本日の全校朝礼では、以下の表彰も行いました。( 敬称略 )
【 平成26年度中学生地域防災力向上プロジェクト防災学校防災標語 】
最優秀賞 黒原未遥 ( 作品 ) 『 あわてない 心の備えが 身を守る 』
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本日5・6時間目に、今年度の生徒総会が開かれます。 そこで、今日はその生徒総会とも関連する話をさせてもらいます。 したがって、生徒総会での私の話は、時間短縮のため省略してもらってかまいません。
皆さんは3年生になると、社会科 ( 公民分野 ) の授業で 「 民主主義 」 について学習します。 「 民主主義 」。 字を見れば何となくわかると思いますが、3年生の公民の教科書では、次のように説明しています。
【 すべての人が意見や考えをもち寄り、方針やルールを決め、参加することで幸福の実現を目指す、これが民主主義です。】 … と、そのように 「 民主主義 」 を定義しているわけですが、生徒総会も似ていますね。
さらに、その民主主義が成り立つための条件を、教科書ではこう説明しています。 【 民主主義にもとづく社会 ( 民主社会 ) は、私たち一人ひとりが意思決定し、参加することで成り立っています。】
この条件は、まさに生徒総会のあり方そのものではないでしょうか。 そして、意思決定をするうえでのルールについては、こう書かれています。 【 民主主義においては、多数決がおもな意思決定の方法です。】
【 民主主義はすべての人が幸福になることを目指していますが、実際には立場や考え方の違いを歩み寄れない場合もあります。 そのため、より多くの人の意思を反映させる方法として、多数決が行われているのです。】
先月、大阪で行われた 「 大阪都構想 」 の賛否を問う住民投票は、そんな民主主義のあるべき姿を象徴するような出来事でした。 投票の結果は、皆さんも知ってのとおり、わずか0.8ポイント差で反対が賛成を上回りました。
そして、その結果を受けた橋下市長は、「 1票差でも負けは負け 」 として、政界からの引退を表明しました。 その是非はともかく、多数決の結果を尊重して受け入れるのは、成熟した民主主義のあり方だと思います。
ただ、一方で私は、こうも思うのです。 多数決が民主主義の大原則ならば、多数決はどんな時も必ず正義なのだろうかと。
例えば、第2次世界大戦前のナチスドイツを考えてください。 当時ドイツでは、後の独裁者 ・ ヒトラーの政治手法に大半の国民が賛同し、多数決によって決められる選挙では、大勢のナチス党候補者が当選しました。
それが後にヒトラーによる独裁制を招き、結果として多くの人々を不幸にしたことは、歴史が証明しています。 つまり、国民に善悪を判断する力が欠けているとき、多数決もまた国民を幸福にする正義にはなり得ないのです。
本日行われる生徒総会などの生徒会活動、つまり、生徒の皆さんによる自治活動にも、同じことが言えると思います。 生徒一人ひとりが参加し、多数決によって意思決定していく手法は、きわめて民主的です。
ただ、その決定が正義であるためには、皆さんの中に明確な善悪の判断、つまり 「 自分さえよければよい 」 という自己中心的な判断ではなく、「 稲中生全員が幸福になるためには 」 という判断基準がなければなりません。
そうした判断基準が確立されていれば、建設的な意見や質問こそあれ、ウケをねらったり無理難題を要求したりする発言は、けっして出ないはずです。 また、無関心な態度で総会に臨む人も、いなくなるでしょう。
本日の生徒総会が、成熟した民主主義に基づくものであることを期待しています。