愛される学校づくり研究会

学校を離れて観ると

★学校に直接携わっている立場と、一歩、学校を離れた立場から観る学校現場は、ひと味違った受け止め方があるはずです。長きにわたり、教員・校長として学校に携わられた中林先生、平林先生、神戸先生、小西先生それぞれの視点から、現在の学校、教育について、率直な意見を示して頂きます。

【 第6回 】学校を離れて観ると
〜小西 祥二〜

◆「地域の人」は

コラム「学校を離れて観ると」の担当で、他の方との違いは、「普段の生活が、学校教育から離れた」ことです。日課や行事など関わりなく、“その日暮らし”で過ごしていますので、地域住民として、学校からの便りを読んだり、地区の子供達と挨拶したりする程度の状況です。
 そうした生活で“愕然とすること”がありました。

一つは、子や孫が成長し卒業すると「一気に学校が遠くなっている」という方々の声です。「もう学校は関係ない」と言われる方も少なくありません。それは「学校に協力しない」というのではなく、“進んで”という気持ちが薄れて(消えて)いるようです。

二つ目に、学校からお知らせしたことを「(学区の方が)知っている。分かっている。」は、勘違いであったということです。
 地域の会議に「これからの学校について」の議題があり、そこで前年度の経過報告や活動報告を受け、これからについて検討がされました。前年度までを知っている自分は、感心と感謝することの多い話し合いでした。
 ところが、一人の委員が「この会議の役割や権限はどうなっているの?」といくつか質問されました。
 今年からの委員ですが、その方にも「報告の載ったプリント」や「学校だより」が届けられており、前任者からの引継ぎもあり、“伝わって”いるはずのことでした。でも実際は「知らなかった」「初めて聞いた」ことでした。“関係なかった”ことのようです。

そしてもう一つ、「地域はすべてを見せていない」ということです。
 学校へお越しいただく地区や組織の代表の方の話、読み聞かせや地域講師の方々との話、先の会議などで話題になったこと、地区行事へ参加して聞いたこと等から、地域の願いや思いを受け、教育活動に取り組みます。
 そうした話や声には、「Aをもっと盛んにして」もあれば、「AよりBに力を入れて」もあります。それは“伝わってくること”です。
 ところが、来校されても、会議でも、地域でも、「あえて、○○は言わない」という方が少なくありませんでした。その思いは…。
 初めて知る“学校への思い(愛情)”でした。

これらは、「学校を開く」「地域連携」の取り組みに大きく関わることだと思います。

“大きく関わる”ことですが、学校からは「それは折り込み済みです」「学校には、いつも地域の方々が来ていただけます」等という理由から「本校は大丈夫です」と言われるでしょう。
 確かに、普通の学校では、気にすることなどないことです。私の住むところでも、今は大丈夫です。

◆小さな気がかり

学校評価のなかで、小刻み評価により教育活動の改善を行っていくと、その価値や成果を実感します。その小刻み評価もネットを利用すると、学校の負担は少なく容易に実施することができます。
 しかし、初めてネットを利用して“アンケート”を行ったとき、その結果に戸惑いました。内容ではなく回答率です。それまでのアンケート等では100%の回答が普通でしたから、ネット環境が十分でない頃とはいえ、70%程の回答に戸惑いました。
 回答の内容は、改善をねらいとした“評価”として十分な資料が得られ、満足のいくものでした。
 けれども、「学校を開く」という点で気になりました。

◆協働の先に

地域との連携、協働は、今後ますます重要になってきます。
 ※その点について、別の教育コラムでも取り上げています。ご覧ください。

そのようななかですが、学校や地域によっては、次のようなことが起こらないとも限りません。

来月の感謝祭について、「通知を出した」「お便りに載せた」「ホームページの記事にした」「役員に確認した」…。
 当日、大盛況でした。
 「とても良かった!」

当日の感謝祭では、「学校から離れた人達がいる」「学校だよりは知らない」ことの“影響”はありません。それ以上に、行事に参加していただける方々がみえるからです。
 でも、

次の行事。大盛況です。
 ふと見わたすと、そこに見られる地域の方々は同じ顔ぶれで、前回と変わらず…。

住民の高齢化が進み、組織が維持できずに「老人クラブを解散した」という話があります。また、地域と学校との“窓口”の維持が難しくなっている組織も少なくありません。
 それらが表面化したときには、今までの協働はありません。
 小規模校の地域では、すでに影響があり、学校から安易に連携や協働と言いにくくなっているかもしれません。

連携や協働がうまくいっている今こそ、5年後、10年後を見て、「30%の人」「気持ちが遠くなっている人」「知らない人」を意識した働きかけや情報発信の工夫が必要だと思います。

「自由人」には、昨年度まで見ていた「今の学校」が、見えません。

(2017年2月13日)

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執筆者プロフィール

●小西 祥二
(こにし・しょうじ)

2016年4月より「自由人」
1980年に教員となり、小・中学校の担任を経験。県教育委員会の指導主事、小学校校長、市教委の課長、中学校校長、小学校校長を務めた。
現在も、ブログ『集団「Emication」』で情報発信を続けている。