活動の目指すものを意識して時間を使う

授業を見ていて、なぜ今この活動をしているのか、この活動に時間をかける意味はあるのだろうかと疑問に感じることがあります。限られた授業時間です。その授業で最も大切だと考えることに時間を使ってほしいと思います。そのためには、一つひとつの活動の目指すところを意識して、適切な時間の使い方をする必要があります。このことについて少し考えてみたいと思います。

たとえば、復習で子どもたちに確認する場面を考えましょう。すぐに手が挙がらないときは、思い出したり考えたりする時間をとるべきなのでしょうか。時間をとれば思い出せるとは限りません。考えるわけでもありません。教師や友だちから答がでるのを待っているだけなのかもしれません。答がわかっているが手を挙げないだけかもしれません。子どもが教科書やノートを調べようとしないのなら、待つ必要はありません。挙手していない子どもを指名するか、教科書やノートを調べるように促すかして、早く子どもを動かします。まわりと相談させてもいいでしょう。復習場面で考えさせることが必要であることはあまりありません。であれば、待つことにあまり意味はないのです(授業の導入を考える参照)。

資料や教科書の記述を探すことを考えましょう。見つける過程が大切な活動であれば、時間をかける必要があります。できるだけじっくり探させ、見つけた内容を問うことより、どのようにして見つけたかを聞くことも必要になります。早く見つけてその内容をもとに考えることが大切であれば、見つけることに時間をかける必要はありません。見つけたらまわりと確認するように指示したりして、早く全員がその記述に出会えるようにします(資料集をどう活用する参照)。

友だち同士が相談する場面でも注意が必要です。根拠をもとに話しているのであればいいのですが、単に答を見せ合ったり、確認したりするだけの場面であれば時間を多くかける必要はありません。テンションが上がっているようであれば、無責任な会話になっている証拠です。話が終わっていなくても問題はありません。すぐに活動を止めて先に進めばいいのです。逆に、子ども同士がかかわりながら考えを深めているような場面であれば、できるだけ時間をとりたいものです。たとえかかわりあっていないように見えても、個人が深く考えているような場面はとても大切な時間です。しかし、行き詰って手がつかなくなっているのなら無駄な時間です。いったん活動を止めて、全体で見通しを持つ時間をつくる必要があります。
これは、問題を解いているときも同様です。できていないからと余分に時間を与えても、見通しがなければ思考は止まったままです。時間を与えれば解けるわけではありません。次の指示を出していなければ、できた子どもにとってもムダな時間です(時間を与えることの意味参照)。
グループ活動後の発表でも、形式的に全部のグループに順番に発表させるのではなく、考えを共有したり、異なる考えに出会って考えを深めたりすることを優先してほしいと思います(グループ活動の後の発表参照)。

友だちと相談させるにはこのくらいの時間を与えよう。グループ活動はこのくらい、発表はこれくらいとあらかじめ決めておくことは大切です。しかし、それぞれの活動で目指すものを意識していなければ、漫然と活動するだけでムダな時間となってしまうことも多くあります。子どもの実態を把握し、目指す姿とのずれを修正し、ムダな時間を削り、大切な活動により多くの時間を使うよう意識して授業に臨んでほしいと思います。
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