愛される学校づくり研究会

授業改善

★愛される学校づくり研究会では、昨年度までの授業研究に引き続き、より広い視点で授業改善についてこの1年間研究していくことになりました。「楽しく授業研究をしよう」と同じく、研究会と連携しながら学校の授業改善を日常的に行う方法について考えていきます。今回は「楽しく」だけでなく、いかに「手軽に」行うかという点でも提案できることを目指します。授業改善を通じて、学校経営や学校の活性化についても触れていくことができればと思っています。

【 第9回 】「愛される学校づくりフォーラム2015 in大阪」の内容と「授業検討ツール」の活用報告

先日開かれた愛される学校づくり研究会で、来年2月の「愛される学校づくりフォーラム 2015 in大阪」の内容がほぼ確定しました。
 午前の部は、「愛される学校づくり研究会」の公開研究会として、会員が「愛される学校のつくり方」を提案します。
 午後の部は、このコラムと連動した「楽しく、手軽に授業改善」するための方法について、会場の皆さんと一緒に考えます。今回も昨年同様、私たち会員の授業者による提案模擬授業をもとに授業研究を行いますが、授業は2本に絞ります。1本は道徳の授業で、グループを活用した「3+1授業検討法」を使っての検討です。今回は会場の皆さんにもその場で授業検討をしていただいて、この検討法のよさを実感していただきたいと考えています。もう1本は算数の授業で、このコラムで何度も紹介させていただいているICTを活用した「授業検討ツール」を使っての検討です。昨年度から大きく進化して使いやすくなった「授業検討ツール」で、新しい授業検討法の可能性をお伝えできればと考えています。
 そして、まとめとして、2つの授業研究をもとに、「楽しく、手軽に授業改善」するためのポイントについて、授業者とコーディネーターで話し合います。登壇者は私以外すべて校長です。学校全体の授業のレベルアップについて、ヒントとなる話をたくさん聞くことができると思います。もちろんそれだけでなく、個人レベルでの授業改善を目指す方にも役立つお話になればと考えています。

当日の授業がどのようなものになるか、また、そこからどのようなことを学べるのか、そして、「楽しく、手軽に授業改善する」ためのポイントはどのようなことなのか、今からとても楽しみです。少しでも多くの方に参加いただき、一緒に楽しみながら考えたいと思います。

さて、当日の研究会では、ICTを活用した「授業検討ツール」を利用した会員からの活用報告がありました。端末を持った方が「いいね!」「疑問?」「コメント」のボタンをいつ押したかがグラフになって表示されますが、単純に山の多い場面を話題にするのか、ある程度ボタンが押され続けている場面を話題にするのか、それとも「疑問?」に注目するのかといった判断は司会者に任せられます。1分ごとの授業ビデオのサムネイルがあるので、グラフを見ながらそれがどの場面かはすぐにわかります。また、この場面はある程度の時間再生してから話し合いに入った方がいいのかどうかも、グラフの様子から判断することができます。司会者が検討会の展開を考えるのにはとても有効だという意見です。逆に言えば、司会者の判断によって、どこを取り上げるのか大きく変わるというわけです。
 では、私たちの考える司会者の力量によらない質の高い検討会にするためにはどうすればいいのでしょうか?その答の一つが、授業を見る視点、テーマを事前に明確にすることだと思います。この視点がはっきりしていれば、ボタンが押される場面も収束するはずですし、司会者が場面を選ぶ判断基準も明確になります。

また、毎回指摘されることですが、授業を見ているうちにボタンが押されなくなることが話題になりました。その理由として、どうしてもメモを取ろうとするのでそれと同時に手に持った端末のボタンを押すことが難しいことが挙げられました。言われてみればその通りです。このツールを使うときは発想を変える必要がありそうです。メモすることをやめるのです。検討会ではビデオで場面が再生され、自分がいつボタンを押したかも端末が光って教えてくれます。メモに頼らなくても、その場で思い出すことができるはずです。

現在のところ安定して同時に使える端末の台数が6台程度と少ないことが話題になりました。授業を見ている方全員の反応を知ることができません。得られたデータは一部の方のサンプルでしかないのですが、それでも十分に意味があるとの報告です。代表者の反応をもとに他の参加者の意見を求めると必ずと言っていいほど意見がつながるというのです。代表の方が反応する場面ということは、他の方も同様に何か気づくはずです。また、ビデオで再生するのでその場面を意識して再度見ることができます。そこで改めて気づくこともできます。全員が端末を持たなくても、検討会の活性化につながるというわけです。

いろいろな学校で実際に使ってみることで、使い方のポイントが新たに見えてきました。これらは、「授業検討ツール」固有のものばかりではありません。フォーラム当日には、こういった授業検討で意識すべきポイントも話題にできると思います。

次回は、「愛される学校づくりフォーラム 2015 in大阪」で紹介する、新しい「授業検討ツール」について、詳しく紹介したいと思います。

(2014年12月29日)

大西貞憲

●大西 貞憲
(おおにし・さだのり)

愛知県で公立中学・高校教諭を経て、民間企業で学校向けソフト開発に携わる。2000年教育コンサルタントとして独立。現場に出掛けての学校経営や授業へのアドバイスには「明日からの元気が出る」との定評があり、愛知県を中心として、全国の小中学校や自治体から応援を求められている。また、NPO法人「元気な学校を支援し創る会」理事として「教師力アップセミナー」「愛される学校づくりフォーラム」を通して実践に役立つ情報の共有化・見える化に注力している。