【瀬戸市立道泉小学校】真っ赤に実ったサクランボ

 今から20年ほど前、本校のすぐ隣にIさんという方が住んでいらっしゃいました。そのIさんが、あるとき、サクランボの木を校庭の片隅に植えました。Iさんの娘さんの家の庭にあった木を分けてもらったそうで、「サクランボの実が付いたら、小学生の子供たちも喜ぶかな?」との思いで育ててくださっていました。
 数年後にIさんは、病気で亡くなってしまいましたが、亡くなった年の春、はじめてサクランボの実がなりました。その年に本校に勤務していた先生方が、サクランボの実を仏前にお供えしに行ったそうです。Iさんの奥様は、朝早く家を出て、朝食前に汗をかいて戻ってくる御主人を見て「いったい何をやっているのだろう」と不思議に思っていたそうですが、お葬式のときに学校の先生たちがたくさん来て、初めて御主人が毎朝水やりをしていたことを知ったとのことでした。
 時がたち、職員が変わり、なぜサクランボの木が学校の敷地内に植えられているのか誰も分からなくなっていました。しかし、当時のことを知る教員が本校に戻ってきたことで、この話を子供たちに伝えることができたのです。
 5月の中旬、今年もIさんのサクランボの木がたくさんの実を付けました。この話を聞いた子供たちは、うれしそうにサクランボの木を見上げていました。

画像1 画像1