愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されていた斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第46回 】「地域と学校の連携・協働」に想う(4)

◆ゴールを決める

これまで3回にわたり、「地域と学校が協働する」ための新しい組織づくりについて、想うことを書いてきました。
  今回は、組織ができて運営を進めるときに、こんなことが大切なのではないかと考えていることを、いくつかご提案したいと思います。

新しく組織を立ち上げるときには、いろいろな準備が必要です。
  どのような目的で集まるのか、どんな人に集まってもらうのか、どのような会議をするのか・・・最初に決めておかなければならないことは、たくさんあります。

その中でも、意外と後回しになってしまうことに、「ゴールを決める」ということがあります。
  「とにかく組織を立ち上げる」ということに注力しすぎると、目の前の細々とした準備に気を取られがちになってしまいます。
  しかし、この「ゴールを決める」ことを考えておかないと、なんとなく参加して、なんとなく会議をして、なんとなく活動しているような気になっただけで終わってしまう、といったことになりかねません。
  せっかく皆さんで活動する機会が得られたのに、これではもったいないですね。

「ゴールを決める」と言っても、それは「地域学校協働本部」のゴールをどうするか、という大きなゴールだけを指すものではありません。
  もちろんそのような大きなゴールを持つことは必要です。しかし、それだけでは「今やっていること」の意義が見えづらくなってしまうのです。
  遠くから見る富士山は山頂まできれいに見ることができますが、裾野で見上げると山頂までは見えません。活動を進めるということは、裾野から一歩ずつ登っていくことと同じだと思うのです。
  そう考えると、遠くの山頂を目指すことが最終的なゴールだったとしても、もっと短い単位のゴールを設定して、一つ一つクリアしていくことで、気付いたらこんなに山頂に近づいていた、という方ががんばれるのではないでしょうか。

例えば、会議ごとにゴールを決めてみる。
  この会議では「○○を決めよう」と明確なゴールを決めて臨めば、参加者もゴールを意識して、協力して会議を進めようというムードになります。
  こうしたスモールステップを一つずつ積み重ねていった先に大きなゴールがある、ということを、参加者みんなで共有できると、やりがいにつながります。
  「ゴールを決める」ことで、「見通しを持つ」ことができます。
  活動を進める上で、この「ゴールを決める」ということを意識していただけるといいなと思います。

◆まず、やってみる

「ゴール」を設定するときにおすすめしたいのが、「まず何か一つ活動をやってみる」ということです。
  何か具体的な活動につながらなければ、前項で書いたように「なんとなく」時間が過ぎて、終わってしまいます。
  参加者が「やれた」という実感が持てるように、とりあえずでもよいので、何か一つ活動をやってみてはいかがでしょうか。

その活動を考えるときには、あまり大げさなものではなく、少ない人数でも、すぐにできそうなことを考えるとよいと思います。
  準備に時間がかかったり、あちこちの関係者との調整が必要な活動は、始めるまでにかかる労力が大きく、負担に感じてしまいます。
  会議ばかりを何回も重ねるよりも、小さくても何か具体的な活動をやってみる方が、良い点や改善点が見えやすく、それらを次の活動に反映させやすいでしょう。
  「小さくゴールを決めること」と同様に、活動自体も、スモールステップの積み重ねがよいのではないかと思います。

◆役立ち感が実感できる

さらにもうひとつお伝えしたいのが、参加者に「役立ち感」を実感してもらうことが大切、ということです。

これまでのコラムで、「地域学校協働本部」の組織立ち上げの段階から、どうしてこの組織が必要なのか、どのような目的で立ち上げるのか、といった「共通の土台」の部分(学校の現状や困り感)を、参加者が共有しておくことが大切です、ということをお伝えしてきました。

そこを共有していたとしても、冗長な会議ばかりが続いたり、何も決まらないまま時間が過ぎてしまうと、参加者は「地域学校協働本部」の活動に意義を見出せなくなってしまいます。
  ですから、先ほどからお伝えしているように、スピード感を持って、スモールステップの積み重ねで進めるとよいだろうと思うのです。
  また、そうやってどんどん活動が進んでいく中で、参加者に「この活動が役に立っている」という実感を持ってもらうことが、次につながっていくのだと思います。

何のためにやっているのか?誰の役に立ちたいのか?・・・それは、「子どもたち」ですよね。
  子どもたちの笑顔が見られるような活動を、小さなことから始めてみませんか。
  子どもたちの笑顔がやりがいにつながるような活動が、各地で始まるといいなと願っています。

(2016年12月26日)

斎藤さん

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住 の3人の子供たちの母。
小牧市立小牧中学校にて、2014年度に、開校以来初めての女性PTA会長を務めた。
2012年春、玉置崇先生が校長として小牧中学校へ赴任されたのを機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、3年間にわたり、PTAの各委員会活動だけでなく、学校HPで発信される「学校の想い」に応えながら「保護者の想い」を発信して、学校と先生を応援してきた。
学校と保護者の温かい交流がある「愛される学校」が、全国に増えるといいなと願っているお母さん。