愛される学校づくり研究会

校長塾 経営力を高めるためのポイント

★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。

【 第14回 】今年度は校長塾を月一回開催
―まずは力のある二人の教師による対談から―

昨年度は、若手教師を対象として「校長授業技術塾」を夏季休業中に10時間開催しました。向山洋一氏の「授業の腕を上げる原則」の輪読、優れた授業ビデオからの学び、模擬授業を通しての授業技術の学びなどが主なプログラムでした。集中講座が目的を達成できたかどうかの評価は難しいものです。それなりに意義があったと信じるしかありません。校長が開催を踏み切った思いを感じてもらうしかありません。

今年度は広域の校長会役員でなくなり、出張が減ったことから、毎月1回、校長塾を開催することにしました。その時期に合わせた内容が設定できることもメリットです。力量向上は、己がいかに日々こだわって教育活動を行っているかが重要であると考えています。このことから、集中講座より定期講座の方が、参加者の日々のこだわりを継続させることができると判断したこともあります。

第1回目は、四月早々に行いました。時間は午後6時から7時です。昨年は自分一人で切り盛りした塾でした。今年度はベテランに加わってもらう、話し合いを入れるなど多様な手法を取り入れることにしました。

その第1回目は、毎年、安定した学級経営を行っている二人の教師に語ってもらうことにしました。力がある二人ですので、「自由に語ってください」と言っても応じてくれるでしょうが、同じ質問をぶつけ、対比をすることを通して、参加者に経営について深く考えてもらうことを意図しました。こういうことができるのは校長の特権です。

まずは「この四月1か月、学級経営において一番大切にしていることは何か」と問いかけました。

二人から「ゆずらない」という言葉が返ってきました。当然、この言葉が意味するところやそのための行動を顕在化する質問を重ねました。最後に行き着いた行動も同じです。「生徒一人一人をよく見る」ということでした。

1時間きっかりの対談でしたが、参加者は己の学級経営について深く考える機会になったことは間違いありません。

校長塾をより意味があるものとするために、その後のフォローも大切にしています。廊下や湯茶室で参加者に会った時の一言です。「どう思った」「参考になったでしょう」「こんな勉強会はこれまでなかったでしょう」などと一言かけて会話をします。先輩教師から学んだことを校長に短時間で発する機会を作ることは、学びを確かにさせる効用があるはずです。このように意図的に動いていますが、教育について話すことが根っから好きだということもあるのです。

また保護者にこうした取組をしていることを学校ホームページで発信しています。「努力は人に見せるものではない」と言う方もありますが、今は情報伝達すべき時代だと考えています。

第1回校長塾板書

(2014年5月26日)

準備中

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

1956年生まれ。1979年教員スタート。小学校、中学校教諭を経て、1998年教頭、2004年校長に就任。2007年より愛知県教育委員会指導主事、主査、海部教育事務所長を経て、2012年に小牧市立小牧中学校長に就任。学び続ける子供を育てるために、地域・保護者と一体となって「親子で学ぶ小牧中特別講座」など独自の取り組み実践中。
著書には、「玉置流・学校が元気になるICT活用術―ICTは学校力向上ツール 」(プラネクサス)「学校を応援する人のための学校がよくわかる本(1)(2)」(プラネクサス)「スペシャリスト直伝!中学校数学授業成功の極意」(明治図書)など多数。
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