どもたちの様子をよく見ていないようでした。
「子どもたちをよく見る」「指示を徹底する」「準備運動をしっかりする」といったことは事故防止のためにもとても大切なことです。このことをしっかりと意識してほしいと思いました。
この日はドリブルで相手のゴールを目指すことが課題です。上手な子どもを指名して手本にします。子どもに活躍の場を与えることはよいことです。また、子どもに手本を示させるとは、授業者も解説したりどこがよいかを子どもたちに問いかけたりしやすいので積極的に活用すべき方法です。ところが、授業者はどこが、どうよいのかを確認しません。どこが上手かを子どもたちに気づかせて共有する場面が必要でした。子どもたちによくある悪い例を授業者が見せて、見本の子どもと比較させてもよかったでしょう。
まずその場でドリブルさせますが、膝が伸びて毬つきのようになっています。ポイントの確認をしていなかったことも影響しているでしょう。子どもたちが広がってから、ボールの扱いを指示しますが、この状態だとどうしても指示は通りにくくなります。一旦集合させた方がよかったと思います。
続いて緩急をつけたドリブルをさせますが、その時のポイントは何でしょう。こういったことを考える場面がありません。ただ活動しているだけです。見本を見せることもそうですが、試しにやって見て、どうやるとうまくいくかを相談したり発表させたりするとよいと思います。
子どもたちの集合の時の動きが気になります。どの子どもも移動の速さが同じなのです。体育で集合する時は、遠くにいる者はできるだけ速く移動するように習慣づけておくことが大切です。そうしないと、結果的に近くの子どもは待つことになってしまい、だらけてしまうのです。
コーンのまわりをスラロームしながらドリブルで往復します。リレー形式で競争をするのですが、ここでも大切なことの指示やポイントの説明がありません。リレー形式なのですから、次の人にボールを渡す必要があります。子どもたちはボールを放り投げてしまうので、次の人は大変です。次の人がとりやすいようにパスすることを意識させることが大切です。また、3チームに分かれていましたが、待っている時間は結構長くなります。待っている間に何をするのか、何を見て考えるのかといった指示も必要でしょう。友だちのよいところ、改善点などを見て伝えるといった役割を与えたいところです。また、左利きの子どもも右利きと同じ方向に回ります。通常バスケットボールのドリブルは、回る向きで左右の手を使い分けます。こういったところにも配慮して指示をしてあげるとよかったと思います。
ハーフコートを使って3対2の練習をします。チームで作戦を立てるように指示しましたが、全員が参加できていません。一部の子どもで話が進んでいました。また、作戦を評価する場面がありません。やりっぱなしになってしまいました。どのような作戦を考えてその結果はどうだったか、全体で共有したいところでした。
この授業でどのような力をつけたいのかがよくわかりませんでした。活動はありますが、子どもたちが上手くなるための仕組がはっきりしません。体育は上手くなるためのポイントがはっきりしている教科です。子どもたちが上手くなるためにはどのような活動が必要かを考えて授業を組み立ててほしいと思いました。

最後に6人の授業者全員に対してお話をさせていただきました。この学校は来年度道徳の研究発表の会場となって先生方が道徳の授業を公開します。そのこともあり、特に道徳の読み物資料の読み取りについて詳しく話をしました。皆さんがこのことを意識して取り組んでいただければうれしく思います。
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