愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第7回 】学校は「学び舎」

日ごとに秋の気配を感じるようになりました。「スポーツの秋」「読書の秋」「食欲の秋」、秋には楽しいことがたくさんありますね。今回は、「学びの秋」に関連して、「保護者が学校から学ぶこと」についての想いをお話ししたいと思います。

◆保護者のレベル

世代交代の波は、保護者にも押し寄せているようです。

 昔は、「先生はいつも正しい」のだから、「先生の言うことを聞きなさい」と、親はいつも子どもに言っていました。先生に怒られるのは、子どもが悪いからに決まっている、と考える親がほとんどでした。
それが良いか悪いかは別として、学校や先生への信頼感を持っていたことはたしかだと思います。

いつ頃からでしょうか。最近は「先生を尊敬しない親」「学校を信頼しない親」が増えているように感じています。
 子どもの言い分や噂話を鵜呑みにして、先生や学校の批判を大っぴらにする親が増えていますし、家庭で行うべき「しつけ」の部分までも、学校が行うのが当然だ、というように押し付けてくる親もいるようです。
 学校への苦情の電話は、毎日ひっきりなしに鳴り響いています。
 もちろん、それらの中には重大な問題もありますし、学校側が気付いていない貴重な情報も含まれていますので、すべて否定するものではありません。
 しかし、先生方から保護者対応についてのお話しを伺っていると、たいへん残念なことですが、保護者のレベルの低下を感じざるを得ません。

◆レベルアップのために

保護者が学校に対して非常識な行動を取るのは、「知らない」ことから発生している場合が多いのではないかと思います。
 昔と違い、核家族で生活し、地域との交流も希薄になっているので、親としての「知恵」や「常識」を教えてもらう機会がありません。ですから、「知らない」のです。
 知らないことを学ぶ場は、学校ですよね。学校が、うまく保護者も育てることができるといいですね。

そのためには、まずは学校のことをよく知ってもらうことが大切でしょう。
 最近では、学校HPなどを活用して、学校の日常や子どもたちの様子をお知らせする学校が増えてきました。
 とても良いことだと思うのですが、さらにもう一歩踏み込んで、学校のHPで「教育目標」など、「学校の方針や考え方」も、積極的に発信していくべきだと思います。
 日々のHPの発信の中で、「本校の目指す教育」「目指す子どもたちの姿」といった情報を織り交ぜながら、保護者に対して繰り返し説明し続けることで、学校がよくわかるようになるのです。
 保護者が「知らない」ことを、根気強く「教える」ことで、保護者がレベルアップでき、学校のことを理解していけば、きっと学校のファンになってくれて、応援してくれるようになるでしょう。

◆校長先生の発信が保護者を惹きつける

我が小牧中学校では、年数回のPTA行事の中で、玉置校長先生にお話しをしていただく機会を作っています。それは、単なる「あいさつ」ではなく、「講演形式」で20〜30分間、しっかりお話ししていただきます。
 その場での思いつきで乗り切れるような短時間ではありませんから、玉置校長先生は、毎回テーマについて悩まれるそうです。お忙しい玉置校長先生なのに、PTAのことでお時間を取らせて申し訳ない気持ちは十分にあるのですが、あえて毎回の講演をお願いしているのには、PTAとして「保護者にもっと学校に関心を持ってほしい」という思いがあるからなのです。参加者が増えるという、うれしい効果も出ています。最近も、学校公開日に「ミニミニ講演会」を開催しました。

保護者にとって、校長先生というのは、とても遠い存在です。
 校長先生のお話しを聞くのは入学式と卒業式だけ、ましてや直接お話しするなんて「校長室へ呼び出し」という最悪のシチュエーションしかありえません。
 そんな「雲の上の存在」である校長先生が、保護者に対してお話しをして下さる、というだけでも、多くの保護者が「えっ?」となり、ちょっと興味がわきます。そして、校長先生が講演の中で、新しい知識や教養につながるような「ためになる話」をして下されば、保護者は「楽しい大人の学び」を体験することができます。そういう機会を多く持つことが、保護者の学校への関心につながるのだと感じています。
 無理を承知でお願いしている「校長先生の講演会」ですが、玉置校長先生がいつも快諾して下さるのは、先生ご自身もそれがわかっていらっしゃるからだと思います。

先ほど、「HPで学校の教育目標を説明するべき」ということを述べましたが、これは校長先生の役目だと思っています。
 学校の代表者である校長先生が、ご自身の言葉で、ご自身の思いを、直接語りかけることは、保護者に学校に関心を持ってもらい、理解を深めてもらうための、とても有効な手段です。
 また、校長先生が子どもたちに集会などで講話をするのも同じことですね。子どもたちの場合は「仕方なく聞く」ということもあるので、それほどストレートに伝わらないかもしれません。しかし、その講話の内容を学校HPに掲載して下さることで、保護者が見て知ることができ、親子の会話のきっかけ作りにも役立てることができ、学校への関心につながるのです。

「校長先生の発信力」が問われる時代になりました。多くの校長先生方の積極的な発信を期待しています。そして、保護者にとっても「楽しい学び舎」となるような、素敵な学校が増えることを願っています。

(2013年10月14日)

準備中

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住の3人の子供たちの母。 頼まれると断り切れない性分で、幼稚園から中学校まで、何度もPTA活動に参加。
2012年春の玉置崇校長先生の小牧中学校赴任を機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、PTAの各委員会活動をHP上で保護者にお知らせしている。
また、学校HPで発信される情報に対しての「保護者の想い」を発信しながら、学校と先生を応援している。
他校にも「PTAの部屋」が広がって、「愛される学校」が増えるといいなと願っているお母さん。