愛される学校づくり研究会

校長塾 経営力を高めるためのポイント

★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。

【 第8回 】教科書観の転換が行われている
―「文部科学省新着情報メール配信サービス」のお勧め―

平成21年3月30日付で文部科学省から全国の知事や教育長宛に「教科書の改善」という通知文が出されました。私は、このとき県教委義務教育課の教科書担当でしたので、この通知文は鮮明に覚えています。これは「改善」というレベルのものではなく、「改革」といってもいいものだとも思いました。それは「教科書観の転換」という項目があったからです。教職員ばかりではなく、保護者にも周知しておかなければならないと強く感じた項目でした。その項目の内容は次のとおりです。

「『児童生徒は、教科書に記述されている内容をすべて学習しなければならない』とする、従来型の教科書観について、『個々の児童生徒の理解の程度に応じて指導を充実する』、『児童生徒が興味関心を持って読み進められる』、『児童生徒が家庭でも主体的に自学自習ができる』といった観点から、その考え方を転換していくことの必要性が指摘されており、このことを十分に理解し、適切に対応することが必要である」

通知文の前文には教科書会社に「教科書観の転換」をして作成するように指示したことが記してあり、市町村教委は教科書採択をする際に、このことを十分に踏まえて審議しなさいという通知でした。

24年度に学校現場に戻った時に、「教科書がめちゃくちゃ厚くなった」という声が職員室で聞こえました。その意図まで理解しての発言かどうかが心配となりましたので、さっそく職員会議で話すとともに、学校ホームページに「教科書が厚くなった理由」と題した記事を発信しました。

行政職を経験した前後、こうした文部行政の動きに敏感になりました。経験前は「どうせ市教委から連絡があるだろう、伝達があってから考えればいい」といった気持ちでしたが、経験後は校長として今後の学校づくりを考えていく上で文科省から発信される情報は、かなり重要であると考えるようになりました。そのため新たに発信される情報を一覧にして毎日配信される「文部科学省新着情報メール配信サービス」に登録し、最新情報を得るようにしています。管理職であればぜひ登録されることをお勧めします。

さて、前回コラムで話題にした「学びの連続化」ですが、すでに教科書では意図されているのです。土曜授業・土曜学習が話題となっている現在から振り返ると、すでに布石が打ってあったとも言えるのです。教科書をフル活用するとすれば、土曜日に何か新たな企画をする必要はありません。子供たちが教科書を上手に使うことで、休日の学びが充実するはずなのです。ところが、我が校ばかりではないと思いますが、これは理想論に近いのです。このことについて校長はどのように考えていくべきかを次回に述べさせていただきます。

(2014年1月20日)

準備中

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

1956年生まれ。1979年教員スタート。小学校、中学校教諭を経て、1998年教頭、2004年校長に就任。2007年より愛知県教育委員会指導主事、主査、海部教育事務所長を経て、2012年に小牧市立小牧中学校長に就任。学び続ける子供を育てるために、地域・保護者と一体となって「親子で学ぶ小牧中特別講座」など独自の取り組み実践中。
著書には、「玉置流・学校が元気になるICT活用術―ICTは学校力向上ツール 」(プラネクサス)「学校を応援する人のための学校がよくわかる本(1)(2)」(プラネクサス)「スペシャリスト直伝!中学校数学授業成功の極意」(明治図書)など多数。
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