愛される学校づくり研究会

【第15回】鉄は熱いうちに打て! 1年生の生徒指導が3年間を決める!<苦しいことをどんどんやらせよ!―駅伝編>その8(最終回)


 生徒たちが頑張った分、続けてきてよかったと思えるよう、最後の締めくくりを大切にしなければならない。3年生を中心に最後にこんな駅伝部報を出している。長文で、イラストも写真も何もないが、毎年生徒たちは真剣に読んでくれる。3年生になると自分の名前が載ると楽しみにしている。私自身の思いが伝わるよう、この活動が伝統として続いていくよう思いを込めて書く。「苦しいことをどんどんやらせよ!」が意味のあることになるように。
 駅伝部報最終号を読んで、何か感じるものがあれば、臆病主任としてもありがたいと思う。
 

平成16年度 駅伝部報<No.8 最終号> −牧中より愛をこめて!−

よく頑張った! 感動した!

駅伝部員のみなさん、今まで本当にご苦労さまでした! 選手・補欠にかかわらず、2か月半本当によく頑張ったと思います。12月12日(日)に行われた駅伝大会は、全チーム繰り上げ発走することなく、タスキを引き継ぎ、完走することができました。また、ゴール地点であるパークアリーナでのアンカーへの声援も他の学校と比べものにならないくらいすごいものでした。本年度は男子3位、女子4位(古知野がいなけりゃ市内3位!)というAチームの結果でした。男子は古知野をかわし3位入賞を果たすことができ「超気持ちいい〜」思いで先生もいます。

 全チームの結果を見てみると、タイム的には、昨年度より全体の底上げができています。つまり、速く走れる人の絶対数が大幅に増えているということです。体育の授業で持久走を行っていますが、積極的に飛び出し、好記録を出している人はほとんどが駅伝部員の人です。一部の少数精鋭部隊での練習ではなく、200名という大所帯の小回りの利かない練習でここまでの結果を出せたということは素晴らしい事だと思います。それは、駅伝部のみなさんが、お互い競いあい、高めあって練習に参加してきたからだと思います。「無理矢理やらされて」「自転車通学が目的で」と中には「こんなことやっとれん!」と思いながら続けていた人も多いかと思います。でも、いやいやであろうが何であろうが、普通の人が最もいやがる「長距離走」を途中でやめずに続けたことが価値のあることで、これからの自分の人生の中での大きな自信になることだと思います。

 「駅伝っていいねー」「練習はイヤだったけど走ってすごく気持ちよかった」「3年間がんばったけど一度も区間賞がとれなくて悔しい!」「来年は燃えるよ!」と、いい結果が出た人、出なかった人にかかわらず、さわやかに話してくれる君たちの言葉に感動しました。「思うような走りができず責任を感じて落ち込んでいる人」「自分は出場できなかったけど大声で応援していた人」そんな姿に感動しました。この駅伝大会が終わるたびに「駅伝って本当にいいな〜…」と感じます。多くの感動をありがとう…。
 

3年生の姿が小牧中の駅伝部を支えているんだな…【男子編】

受験シーズンに入ってからも自ら進んで駅伝に参加してくれた3年生…あなたたちのような人がいるから後輩があとに続き、小牧中の伝統を引き継いでくれるのです。あなたたち一つひとつの言動が、小牧中の歴史のタスキなのだと思います。

●A君、3年間エース区間を走りきりましたね。眠りのAと友だちからもいわれているようですが、君の力はこんなもんではありませんよ! 高校で覚醒しさらにパワーアップした姿を期待しています。プレッシャーとよく戦いました。秘めたるパワーを全開に残り少ない中学校生活をおくってね!

●B君! 区間賞本当におめでとう! 1年・2年と君にはずっと耐えることを要求してきました。決して投げ出すことなく努力を積み上げてきた結果が出て本当に嬉しく思います。君は駅伝部の至宝でしたよ! さらに磨きをかけ素晴らしい人生のランナーになってください!

●C君、決して派手ではありませんが本当に地道に練習に参加しましたね。人生こつこつ積み上げることが大切です。これからは自分の夢に向かって自分の持てる力を精一杯出し切ってくれることを期待しています。ご苦労様でした。

●D君…どんな練習であっても絶対に愚痴をこぼすことなく誠実に練習に取り組みましたね。凄く力が付いたと思います。駅伝をやってみてどうでしたか? これからもいろいろなことに積極的にチャレンジしていってくださいね。

●E君! 長距離が凄く得意! というわけではないけれど3年間本当によく頑張りましたね! 君の物事に取り組む時の前向きな姿勢にはいつも感心していました。高校受験もきっとうまくいくと思います。できれば陸上をずっと愛してあげてくださいね!

●F君! 3年間ご苦労様でした! 大会で思う結果が出なくて悔しがっている姿が心に残っています。人間は悔しさをバネに頑張るのです。駅伝を愛しているから悔しさも倍増するのです。Aチームの一員としての自信と誇りを持って残り少ない中学校生活を精一杯生活してくれることを期待しています。

●G君…君も常に真面目に練習に取り組みましたね。何事に対しても正面からぶつかっていこうとするのは、君が心の強い人間だからだと思います。車道を駆け抜けたさわやかさを忘れないでください。タスキに乗せた思いを忘れないでください。

●H君…君も愚痴を言うことなく、黙々と練習に参加しましたね! 駅伝を通してきっといろいろなことを学んでくれたことと思います。3か月の練習がたった8分45秒のためにあるのです。その意味を君ならばきっと理解してくれたことと思っています。

●I君、6分03秒という記録を君はどのように受け止めていますか? きっともう少し走れたとか、区間賞までたったの8秒か…と思っているかもしれませんね。8秒の重みをどう受け入れたかで君のこれからのバスケット人生が大きく変わると思います。3年間本当にありがとう!

●J君も今年の活動はとても積極的だったと思います。苦しみを乗り越え進化していく自分を感じることができましたか? 走っている時の空気の動きを感じることができましたか? 自分の小さな変化を感じ、それを大切にし、大きく成長してくれることを期待しています。君なら何でもできる!

●K君、誠実さ溢れる駅伝への取り組み…君の長所ですね! 物事に前向きに黙々と取り組む…学校生活のいろいろな場面でそんな姿が見られます。駅伝はどうでしたか? きっと君のことだから多くのことを吸収してくれたと思っています。受験も頑張ってくださいね。

●L君…勉強と駅伝の両立で悩んだこともあるけれど、最後までやり切りましたね。君の芯の強さと、君を支える多くの仲間がいたからだと思います。駅伝を3年間つづけた事は絶対に君の人生の+になるはずです。苦しい時は駅伝の練習を思い出し夢の実現にむけ頑張ってくださいね。

●M君…恥ずかしがり屋だけど頑張りどころはちゃんとわかっていますね。俺こんなユニホームじゃ真剣に走らんよーといいながら区間7位の記録…しっかり真剣じゃないですか! 根っこにあるものが君は真面目です。人の心もわかります。そんな自分を恥ずかしがらずに出してくださいね!

●N君は1年の時から自主的に取り組んできましたね。言葉は多くなく目立ちませんでしたが、とてもいい味を出していましたね。何事にも自分から進んで取り組もうという気持ちが自分を成長させ、人生を豊かにします。3年間ご苦労様でした!

●O君、駅伝を続けてやってきてどうでしたか? 苦しかったですか? 楽しかったですか? 人生の苦労もきっと特別なホンの一瞬のためにあるのだと思います。苦しさの壁を破った後のさわやかさをきっと知っているから進んで取り組んだのだと思います。

●P君…今年は思うような走りができませんでしたね…それでもいつも練習に真剣に取り組み決して諦めませんでしたね。君のような存在が1・2年生の人を勇気づけるのです。得意なことをやるのは誰でもできます、そうでなくても黙々と取り組む姿が人を感動させるのです。

●Q君…自主参加でAチーム…立派でした。きっと今君の心が全てに前向きなのだと思います。<気持ちが変わると全てが変わる>今年の駅伝部の活動を通して、自分の新たなる可能性と、これからの人生に大切なものを感じ取ってくれたことと思います。

●R君…膝の故障と戦いながらよく頑張りました。今年は3年生らしい意地を見せてくれたと思います。長い人生、結果を焦らず、駅伝の時のように自分の前に立ちはだかる壁を一つひとつ打ち破り、自分の人生の目的地に到達してくれることを願っています。

●S君…練習にむらが時々ありましたが、人の心がよくわかるところ、先生は大好きです。根性なし男君ではありません。3年間なんだかんだといいながら駅伝を捨てなかったのは、君が駅伝の良さをわかっているからだと思います。夢に向け冬休み勉強あるのみ! 頑張れ!

●T君、粘りと根性で駅伝部の活動をやり切りましたね。最後の走りはどうでしたか? 苦しさの後にあるさわやかな気持ち…大切にしてください。やがてお父さんになった時、自分の子どもに駅伝について語る資格が君には十分あります。

●U君…君もこの3年間で大きく成長しましたね。真剣に走っている時の姿は本当にかっこよかったです。駅伝部の人たちはきっとうわべではなく、男としてがむしゃらに頑張ることに価値を感じることのできる、男の美学が理解できる人たちだと思います。

●V君…ダイエットのためとかいって自主的に参加しましたね。黙々と走る姿かっこよかったですよ。先生は自分の苦手なことに真剣に取り組もうとする人が大好きです。だからV君も大好きです。大会の時走っている時の気持ちを忘れないでくださいね。

●W君…3年間ご苦労様でした。1500m本当に速くなりましたね。恥ずかしがり屋で自分をそんなに外に出さないけれど、内に秘めたパワーにいつも感心していました。その気になれば4分30秒を切る力があると思います。機会があったらまた進んで参加し可能性を伸ばしてくださいね。

●X君も目立たないけれど、練習に真面目に取り組んでいました。こつこつと地道に頑張れる自分にもっと自信を持っていいと思います。大会当日は思うような走りができなくて悔しかったかもしれませんが、いつもうまくいかないから人生は面白いのです。チャレンジ精神大切に!

●Y君もよく続けました。高校入試は駅伝と同じように最後は粘りと根性です。一つのことに頑張れた人はここぞという時の集中力が違います。さあいよいよ中学校生活のラストスパートをかける時期です。タスキを渡す直前の気持ちを忘れず頑張ってください。

●Z君…君のことを昔園児とか言ってごめんなさい…。最後に根性見せてもらいました。君は根性あり男君でした。3年間でたくましくなりましたね。ねばり強く続けることの大切さをこの駅伝を通して理解してくれたと思います。勉強もこれからが勝負だ! 泣きを入れずに頑張れ!

●a君、弟に「お前もまだまだだな…」と言ってやりましたか? ゴールに入る直前のガッツポーズさわやかでしたよ! 古知野恐るるに足らずだ! 3位に入れて本当によかったね。自分に自信を持ってこれからも何事にも全力投球だ!<勉強も恐るるに足らずだ〜!>

●b君…君も3年間よく続けました。自分の自信のあることは何ですか? それは多分苦しくても頑張ってきたことだと思います。人生結果がすぐに出ることばかりではありません。1パーセントの可能性に自分の持てるものを全て出し切る自分であってください。

●c君…3年なんてあっという間ですね。もう卒業ですよ。バスケットに情熱をかける気持ちを大切に、これからの人生で駅伝が自分にとって凄く役に立ったと感じてくれる時が来ると嬉しいと思います。人生どれだけ粘れるかです。いつも苦しい時にもう一がんばりできる人になってね!

●d君…最後のラストスパート最高でした! 先生たちがゴール直前に<抜けー!!!!>と叫んだ言葉に応えて、<最後に抜いたよ!>と駆け寄ってきた時の笑顔、最高でした。全力を出し切ることのさわやかさをこれからのサッカーや勉強に生かしてくださいね!

 始めた動機が不純な人もいましたが、練習を続け、大会でタスキをつないでいく中で、多くの事を感じ取ってくれたことをうれしく思います。3年生はこれから進路一直線になっていきますが、駅伝で身につけた粘りと根性を生かしていってくれることを期待しています。ただ、目先の結果や高校入学にだけとらわれることのないようにしてください。人生目標(ゴール)がはっきりしていれば、道はくさるほどいろいろなルートがあります。時には回り道をすることもあるのですから。
 

3年生の姿が小牧中の駅伝部を支えているんだな…【女子編】

3年女子の取り組みもまた、1・2年生に是非引き継いでもらいたいと思います。ペースランニングやビルドアップを始めとする練習にいつも先頭に立ち、後輩たちを引っ張る姿、きつい練習にもみんなで励まし合い楽しく笑顔で取り組む姿…。計測で積極的に自己ベストを出そうと飛び出す姿…。本当にすばらしかったと思います。

●Aさん、3年間駅伝部の柱としてよく頑張ってくれました。1区、そして学年のエースとしての大きなプレッシャーとよく戦い続けました。りっぱです! 走り終わった後の開放感あるさわやかな笑顔、先生は忘れません。こういった経験が自分を強くしていくのです。本当にご苦労様でした!

●Bさん、今年は膝の故障で走れませんでしたね。その分マネージャーとして陰から駅伝部を支えてくれました。記録の記入や出欠席のチェック、そして応援…。自分の出来ること、部員にしてやれること探して、練習に必ず貢献していました。大切な駅伝部員の一人でした。ありがとう!

●Cさん、最後まで調子が戻ってこない…と苦しみながら、決して弱音を吐くことなく黙々と練習してきました。そして自分の持っているすべての物を出し切ってくれたと思います。先生は結果より取り組む姿勢の方が大切だと思います。練習後うっすらと額に汗をかいた笑顔輝いていました。

●努力の人―Dさん、3年間で本当に力をつけましたね。陸上部・駅伝部でよく走り続けました。あなたの力はAチームの力です。自信を持ってください。目標を持ちこつこつ努力していくことが自分を進歩させる一番の近道だと思います。タスキをつないだときの心地よさも忘れないでください。

●Eさんも最後まで本当によく頑張りました。口数は多くないけれど、心の根っこがとてもしっかりしていると思います。そうでなければ3年間は続けられません。物事に誠実に取り組む姿勢は、社会に出て行って周りの人の信頼を得ます。多くの人に愛される女性になってください。

●いつも元気はつらつぅ〜のFさん! 今年もよく頑張ってくれました。いざというときの根性とねばり強さは今年も健在でした。どんなことにも前向きに取り組む姿勢はあなたの宝物です。タスキをつなぐ心、仲間を大切にする心を大切に豊かな人生を送ってくださいね。いままで本当にありがとう!

●Gさん、今年の練習に取り組む姿勢には去年の雪辱を果たそうという執念が感じられ、真剣そのものでした。どんな練習にも手を抜くことなく取り組みました。その結果が区間賞というかたちであらわれうれしく思います。努力は自分を裏切りませんね。高めあった仲間への感謝も忘れずにね!

●先生の顔を見るとなぜかいつもほほえんでくれるHさん…。先生の顔そんなにおかしいですか? まあそんなことはよしとして3年間ご苦労様でした。何をするにも笑顔を忘れず、苦しいことも笑って乗り越えることができるのはあなたの一番の長所です。+(プラス)志向は自分の人生を笑顔あふれる楽しいものにしてくれます。残りの中学校生活もこの調子で充実したものにしてくださいね!

●Iさん、芯が強くて負けず嫌いなところを練習への取り組みでしっかり見せてもらいました。後輩たちにぜひ引き継いでもらいたい姿です。自分を進歩させるためには強い意志と、続ける忍耐力が必要です。高校へ行っても駅伝での取り組みを忘れなければ必ず成功すると思います。がんば!

●Jさん…。練習後半に練習へ取り組む質が変わりました。たぶん大会を終えて3年間続けてよかったという気持ちでいてくれると思います。苦しいことに自ら立ち向かう姿勢を大切にしてください。必死にタスキをつなげようと走っている時の気持ちを忘れないでくださいね!

●Kさん、学校に来るのも一緒、帰るのも一緒のGさんと区間賞を取るのも一緒でしたね。嬉しそうにパークアリーナに戻ってきた時の笑顔は忘れません。同じように頑張ったけれども区間賞が取れなかった仲間のことも思いやることができていると思います。自分の努力もありますが、多くの人に支えられてつかんだものであ<ることも忘れないでくださいね。

●Lさん、実力はAチームです。今年は今までの中で一番楽しそうに練習に取り組んでいましたね。心の通い合う仲間がいるというのはとても幸せなことだと思います。支え合う仲間がいれば苦しいことも乗り越えられる、楽しくできる…。同じ時間を共有した友だちをずーっと大切にね!

●Mさん、控えめで自分をあまり外に出すことはありませんでしたが、3年間の駅伝への取り組みは、とても前向きで素晴らしいものでした。苦しいことや辛いことに決して弱音や愚痴をこぼすことなく、黙々と努力を積み重ねる姿勢をこれからも大切にしていってください。3年間ありがとう!

●Nさん、吹奏楽部というハンディがありながら、凄く頑張って練習に参加しましたね! 駅伝はどうでしたか? 走っている時いつもと違う風を感じましたか? タスキの重さを感じましたか? これから何年か後に、自分の子供に話してあげてください。あなたの感じたことを思いを込めて…。

●Oさん、苦しいこともいつも笑顔で乗り越えて来ました。どんなことにもひたむきに前向きに取り組んできました。3年間変わらない気持ちで駅伝に取り組む姿は1・2年生に引き継がれていくことと思います。言葉ではなく、取り組む姿勢が人を動かすのです。あなたはとても大切な存在でした。 <br/>
●Pさん…ゴールした後<先生ごめんなさい!>と言いましたね。あなたを責められる人は駅伝部にはいません。そんなことより、ゴール直前でスパートをかけた美しい姿を忘れません。どんなときでも変わらない明るい声と笑顔…。あなたの宝物ですね。人生を豊かにそして幸せにするのは、自分自身の気持ちです。ずーっと今のままでいてくださいね!

●Qさん、去年はひざの故障に泣かされましたね。今年は自分自身で調整しながらしっかり練習できました。ゴールに向かって飛び込んでくる姿とてもさわやかでした。先生の<笑顔でゴールしろ!>という声聞こえましたか? 駅伝部での思い出を大切にしてくれるとうれしいな…。

●Rさん…。前日点滴を受けながらよく走りました。<絶対に走りたい!>という気持ちがとてもうれしかったです。そして、みんなの思いのこもったタスキを大切にパークアリーナまで届けてくれました。心が強いですね! 思いが強いですね! 駅伝部をそして仲間を愛してくれてありがとう!

 こんな3年生の姿、1・2年生の人しっかり見ていてくれましたか? 毎年3年生が意欲的に取り組んでくれる…勉強と運動の両立は可能なのです。何かを理由に自分から逃げていませんか? いやなことから逃げていませんか? 今年の3年生の姿は、これからの中学校生活を豊かにしていくだけでなく、自分の人生を豊かなものにしていくために必要なことを沢山語りかけてくれたと思います。後に続くのは頑張った君たちです!
 

ドラマはどこにでもあるんだな

3年生の事ばかり書いてきましたが今年いろいろなドラマがありました。
2年生のF君は、部活で腕を骨折しながらも弱音の一つもこぼさず練習に参加し、自分の区間を立派に走りきってくれました。普通ならば骨折を理由に弱気になり参加を断念するのですが、強い意志でやり切ることができました。人生常に万全のコンディションで物事に望めることはそんなにありません。自分の置かれている状況の中でいかにベストを尽くすかの大切さを教えてくれたような気がします。

 2年生のNさんは、力がありましたが、ひざの故障で出場を断念しました。大好きなバスケット練習も休むことに決めました。何日も悩んだようですし、先生とも話し合いました。先生は、長い人生の中ふと立ち止まることも必要だし、今までと違った立場で物事を見つめ直すのも勉強だ! と思います。たとえ表舞台に立てなくても、自分のできることや、新しいものの見方ができるようになるからです。無謀な挑戦ではなく勇気ある撤退も時には大切な事だと思います。きっと来年はこの悔しさをバネに、来年の駅伝部を引っ張っていってくれるものと信じています。こんな事も一つのドラマだと思います。

 8組のE君が練習に参加していたのをみなさん知っていますか? 柔道部全員参加ということで活動に参加したのです。決して走るのが得意ではありません、ましてや好きでもありません。でもEちゃんは最後は自分でやろうと決めたのです。「先生、大会には出ませんが練習は頑張って続けようと思います…」そして言葉通りやり通すことができました。先生はとてもたくましくなったと感じていますがみなさんはどうですか? その他にも日頃走ることと縁のない柔道部や剣道部の中にも黙々と真面目に参加する人がいました。全てに共通することですが、「心が強い人」が最終的に勉強でも運動でも成果を上げることができるのです。多分顧問の先生とのやりとりも一つのドラマがあったに違いありません。

 今年は、例年にない暖冬で、体調を崩す人がほとんどなく、ほぼ全チームがエントリーしたメンバーで走ることができました。それでも、みんなの知らないところでいろいろなドラマがありました。もう何度も出てきている3年のFさんのことです。駅伝大会の当日の朝、集合時間の少し前、学校に電話がかかって来ました…。「こりゃー欠席連絡だな…、やばい…。また芸名作戦か…」と思ったら、予想通りの体調不良の連絡でした。しかし、いつもと展開が全く違っていました。「胃腸風邪で、昨日の夜、点滴を打ちました。本人が絶対出ると言って聞かないので、学校での様子を見て、決めてあげてください」と言う内容でした。学校に出てきた本人の様子は、体調が優れないにもかかわらず、笑顔でいつもと変わらないようつとめていました。「走れそうか?…」「はい!…」「様子をみてダメだったら言えよ…」

 このやりとりで走らせることを決めました。3年間頑張って続けてきたことを知っているからです。中学校最後の学年で絶対に走らせてやりたいと思いました。緊急の場合の対策だけは立て、大会に望むことにしました。「K! 9区のサポートにまわってくれ! ひょっとしたら走るかもしれんぞ…」と2年生のKさんに頼みました。そんな時、嫌な顔一つ見せず、急な変更を受け入れてくれました。テニス部のKさんは大会が11月くらいまであり、駅伝部の活動に出遅れたため、力がありながら控えにまわってもらった人です。男子の2年のN君も、都合で出場できない人の替わりを、快く、むしろ喜んで引き受けてくれました。「あ〜3年生が最後の駅伝大会にかける気持ちをわかってくれているなー」と、とてもうれしく思いました。こんなところも小牧中駅伝部の素晴らしいところだと思いました。こんな周りに支えられて、Fさんはゴールまでタスキを運ぶことができました。ゴールに向かうFさんの姿を発見した時は、本当にほっとしました。また、同じように、テニス部のNさんも、バスケット部のMさんの替わりを気持ちよく引き受けてくれました。9月から3か月限定の駅伝部ですが、心のある人ばかりで、本当にうれしく思いました。きっと来年もまたいろいろなドラマがあるのだと思います。来年ドラマをつくるのは1・2年生の君たちです!
 

苦しいことを乗り越えてこそ成長があるんだな

人間だれでも苦しいことより、楽なことの方がいいに決まっています。でも、冷静に考えてみて、楽なことばかりしていて、成長できますか? 進歩しますか? そんなことは絶対にあり得ません。アメリカ大リーグで年間最多安打262本を記録した「イチロー」選手を天才だと言う人がいますが、彼は、何の努力もせず現在の地位を得ることができたと思いますか? 彼は、小学校の頃から、普通の人の10倍も20倍も努力してきたと聞いています。一説によると、豊山のバッティングセンターで、家が一軒買えるぐらいのボールを打ったとも言われています。「楽をして、結果を出そうなんていう邪道は捨てましょう」

 駅伝の練習でも、大きく記録を伸ばした人は、与えられた以上のことを自分から進んで実践してきた人です。「苦しみ、困難への挑戦」こそが自分を大きく成長させるための近道なのです。「苦手なこと・すぐに結果の出ないこと」から言い訳をつけ、逃げている人はいませんか? 駅伝に限らず、「困難に自分から立ち向かう勇気」を持つことが君たちを成長させるのです。駅伝部の練習を続けてきて、長い時間走ることへの抵抗感は薄れてきたはずです。楽をして何もしてこなかった人よりは、長距離走に自信が持てるようになったはずです。自分のしてきたことに自信を持つことができるようになることがとても大切なのです。「前向きな気持ち」を持ち、なおかつ「ねばり強く努力する気持ち」が高まってくれば、勉強もうまくいくはずです。駅伝で学んだことを生活のいろいろな場面で役立ててくれることを期待しています。
 

感謝の心を忘れてはいけないんだな

駅伝部の試走には毎回約20名の先生方が車を出してくれました。これも小牧中学校のすごいところなのですよ。自分の子どもの七五三のお参りの時間を遅らせて都合をつけてくれた先生、部活の大会があるにもかかわらず時間ぎりぎりまでつきあってくれた先生、体調が悪い中、無理をして協力してくれた先生。本当に多くの先生に支えられて活動できたことを知っていて欲しいと思います。
 また、休みの日、朝早く起きてくれて食事を作ってくれたお家の人のことを忘れてはいけません。応援に駆けつけてくれた友だちのことを忘れてはいけません。君たちの気づかないところで、温かく見守ってくれる人への感謝の気持ちを持ち、「ありがとう」と素直に言える人であって欲しいと思います。
 

来年優勝・区間賞を目指したい人へ

優勝するということは本当に難しいことだと思います。3年生の人に、大会後に「おまえ、明日から1年間走れ!」と言われた人、大会翌日から朝練を開始した人もいるようですが、もし、1・2年の人で、真剣に来年優勝を目指そうとしている人がいるならば、先生も協力したいと思います。申し出てください。練習は早く始めた方がいいに決まっています。
 

1・2年生の人には来年も幸福の招待状が届きます

本年度の駅伝部の活動は、12月15日(水)をもっていっさいの活動を終了しますが、来年の体育大会後に、再び招待状が届けられると思います。駅伝部の一員になることに誇りを持ち、今年以上に意欲的に参加してくれることを期待しています。

 それでは来年度まで、さよならさよならさよならさよならさよならさよなら… 駅伝編完
 

(2005年4月11日)

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●杉浦 嘉一
(すぎうら・よしかず)

小牧中学校教諭。学年主任、保健体育担当、剣道部顧問、伝統の駅伝部総監督。年度末に校内で密かに出す「人事ファン」(杉浦の人事異動予想紙)はあっという間に売り切れ。お茶目な中に本質を突く学校教育論を書かせたら右?に出る者はいない。子どもの傍らにいつもいる存在であるように学校中を動き回っている。