冬休みが明けて、学校には生徒たちのにぎやかな声が戻ってきました。
2学期制の北区立学校では始業式がないため、稲付中では通常どおりの6時間授業です。 ただし、新年を迎えて全員が顔を合わせる最初の日なので、全校朝礼を開いて新年の挨拶を兼ねた講話を行いました。
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あけましておめでとうございます。
皆さんは、どんな年末年始を過ごしたでしょうか。 過ごし方は人それぞれでも、稲付中・長期休業の約束である 『 3つの落とすな ( 学力落とすな、品格落とすな、命落とすな )』 は、全員が守ってくれたことと信じます。
さて、私にとっては、家族と出かけたり親戚と交流したりした他は、特に何をするわけでもない年末年始でした。 犬を膝の上に載せて、のんびりとテレビを見ながら過ごした時間が、一番長かったように思います。
紅白歌合戦などの音楽番組、箱根駅伝などのスポーツ番組、新しく始まったドラマ、その他各種報道番組やバラエティー番組 … 。 普段あまり見ることのないテレビですが、この1週間は珍しくたくさん見ました。
それらの中で、私が最も印象に残ったものは何だったと思いますか?
実は、先ほど挙げたような番組ではありません。 それは、インターネット関連企業 Google ( グーグル ) のテレビCMだったのです。
お正月限定のCMだったため現在は放映されていないようですが、Google のホームページや You Tube ではアップされているので、興味をもった人は家に帰ったら見てみてください。
約1分間のそのテレビCMは、冒頭からさまざまな 「 失敗の瞬間 」 が映し出されます。 演奏している楽器から、外れた音しか出ない映像。 棒高跳びで踏み切る瞬間、肝心の棒が折れてしまう映像 … 。
大きな凧を揚げようとして、自分が凧に引きずられてしまう映像。 せっかく作った料理を焦がしてしまう映像。 設計したロボットが、予定と違う動きをする映像。 自転車や逆あがりの練習で失敗する映像 … 。
とにかく最初から最後まで、老若男女が失敗する実際の映像が、次から次へと映し出されていくのです。 いわゆる 「 ハプニング映像特集 」 のようで、見ているうちに思わず口元がほころんでしまいました。
ただ、それらの映像を流す目的が、単に笑いを取るためではなかったことに気づいたのは、CMの最後にこんなキャッチコピーが表示されたからです。
【 今年も、たくさん失敗できるように 】
私はそのキャッチコピーを見た瞬間、このテレビCMの伝えたかったテーマが、やっとわかりました。
何かをした結果は、失敗より成功が良いに決まっています。 しかし、その 「 何か 」 が新たな挑戦だったとき、すぐに成功できるとは限りません。 むしろ成功は、失敗と再挑戦を繰り返す延長線上にあると言えます。
そう考えると、何かに失敗するということは、何かに挑戦している証 ( あかし ) であると言えるのではないでしょうか。 つまり、Google のCM映像は、「 失敗者 」 ではなく 「 挑戦者 」 たちの姿を集めていたのです。
【 今年も、たくさん失敗できるように 】
たくさん失敗するかもしれないけれど、それと同じ数だけ再挑戦すればよい。 失敗を恐れて現状に甘んじる生き方より、失敗しながら前に進もうとする生き方のほうがよい … 。
約1分間のCMから、私はそんなことを考えました。
勉強、スポーツ、趣味 … 。 この2015年、皆さんも何か新しいことを始めてみませんか。 そして、ワクワクするような失敗を、たくさん経験しましょう。 それは、皆さんがやったことのない何かに、挑戦している証なのですから。