校長式辞の様子
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例年より一足早い桜の開花に、うららかな春の訪れを感じるころとなりました。
本日ここに、第69回卒業証書授与式を挙行するにあたり、公私ともにご多用の中、北区教育委員会委員 渡辺 敦子 様をはじめ、多数のご来賓の皆様、並びに保護者の皆様方にご臨席を賜りましたこと、卒業生・教職員を代表いたしまして、心より御礼申し上げます。
さて、卒業生の皆さん、改めてご卒業おめでとうございます。
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今、一人ひとりに卒業証書を授与しましたが、凛とした態度で、卒業証書を受け取る姿に、君たちの心の成長を感じ、目頭が熱くなる思いです。引き締まった表情の中に、中学校生活3年間をやり遂げたという大きな満足感と、これから新しい世界へはばたくのだという力強い決意を感じ取ることができました。
みなさんは、最上級生として学校行事や生徒会・委員会活動、そして、部活動とリーダーシップを発揮し、稲付中学校の良き伝統を受け継いできました。また、新たに創り出した校風を、校内だけでなく、様々な場面で発信し、学校を牽引してくれました。
移転して、初めてこの校舎で行われた運動会。限られた校庭で、生徒席の確保から、演技種目の変更など、乗り越えなければならない、さまざまな課題を克服し、見事にやり遂げました。
色別代表生徒による檄を飛ばす応援では、1年生から3年生までがひとつのチームとして、一丸となり、今ある状況のもとで全力を尽くすことの大切さを示してくれました。
今月行われた合唱コンクールでの、最上級生としての団結力、そして、一人ひとりが声を形にし、つくりあげた迫力ある歌声は、下級生にとって、あこがれと目標の存在となりました。
何より、創立70周年記念式典に臨む姿勢は、多くの方の心を動かし、記憶に残るものとなりました。70年の歴史と伝統をつむぎ、稲付中学校にかかわる人々の絆を確かなものにしてくれました。
行事だけでなく、学校生活の基本である学習においても、積極的に手を上げ、皆で意見をかわし、授業を創り上げていました。
何事も、当たり前のようにやり遂げ、成果に繋げていく姿勢は、新たな校風として後輩達が必ず引き継いでいくことでしょう。
この当たり前のことを、ひとつひとつ確実に実行できることが、これからの変化の激しい社会では必要な力になります。
挨拶をすること、時間を守ること、話をしっかり聞くこと、きまりを守ること。これらは、全て他者との関係性の中で必要とされているものです。社会とは、自分ひとりで生きているのではなく、何らかの形で自分以外の人たちに生かされているものなのです。
今年開催された、平昌オリンピック、フィギュアスケート男子シングルで、羽生結弦選手が見事2連覇を果たしました。ケガからの復活をかけた金メダル獲得は、日本中に勇気と希望・大きな感動を与えてくれました。
日本に帰国後、所属契約を提携している航空会社で、金メダル獲得の祝勝会が開催され、その席で羽生選手は、次のように述べています。
「当たり前のような成功をつかみ取ることが、どれだけ難しいかということを、ここに帰ってきて感じています。飛行機は普通に離陸して、普通に着陸することが当たり前ですが、当たり前の成功の中には、たくさん、たくさんの方が、当たり前のために働いて、当たり前をすごくサポートしていて、そうした当たり前の成功のために全力を尽くしている方々がいるのです。」と。
当たり前とは、いわば土台です。当たり前という土台があるからこそ、次の一歩を確実に歩むことができるのです。当たり前のことを軽く考えている人は、基本をおろそかにしているということです。変化に対応し、前へ進むことができるのは、常に基本を大切に、当たり前のことをひとつひとつ実行しているからなのです。
稲付中学校で学んだ、当たり前のことを当たり前にできる力を生かし、自分の可能性を信じて、人生の歩みを着実に進めてください。
保護者のみなさま、お子様のご卒業まことにおめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。立派に成長されたお子様の姿に、十五年間の子育てを振り返ったとき、感慨もひとしおのことと拝察いたします。
皆さまにとって、かけがえのない大切なお子様を3年間お預かりし、私たち教職員一同、精一杯努力を重ねてまいりました。この間、学校に対する保護者の思いや願いに充分お答えできなかったこともあろうかと存じます。しかし、保護者の皆さまからは、いつも惜しみないご協力とご理解をいただきましたことに、この場をお借りして、改めて感謝申しあげます。
結びにあたり、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様に、御礼申し上げますとともに、最後のお願いがございます。本日、本校を巣立っていく121名の卒業生は、ご覧のとおり、一人ひとり大変立派に成長いたしました。これからは、地域で、また、国際人として、さらなる活躍が期待される生徒たちでございます。今まで以上に、皆様方の温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。
卒業生の皆さん、そろそろお別れの時が来たようです。稲付中学校は、君たちの母校として、いつまでもあなたたちを見守り、応援しています。うれしいことがあったときは、その喜びを伝えに来てください。自分の歩みに迷ったときは、遠慮せずにいつでも母校を訪ねてください。
私は、この3年間、君たちと共に過ごせたことを、そして、記念すべき創立70年という節目の1年間に、君たちがいてくれたことをとてもうれしく、誇りに思っています。
みなさんも、稲付中学校で学んだ日々を、この素敵な仲間たちと出会い、過ごした喜びを胸に刻み、これからの人生を力強く歩んでください。
この1年間、そして、3年間本当にありがとう。感謝の気持ちを込めて、さようなら。
平成30年3月19日
東京都北区立稲付中学校長 高田 勝喜