愛される学校づくり研究会

校長塾 経営力を高めるためのポイント

★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。

【 第13回 】授業力を高めることができる校長でありたい
―日々の授業にどう関わっているのか―

新年度が始まりました。4月20日ともなれば、様々な立ち上げ期間が終わり、学校にリズムが出てきたころだと思います。

校長として、新年度の組閣で苦闘を重ねた方もあるでしょう。私は今回の組閣にあたっては、「対話の組閣」にこだわり続けました。意見を聞けば聞くほど、考えなければいけない要素が出てきて、一時期は食事が喉を通らない状況でしたが、教職員の理解もあり、無事、新年度を出発できたと思っています。

新たに異動してきた職員ともわずかな時間とはいえ、早々に面談ができたことは良かったと思っています。

その中で、話題となったのは、授業のことです。私には「授業にこだわる校長」というイメージを持っている方が多いことを嬉しく思いました。自校ならまだしも、他校で勤めていた方がそのように思っていただいているのですから、これは期待に応えなくてはいけません。

授業開始日からさっそく授業観察の日々です。皆さんも授業をご覧になる毎日だと思いますが、どのようなことを心掛けておられるでしょうか。

若手の授業に際しては、まずは授業の基本ができているかのチェックです。教師が話す時に、全員にその内容を伝えようとしているかということです。そのようなことは当たり前だと思われるでしょうが、子どもがどのような状況であろうと、かまわず話し続ける教師がいるのです。

事実を示すために、カメラでそのシーンを撮影します。そのシーンを見せて、自覚してもらうしかありません。あるベテランに撮影したシーンを見せたのですが、「これは決定的な場面ですね。よく撮れましたね」と言われましたが、容易にそのようなシーンが撮れるのが問題なのです。

また、全員を授業に巻き込もうとしているかどうかをチェックします。挙手した子どものみを中心に授業を進める教師が意外に多いものです。気持ちはわからないでもありません。意欲的に発言しようとしているので、それを認めてあげたいということだと思いますが、それでは授業は成立しません。

時間を見つけて校長室に訪れる授業者にレクチャーをする日々が続いています。「挙手生徒指名方式授業を変換すべき」という話が続いています。新年度から、どの教師にどのような助言をしたのかをメモしていますので、基本事項を伝達することが多いことにあらためて驚いています。

経験豊かな教師には、さすがに授業の基本について触れる必要はありません。教材論の話となります。これが自分にとっては、学びを広げたり、深めたりする良い機会となっています。特に本校が目指している「鍛える まなび合う学び」の授業となるためには、どうしたらよいかと校長室であれこれ考えた日は、充実した気持ちになっています。

(2014年4月21日)

準備中

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

1956年生まれ。1979年教員スタート。小学校、中学校教諭を経て、1998年教頭、2004年校長に就任。2007年より愛知県教育委員会指導主事、主査、海部教育事務所長を経て、2012年に小牧市立小牧中学校長に就任。学び続ける子供を育てるために、地域・保護者と一体となって「親子で学ぶ小牧中特別講座」など独自の取り組み実践中。
著書には、「玉置流・学校が元気になるICT活用術―ICTは学校力向上ツール 」(プラネクサス)「学校を応援する人のための学校がよくわかる本(1)(2)」(プラネクサス)「スペシャリスト直伝!中学校数学授業成功の極意」(明治図書)など多数。
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