愛される学校づくり研究会

校長塾 経営力を高めるためのポイント

★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。

【 第12回 】角田明先生の学校診断2
―角田先生の指導をしっかりと受け止めるために―

角田明先生シリーズの第3回目です。

角田先生には、若手の授業を中心に見ていただき、授業後、直接指導をしていただいています。授業を見ていただく折には、必ず主幹あるいは教務主任を随行させて、角田先生が授業を見ながら話されることをメモしておくように指示しています。
 また、角田先生が授業者に指導される場面にも主幹や教務主任を同席させ、どのような指導をされているかを記録するように指示しています。さらに角田先生の指導内容をまとめて、すべての教員に配付するようにも指示しています。
 もちろん私自身は角田先生から直接、指導を受けていますが、あえて授業観察や指導の場面には同席はしていません。

なぜだと思われますか。それは若手の授業力だけではなく、主幹や教務主任の授業を見る目も育てたいからです。
 主幹や教務主任が高めなければならない力の一つに、授業を見る力があります。もちろん、自分自身の授業力は高め続けなくてはいけませんが、立場上、授業改善のための適切な指導ができる力も高める必要があるのです。
 したがって、角田先生には、授業者を鍛えていただいているだけはなく、同行する授業観察者も鍛えていただいているわけです。

以下に紹介する文章は、角田先生が授業者に指導していただいた内容をまとめたプリントの巻頭言です。主幹と教務主任が角田先生から学んだ事柄のエッセンスです。この巻頭言を公開することは、本校の授業はまだまだ不十分であることが証明されるわけで躊躇をしましたが、前に進む決意表明であると受け止めていただければと思います。

若手の先生を中心に角田先生に授業を見ていただきました。短い参加時間の中で授業に対する教師の心構え、生徒との関わり方などをずばり指摘されました。
 特に板書やプリントを上手に活用し無駄を省く、時間をかけるところに時間を割く、できるだけ机間指導をし、生徒の観察や声かけに努めること、それと同時に生徒の活動を全体に広げていく工夫が大切であると強調されました。
 また、発問や説明では、無駄な言葉が多く、生徒を混乱させている場面があり、考える時間を奪ってしまっていることがあると指摘されました。自身の授業を振り返ってみる機会にしてください。さらに「成長している中学生を子ども扱いしている」「子どもがいいと先生が育ちにくい」とも言われました。次に指導内容を詳しく書きました。忙しい日々ですが、互いに何度も読み返し、職員全員で授業改善に取り組みましょう。(文責 主幹・教務主任)

当初、私に提出された指導のまとめには、このような巻頭言はありませんでした。指導のエッセンスを文章化する指示によって、授業を見る目をさらに高めたいと考えたからです。

最後に「教員が育たないのは校長の責任である」と指導を受けたことを報告しておきます。

(2014年3月17日)

準備中

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

1956年生まれ。1979年教員スタート。小学校、中学校教諭を経て、1998年教頭、2004年校長に就任。2007年より愛知県教育委員会指導主事、主査、海部教育事務所長を経て、2012年に小牧市立小牧中学校長に就任。学び続ける子供を育てるために、地域・保護者と一体となって「親子で学ぶ小牧中特別講座」など独自の取り組み実践中。
著書には、「玉置流・学校が元気になるICT活用術―ICTは学校力向上ツール 」(プラネクサス)「学校を応援する人のための学校がよくわかる本(1)(2)」(プラネクサス)「スペシャリスト直伝!中学校数学授業成功の極意」(明治図書)など多数。
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