前の記事でもお伝えしたように、2学期制の北区立学校では、本日は終業式ではありません。 しかし、夏休みや冬休みといった長期休業の前日、稲付中では全校集会を行っています。
なお、本日の全校集会では、下記の表彰も行いました。( 敬称略 )
【 社会を明るくする運動・作文コンテスト 】
北区立中学校長会会長賞 = 栗原彩野 ( 3年 )
北区更生保護女性会会長賞 = 石垣愛菜 ( 3年 )
【 バレー部 】 北区1年生大会 = 第3位 ( 田端中との合同チーム )
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今日は、多分皆さんも楽しみにしていたであろうクリスマスです。 そこで、今年最後の私の話は、そのクリスマスとも関連する話をしたいと思います。 いつもより少し長くなるので、その場に腰を下ろして聴いてください。
先月中旬、私は一つの新聞記事に目がとまりました。 それは、今から30年前のある世界的ヒット曲が、「 ワン・ダイレクション 」 や 「 U2 」 といったミュージシャンによって、新たにカバーされるという記事でした。
曲のタイトルは 『 Do They Know It’s Christmas ? 』( ドゥ ゼイ ノウ イッツ クリスマス? ) 「 彼らは、今日がクリスマスだということを知っているのだろうか 」 という意味です。
この曲は、1984年、約100万人が飢饉で死亡したアフリカの国・エチオピアを救済するためチャリティーソングとして作られ、ポール・マッカートニーなどイギリスのミュージシャンたちによって歌われました。
余談ですが、その翌年、この曲の影響を受けたマイケル・ジャクソンなどアメリカのミュージシャンたちが集まり、やはりアフリカの食糧難を救済するために歌ったのが、有名な 『 We Are The World 』 です。
今回30年ぶりに 『 Do They Know It’s Christmas ? 』 がカバーされたのは、エボラ出血熱対策を支援するためです。 今年、西アフリカ諸国で急激に感染が拡大したこの病気には、ワクチンもこれといった治療法もありません。
そのため、さる20日の時点で感染者数は2万人近くに上り、すでに7000人を超える方が亡くなっています。 そして、これ以上の感染拡大を阻止するためには、1000億円もの費用が必要だと言われています。
そこで、30年前アフリカの飢饉を救うために作られたこの曲を、今度はエボラ出血熱に苦しむ人々を救うため、現代のトップミュージシャンがカバーしたのです。 では、一度その原曲を、聴いてみてください。
♪ ♪ ♪ ( 歌詞カードを配り、曲を聴きました ) ♪ ♪ ♪
日本でも、クリスマスを祝う習慣はすっかり定着しました。 今夜は、多くの人がご馳走やケーキを食べ、プレゼントを交換することでしょう。 もしかしたら今日は、世界中が1年で一番華やぐ日かもしれません。
しかし、その一方で、この地球上には、今日がクリスマスであることに何の意味もない人や、クリスマスなど祝っていられない人もいるのです。 そして、その人たちを苦しめているのは、伝染病だけではありません。
中東諸国には、宗教や政治的対立から今も紛争の絶えない国があります。 そこには、きらびやかなイルミネーションのかわりに銃弾や空爆の閃光が飛び交い、死の恐怖に脅えて暮らす子供がいます。
また、アフリカ諸国には、気候変動により常に食糧や水が不足している国があります。 そこには、ご馳走やケーキはおろか一切れのパンが無かったばかりに、栄養失調で命を落とす子供がいます。
私たちが、笑顔で語らい、食べ、歌い、素敵なプレゼントに胸をときめかせているとき、ひっそりと息を潜め、なんとか今日を生き延び、明日という日を無事に迎えられることだけを、星に祈っている人がいるのです。
『 Do They Know It’s Christmas ? 』
… 彼らは、今日がクリスマスだということを知っているのだろうか?
そんな彼らに対して、私たちはいったい何ができるのでしょう。 残念ながら、今の私たちには、彼らの抱える問題を根本的に解決できるような知恵も力もありません。
ただし、街中が華やぎ、皆がワクワクするような気分に浸っているとき、頭の片隅のどこか冷めた部分で、そういう人々の悲しみ ・ 苦しみにも思いを至らせることは、とても大事なことだと思います。
その思いは、いつか自分にできるささやかな行動へとつながるかもしれません。 また、先ほど聞いてもらった曲の歌詞にも、【 今夜、神様に感謝しよう。 自分がそこにいないことを 】 とありました。
当たり前のようにクリスマスを祝えることが、実はどれだけ幸せなことなのか … 。 そこに気づくだけでも、意義があると思います。 なぜなら、それは、身近な人や物への感謝の気持ちを芽生えさせてくれるからです。
明日から、冬休みです。
楽しいクリスマスやお正月を控えた今、改めて考えてみましょう。 全ての人々が、心からの笑顔で 「 Merry Christmas 」 そして 「 Happy New Year 」 と言える世界にするために、自分に何ができるのかを … 。