愛される学校づくり研究会

★人間には誰にも知的好奇心があります。仕事のため、趣味のため、実益のためなど、様々な目的で我々は学びます。学校のころから勉強が好きだった人も、社会人になってから学ぶ楽しさを感じた人もあるでしょう。ここでは、その楽しさを感じることになったきっかけを振り返り、学ぶことの楽しさを教えてくれた人やことについて紹介します。

【 第19回 】憧れる人たちとの出会い
〜株式会社EDUCOM 松本賢治〜

あらためて自分にとっての「学び」を考えてみると、就職してからのことばかりを思いだします。もちろん子どもの頃の思い出がないわけではありませんが、小学校から大学まで、いま振り返ると正直なところあまり「学ぶ」ということにあまり関心がなかったのかもしれません。

EDUCOMの社員になり、私は営業を担当することになりました。仕事はいまも変わっていません。はじめのころは「やるぞ!」という思いで営業に行くのですが、当初1〜2年は教育委員会の窓口を訪問してもなにを話してよいかもわからず、そのうち2回目、3回目と訪問するうちに訪問する理由もネタもなくなり、だんだん営業に行けなくなりました。目的の教育委員会の庁舎の駐車場で2時間近く何を話そうか悩んだあげく、そのまま逃げ帰ったということありました。いかに自分がなんの力もなく、準備もしていなかったか、2年間新規の営業成績ほぼゼロ、という結果で思い知らされました。

あるとき、ある町のICTのキーマンと聞いた指導主事を初めて訪問したとき、その先生は住民向けに発送する書類を数千通、教育委員会のスタッフの方と封筒つめしているところでした。「こんにちは!」と言った次の瞬間、「君、いいところに来たね。とりあえず手伝ってくれる?」と言われ、あれ、なにしてるんだ!?と少し疑問に感じながらもとりあえず流れ作業のラインに入りました。その日はそれで終わりました。
  その後、その指導主事のところには毎週のように通い、いろいろなお考えをお聞きしました。1年後にはその先生が中心になって考えられた「〇〇町の学校の情報化ビジョン」をどう実現するか、気がついたら町長室で大手通信会社とプレゼン対決をしていました。このあたりから私の「学び」はようやく始まったように思います。
  それから私にとって「学ぶ楽しさ」は、=教育委員会の担当者や、学校の先生への奉仕がモチベーションとなっていきました。怠け者の私に学ぶことの楽しさや目標、課題をいつも与えてくださるのは、社内はもちろん、全国でお会いする先生、教育委員会の担当者の方だと本当に思います。

営業は常に勝負、勝つこともあれば負けることもあります。営業範囲が広がってスタッフも増える中で、だんだん現場が見えなくなってきて大切なことを見落としているのではないかと不安に思うこともあります。同時に頼もしいスタッフが増え、ひとりではとてもまわれなかった地域に営業にいけるようになってきました。

最近「チーム学校」が話題になるなかで、「管理職やミドルリーダーのリーダーシップ、マネジメント能力の向上がこれまで以上に求められる」とお聞きします。会社としてICTを通じてチーム学校に加えていただく前に、社内のチーム営業として、自分がなすべきことができているか、まだまだ自信はない。そんなとき、2つの言葉をもらいました。

ひとつ目は、昨年ある先生に言われた一言。

「憧れる人に追いつけないと思ったらだめだ!追いついて、追い越すつもりでやるんだ!!」

 尊敬する営業の神様のような大先輩の引退挨拶の時、「とてもあの人のようには今後何十年たってもなれないなー」と言った私に、横にいらっしゃったある先生は即座に「そんな考えではだめだ、超えるんだ」と言ってくださりました。

ふたつ目は、某教育委員会事務局の壁に張り出してある言葉、

「踏襲は後退 挑戦が前進」

 仕事はもちろん全力、地域のマラソン大会も「チーム○教委」として出場するその団結力、チームならこうありたいと憧れます。

この2つの言葉を胸に刻んで、一歩ずつ憧れる人たちに近づけるよう学んでいきたいと思います。

(2016年3月28日)

学ぶ楽しさ

●松本 賢治
(まつもと・けんじ)

富山県富山市出身。1979年生まれ。学生時代にEDUWEL(現EDUCOM)でアルバイトをし、そのまま就職。以来、営業一筋に愛知県内、西日本地区を担当し、現在は全国の校務支援システムの提案に従事。小・中規模の自治体から中核市、政令市の調達、都道府県教委での共同利用の提案を経験し、地域にあわせた校務情報化の課題とやりがいを感じる。出張が多いため、家をでるときに2人の子どもから「とーちゃん今度はいつ帰ってくる?」と聞かれ「〇曜日、さみしい?」と言ったら「全然」と返されるのが我が家の通例。