話し合いの仕方を考える授業から学ぶ

昨日の日記の続きです。

2年生のもう一つの学級はグループで話し合いをするときに気をつけることを考える国語の授業でした。
話し合いのCDを聞いて、話し合いの仕方と気をつけることを確かめる場面です。言語活動の充実で「話し合い」を扱う教材が増えてきています。この授業に限らず「話し合い」の定義が曖昧になっているのを感じます。グループで相談して自分の考えをまとめることを「話し合い」と言っています。全体で一つの結論を出すのも「話し合い」です。この教材では結論を出す「話し合い」を扱っています。授業者はこのことを意識させようとしていたようですが、グループでの活動も「話し合い」と言っていることもあり、子どもたちにはその違いは明確になっていないようでした。
「上手な話し合い」の仕方を考えるといった言葉も、どういうことなのかわかりません。ここをきちんと押さえていないと、ただ話し合いでそれぞれが「何を言っているか」を取り上げるだけで、それがどういう意味を持っているのかわからなくなります。形式的に手順を追うだけになってしまいます。
子どもたちが考えるための視点や方向性がはっきりしていないので、ただ気づいたことを言い合うだけです。子どもたちが気づいたことをもとに、授業者が話し合いの流れ(手順)を整理していきます。最終的には子どもたちが授業者のまとめを写すだけになってしまいました。なぜ、そのような役割が必要なのか、話し方をしなければいけないのかを、子どもたちが考える場面がありません。2年生なので難しいところもありますが、「話し合い」で大事なことは何かを考えさせることが大切です。算数で「こうやると答えが出るよ」と解き方の手順を教える授業のようになってしまいました。
子どもたちと授業者、子ども同士の関係もよい学級です。授業規律もしっかりしているだけに残念でした。

まず「みんなの考えをまとめて結論を出すことを目的とした話し合い」であることを明確にする必要があります。その上で、結論はどのようなものであるべきかを子どもたちに考えさせることが必要です。「一人の意見で決まってはいけない」「みんなが納得するものでなければいけない」といったことに気づかせたいところです。「グループの時には同時に意見を言いたい人がいたらどうする?」とグループでは互いに譲り合えばすむことを確認した上で、「学級全員で話す時、同時に何人も意見が言いたい人がいたらどうする?」といったことを問いかけることで司会者の必要性に気づかせることもできます。おそらく2年生にでは事前に考えることができるのは、この程度ではないかと思います。
話し合いのCDをからどんなことをやっているかを早く整理して、なぜこのようなことをしているのか理由を考えさせることに時間を使うとよかったでしょう。「司会者が発言者に問い返した(質問した)のはなぜだろう?」「『他に意見はありませんか』と聞いたのはどうしてだろう?」といったことを、話し合いの目的(結論がどのようなものであるべきか)を根拠にして考えさせると、深まったと思います。
また、意見を言う時に気をつけることはどんなことかを考えさせるのであれば、CDの発言を取り上げて、ふだん友だちと会話する時との違いに気づかせるという方法もあります。授業者は態度面も気づかせたいと思っていましたが、CDでは話し合いの様子を見ることはできません。そのことを逆手に取って、ロールプレイをさせてもよかったかもしれません。「発言者はどこを向いてしゃべっているか?」「聞いている人はどこを向いているか?」「聞いている人はどんな反応をしているか?」といったことを焦点化すると、面白いと思います。

話し合いの仕方を考えるといった授業は、文章の読み取りとは違った要素がたくさんあります。スキルとして教えるだけでなく、話し合いとは何のために行うのかといった本質に迫るような授業を目指すことが大切だと思います。今回授業を見せていただいて、私自身このことについて具体的に考えることができました。よい学びの機会をいただきました。

この続きは明日の日記で。
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