愛される学校づくり研究会

★人間には誰にも知的好奇心があります。仕事のため、趣味のため、実益のためなど、様々な目的で我々は学びます。学校のころから勉強が好きだった人も、社会人になってから学ぶ楽しさを感じた人もあるでしょう。ここでは、その楽しさを感じることになったきっかけを振り返り、学ぶことの楽しさを教えてくれた人やことについて紹介します。

【 第2回 】教育とコンピューターと私
〜曽田 修弘〜

教育とコンピューターに携わるようになって、もう四半世紀になります。
 大学に入ってすぐ、知り合った美人の先輩に、大学からは遠いけれどたまたま自分の下宿の近くにある学習塾のアルバイトを紹介されました。条件もとてもよかったので、すぐにお願いすることにしました。
 教員志望でもなく、文系の私が、バイト先で出合ったのが「教育とコンピューター」です。
 もし下宿が違う場所だったら…条件がそれほどよくなかったら…知り合った先輩が美人でなかったら…。本当に偶然の出合いでした。

その学習塾では、一斉授業の曜日が合わない子や個別指導を望む子などに対して、CAI (Computer Assisted Instruction)を取り入れていました。従来の板書と教科書とノートとは違う、自分のペースで、効率的に学習できるこのシステムは、これからの学習塾で主流になるんだろうな、と思いました。そして、これからはコンピューターが本当に身近になる時代が来るだろう、お金をもらいながらコンピューターの勉強ができるなんて、こんないいバイトはないぞ、俺ってラッキー!と思っていました。
 たぶんこの頃が私の人生で最もラッキーだった時代です。

子どもたちに教えることで、学ぶことも多くありました。自分が学校で習っていたことを教えることによって、なんとなくわかっていたことが深く理解できるようになり、学習者の多様な考え方やつまずきポイント、学習のコツなどもわかるようになりました。「こういうふうに説明したらもっとわかりやすいかも」、「この子にはこういう進め方で」、「あの子にはこの教材を」と試行錯誤しながら、学ぶ楽しさと教える楽しさを、夜を徹して感じていました。
 「教えることは学ぶこと」という言葉がありますが、まさにこのことを実感した時期です。

その後も、主に教育とコンピューターに関する仕事をしてきました。問題を解く側から出題する側になったり、ユーザーの立場からサポートをする立場になったり。立場が変わることで、より深くそのことを学べるようになり、それが楽しみになっていました。
 かつては音楽やスポーツなどの趣味があったのですが、この頃になるともう「学ぶこと」が趣味でした。

今から10年ほど前に、某中核市の情報アドバイザー(今でいうICT支援員)の仕事をしたことから、小中学校に関わるようになりました。その後、同市の教育センターで情報嘱託員として5年間、それから別の中核市でITインストラクター(やっぱり今でいうICT支援員)として2年間、コンピューター室や職員室に出入りして、たくさんの先生方のお手伝いをしてきました。とてもやりがいのある仕事で、これまで培ってきた教育とコンピューターの知識と経験は、まさにこの仕事で活かすためにある、これが私の天職だ!と思うようになりました。
 「好きこそものの上手なれ」の通り、本格的に教育とコンピューターに関心を持ち、近隣で開かれるセミナーなどにも数多く参加して、最新の情報や全国の活用事例などを学ぶことにも喜びを見出すようになりました。

ここ数年、フューチャースクールの取り組みやタブレットの普及などにより、教育とコンピューターに関する話題が一般にも取り上げられるようになりました。まだ今の時点では課題もあります。現場で苦労されている先生方も多いと思います。
 そうしたなかで、教育に役立つような、子どもたちの学びをサポートするような仕事に本当にやりがいを感じていますし、より多くの人が「コンピューターで学ぶこと」、「コンピューターを学ぶこと」の楽しさを実感できるようになるといいなあと思っています。

(2014年6月2日)

学ぶ楽しさ

●曽田 修弘
(そだ・のぶひろ)

1969年生まれ。愛知県在住。小学生の娘2人の父。 学習塾の講師、OA機器メーカーの営業、家電量販店の販売員、カルチャーセンターのセミナー講師、小中学校のICT支援員などを経験。 現在は学習ソフトウェアメーカーのサポート担当として、主に中部地方の小中学校を訪問し活用支援を行っている。 好きな言葉は「創意工夫」「好奇心」「気概」。