愛される学校づくり研究会

★人間には誰にも知的好奇心があります。仕事のため、趣味のため、実益のためなど、様々な目的で我々は学びます。学校のころから勉強が好きだった人も、社会人になってから学ぶ楽しさを感じた人もあるでしょう。ここでは、その楽しさを感じることになったきっかけを振り返り、学ぶことの楽しさを教えてくれた人やことについて紹介します。

【 第3回 】部活動から学んだこと
〜株式会社EDUCOM 春日井 健弘〜

中学時代、のちに通っている市立中学校の中で一番厳しかったと言われるバレーボール部に所属していました。そんな部活とはつゆ知らず、その扉を叩いてしまいました。

当時、バレーボール部に所属していたのは、同級生が9人、一つ下の後輩が2人。バレーボールをするにはぎりぎりとは言わないまでも、少人数の部活でした。そこは、年間360日以上活動するような部で、本来部活動が禁止のはずのテスト期間中でさえ短縮部活が実施され、あまつさえテスト当日も実施していました。監督はよく千代の富士の話として「1日練習を休むと取り戻すのに3日かかる」ということをまことしやかに語り、無垢な少年たちを言いくるめていたものです。

体格的に恵まれたチームメートがいたわけでもなく、平均身長170cm前後のチームでしたが、日々の反復練習とチームプレーが徹底できたことで市内でも鳴かず飛ばずだったチームが最後の大会では全国にまで進むことができました。

部活動と勉学の両立の中で、限られた時間内でやらなければいけないことの順位付けを意識するようになりました。・・・とはいかないもので、元来のおおらかな性格が災いして、まぁいいかと好きなところだけ勉強をしてテスト当日を迎えていた覚えがあります。そんなわけで、好きな理数系はそこそこ。英語はというとずっと平均点付近を行ったり来たりするような成績だったように記憶しています。

当時は部活があってちゃんとしたテスト勉強の時間がないことを言い訳としていた記憶があります。しかし今思えば部活動が終了した秋以降、テスト週間に早く自宅に帰れるようになっても、直ぐに机に向かっていたかと問われるとそんなことは全くなかったので、適度に疲れ、集中してテスト対策ができたことは私にとってはいいサイクルだったのかもしれません。

今、ふと思い返すと360日以上休みがなくていやだいやだと喚いていたのですが、監督はどうだったのでしょうか。(楽しくて楽しくて仕方がなかったのだろうと想像しますが、とは言え・・・)土日も潰し、監督の奥様や子供からも嫌な顔をされていたと思うのに私たちのために貴重な時間を費やしてくれていました。普通に授業もされていたし、その当時は学年主任をされていたので、1学年8クラスの取りまとめやらその他校務が山積していたことと想像します。

それはEDUCOMで働くようになり、校務の一端を覗くようになった今だからこそ感じます。なんと先生方のお仕事の多岐にわたることか!数年前、監督は校長職を経て定年を迎えられたのですが、こんな多岐に渡るお仕事の中でも常に時間を効率的に活用されていたのでしょう。

部活動を通して360日以上走り続ける体力と忍耐力、チームプレーの大切さは身に着けることができました。しかし監督が身を挺して示していた時間を効率的に活用することについては未だに勉強中です。ほぼ毎週社長に「また土曜日に春日井君は出勤して!」と叱られてしまいます。

今年で私も36歳になりました。学ぶことの楽しさを教えてもらったということとは少し違いますが、今の自分だからこそ当時の監督から学ぶことの多さを日々実感しています。360日以上走り続けるのではなく、今後は時間を効率的に利用する方法を模索していくと共に、長く仕事を続けるためにも体を休めることも学んでいきたいと考えています。

(2014年7月7日)

学ぶ楽しさ

●春日井 健弘
(かすがい・たけひろ)

県外の大学を卒業し、愛知県で今とは全く別の仕事をしている傍ら、中学生たちにバレーボールを指導していた。素直な子供たちとバレーボールを通じて関わりあう中で、何か学校に関わり合いを持てる仕事をしていきたいと思うようになり、EDUCOMへ転身。現在は愛知県北部から南西部にかけてのサポート地域の取りまとめとして従事。
 「食はチャレンジ」がモットー。食わず嫌いをせずに出されたものは一度は食するように心がけている。結果駄目なものも多いがそれはそれ。