愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第6回 】災害は忘れたころにやってくる

新学期が始まりました。学校には子どもたちの元気な声が戻り、家庭には静けさが戻って、ほっとされている保護者も多いことでしょう。9月1日は「防災の日」でした。2年前の東日本大震災以来、災害への事前の備えが声高に言われています。今回は、「防災」にまつわる保護者の想いについてお話ししたいと思います。

◆災害が頻発しています

猛暑となったこの夏、全国各地で、いろいろな災害が起きました。
 大雨による被害があったところもありますし、ゲリラ豪雨による被害も多数ありました。逆に、雨が少なく水不足に悩まされたところもあります。さらには突風や竜巻、落雷で、大きな被害も出ました。
 被害のあった地域の方々には、心からのお悔やみと、一日も早い復旧復興をお祈りするばかりです。

昨今のこのような全国各地の災害を見ていると、自然災害にはさまざまな種類があり、どこでも起こりうることなんだと痛感します。
 しかし一方で、テレビや新聞などのニュースを通じて知るそれらの災害は、どこか遠いところの出来事のように感じてしまっています。
 なんとなく「自分は大丈夫」と思い込んでしまっているため、災害への備えも後回しになりがちです。
 私たちは、もっと過去の災害から学ばないといけませんね。

◆「避難訓練」のこと

新学期に入った学校では「避難訓練」が行われていると思います。
 私たち保護者が子どものころに行われていた避難訓練は、まずは事前に「今日は避難訓練があります」というお知らせがありました。そして、授業中に「地震が発生しました」と放送がかかり、一斉に全員が机の下に潜り込みます。次に、「揺れが収まったので、全員、運動場へ避難してください」という放送がかかり、生徒は一斉に運動場へ移動する、という流れで行われていました。
 現在も、ほとんど同じような流れで行われている学校が多いようです。

訓練することはとても意義がありますが、いつも同じパターンで、しかも事前に訓練があることがわかっているため、子どもたちは現実味を感じていません。
 中には「やらされ感」を抱く子や、ふざけてしまう子もいることでしょう。
 これでは、せっかくの避難訓練が「言われたから、しかたなくやること」になってしまいます。
 貴重な時間を使って行われるのに、これはとてももったいないことです。

災害は、いつ起こるかわかりませんし、突然やってきます。授業中に起こるとは限りませんし、事前にお知らせがあるわけではないのです。
 そうであるならば、いろいろな状況を想定して、準備しておくしかないと思うのです。
 まず「事前にお知らせしておく」ということをやめるだけでも、子どもたちにとっては良い訓練になると思います。そして、授業中だけではなく、休み時間中や掃除中、あるいは部活動の時間など、いろいろな場面での訓練を実施してみてはいかがでしょうか。

突然始まる避難訓練に、子どもたちは驚き、安全な避難ができないかもしれません。
 しかし、より実際の災害に近い形の訓練を繰り返すことで、きっと意識が変わることと思います。
 また、そのような「想定外の訓練」を実施することで、うまくいかなかったことや失敗したことが出てこれば、それは学校にとっても、「改善」のための生きた検討材料となるはずです。

◆保護者への働きかけ

災害が起きるのは、子どもたちが学校にいる時とは限りません。登下校の時や家庭にいる時に起こる可能性もあります。家族が一緒の時ばかりとは限りません。
 ですから、各ご家庭でも「もしもの時、どこへ避難するのか」ということを十分に話し合っておかなければなりません。
 保護者としても「やらなければならない大切なこと」とわかっているのですが、なかなか十分にはできていない部分です。「自分は大丈夫」と思ってしまっていることが、こんなところにも出てしまっています。
 とてもお恥ずかしい話しではありますが、このように「自覚のない保護者」が多くいるのが現状だと思います。

そこで、学校から、子どもを通じての働きかけをしてみてはどうでしょうか。
 例えば、学校のHPに「避難訓練の実施」をアップすれば、保護者が見ることができます。それを見ながら、どんな訓練をしたのかを、親子で話し合うことができます。
 また、少し厚かましいお願いですが、ワークシートなどで「こんなときはどこへ避難しますか?家族でルールを決めておきましょう」というような宿題を出してもらえれば、否が応にも子どもたちは親に話すでしょうし、宿題となれば親も真剣に考えるでしょう。
 まずは、「考える」「話し合う」機会を持つことが大切ですね。

◆学校・家庭・地域の連携

実際に災害が起きれば、学校は避難所になります。児童生徒、保護者だけでなく、地域の方など、大勢の人が集まって来ます。
 避難所の運営は、学校関係者や行政、住民の代表などが協力して行うことになると思います。その際に、どこの誰かもわからない、というよりは、少しでも顔見知りの関係にあるほうが安心ですよね。

学校・家庭・地域の交流や連携は、災害のときに必ず役に立ちます。
 日頃から、顔を合わせてコミュニケーションが取れる機会を持ち、いざという時に助け合える関係を築いていけるといいですね。

(2013年9月9日)

準備中

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住の3人の子供たちの母。 頼まれると断り切れない性分で、幼稚園から中学校まで、何度もPTA活動に参加。
2012年春の玉置崇校長先生の小牧中学校赴任を機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、PTAの各委員会活動をHP上で保護者にお知らせしている。
また、学校HPで発信される情報に対しての「保護者の想い」を発信しながら、学校と先生を応援している。
他校にも「PTAの部屋」が広がって、「愛される学校」が増えるといいなと願っているお母さん。