「 競争から逃げる言い訳 」 という表現が大袈裟であれば、「 ナンバーワンとオンリーワンを、対義語と勘違いしている人 」 といっても良いでしょう。 改めてこの曲の、サビの部分を思い出してみてください。
♪ そうさ、僕らは 世界に一つだけの花 一人ひとり違う種をもつ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい … 。
言われるまでもなく私たちは、誰もが違う種をもって生まれてきました。 もって生まれた種が違うのですから、咲かせる花、つまり、能力や個性が違うのも当たり前です。
その種は、もしかしたら国語分野の種かもしれません。 あるいは、数学や外国語分野の種かもしれません。 音楽や体育、家庭科分野の種をもって生まれた人もいるでしょう。 ただ、共通して言えることが一つあります。
それは、種はそのままでは芽を出さないし、花を咲かせることもないということです。 『 世界に一つだけの花 』 の歌詞にもあるとおり、花を咲かせるためには一生懸命努力しなければなりません。
自分をさらに磨き上げ花を咲かせる努力を、それぞれが得意とする分野、それぞれの好きな分野で行うということ … 。 この 「 分野 」 という言葉は、英語で 「 field ( フィールド )」 といいます。
そして、その 「 field ( フィールド )」 には、「 競技場 」 や 「 競争の場 」 といった意味もあります。 つまり、一つのフィールドで自分の能力や個性を開花させる努力とは、良い意味での他者との競い合いでもあるのです。
「 ナンバーワンでなくていい。 オンリーワンであれ。」 私も、そう思います。 ただし、もしオンリーワンであろうとするならば、まず自分のフィールドにおいてはナンバーワンを目指すべきだというのが、私の考えです。
その結果、仮にナンバーワンになれなかったとしても、それを目標に積み重ねた努力は、けっして無駄になりません。 無駄になるどころか、いつかオンリーワンの自分を育む養分になることでしょう。
バラとチューリップ。 そのどちらが一番美しいかを争うことが無意味なのと同じように、国語と体育、数学と音楽、理科と美術など、違うフィールドにあるものを比べてナンバーワンを決める必要はありません。
ただし、たとえそれが何であれ、自分のフィールドではナンバーワンを目指して努力できる人、そして、いつかその努力によってオンリーワンの存在になれる人、世界に一つだけの花を咲かせられる人であってください。