愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第2回 】学校とPTAの距離感

今年度が始まり1ヶ月が過ぎました。どの学校でも、新体制のPTAが動き始める時期ですね。今回は、PTA役員としての保護者から見た「学校とPTAの関係」について、「始まりの時期だからこそお伝えしたい」想いをお話したいと思います。

◆先生もPTAですよね

我が小牧中学校の玉置崇校長先生が、赴任後初めてのPTA総会でおっしゃいました。 「英語の授業で、子どもたちに『PTAって何の略か知ってるかい?』と聞いたら、『Pは親、Tは先生、Aは集まって〜かな』という答えが返ってきました。笑い話のようですが、これはまさにPTAの本質だと思います。保護者と学校が集まって、協力しながら一緒に子どもを育てて行きましょう」

「PTA」というと保護者の活動のように思われていますが、本来は学校の先生方も会員です。
 しかし実際には、学校からPTA活動に参加して下さるのは、担当になってしまったので仕方なく…というほんの一部の先生方のみで、「一緒に」というには程遠いのが現状です。大変お忙しい先生方なので(PTAをやっているとよくわかります)、PTAが「余分な仕事」になってしまうのは仕方のないことかもしれません。でも先生方もPTA会費を払っていただいているわけですから、担当以外の先生方にも、もう少し関心を持っていただけるといいなと思います。

◆学校はPTAを活用するべし

学校はそれぞれ教育目標を設定します。そこには、「地域に開かれた学校づくり」のように、「地域や保護者と連携して教育活動を進めること」を掲げている学校がほとんどです。多くの学校で地域との連携を模索していますが、実際にはとくに都市部へ行くほど、学校と地域のつながりが希薄なようです。
 そこで「上手く成果が出ないな」という学校の先生方に提案です。もっとPTAを活用しませんか?
 もちろん、今でもPTAにはいろいろな協力をしてもらっていると思います。その「いろいろな協力」の内容を、見直してみてはいかがでしょうか? PTA活動の中には、長年の慣例で行われている活動がたくさんあります。PTA役員は、だいたい1年任期で代わっていきますので、例年どおりの流れを踏襲しがちです。それは悪いことではありません。伝統ある行事も大切です。
 しかし、校長先生が代われば学校の「経営方針」が変わるように、学校が目指す姿も変わっていきます。それに合わせて、新しい取り組みを始めたい、という動きも出てくるでしょう。そんな時、ぜひPTAに相談の声を掛けてほしいのです。「一緒に取り組んでほしい」という学校側の想いがPTAに伝われば、必ずPTAは協力してくれるでしょう。そうなれば、思いがけない新たな可能性が生まれることだってありますし、必ず学校にとってもプラスの活動につながっていくはずです。

◆PTA活動に満足感を

とかくPTAは嫌われ者で、保護者の「できればやらずに済ませたいことランキング」では、常に上位に位置していると思われます。各校のPTAでは、できるだけ保護者が参加しやすいようにいろいろ工夫をしていますが、残念ながら特効薬はなさそうです。
 そこで、先生方にもぜひ協力していただきたいことがあります。それは「声をかける」ということです。例えば、PTA役員のお子さんに「○○さん、お母さんに、いつもPTAで手伝ってくれてありがとうと伝えてね」と声をかけていただく。そうすると子どもはうれしくて誇らしい気持ちになりますし、それを伝え聞いたお母さんはとても感激します。声をかけてもらったことで、「学校はちゃんと見ていてくれている」という思いが「満足感」へとつながっていきます。
 小さなことかもしれませんが、多くの役員さんに「満足感」を持ってもらえれば、きっとPTA活動は「仕方なくやる」から「楽しいからやる」に変わっていくのではないかと期待しています。

◆学校とPTAの距離感を縮める

多くの保護者にとって、学校は高い垣根の向こう側にあって、なかなか近付けない場所です。PTA役員も同じで、最初は学校との距離を測りかねています。
 この「距離感」を少しでも縮めることが、学校とPTA(保護者)の信頼関係をつくるカギになるのではないでしょうか。距離を縮めるために、特別なことをする必要はありません。例えば、委員会の活動には担当の先生だけでなく、少し時間のある他の先生にも参加していただく。また、できれば校長先生にちょっと顔を出していただく。このような「一緒にやる」という経験は信頼感につながりますし、学校の姿勢が保護者に伝わります。
 どの学校でも、PTA活動が先生と保護者がお互いをよく知るための活動になり、さらに「縦につながる関係」ではなく「横につながる関係」になれるような活動になるといいですね。

(2013年5月13日)

準備中

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住の3人の子供たちの母。 頼まれると断り切れない性分で、幼稚園から中学校まで、何度もPTA活動に参加。
2012年春の玉置崇校長先生の小牧中学校赴任を機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、PTAの各委員会活動をHP上で保護者にお知らせしている。
また、学校HPで発信される情報に対しての「保護者の想い」を発信しながら、学校と先生を応援している。
他校にも「PTAの部屋」が広がって、「愛される学校」が増えるといいなと願っているお母さん。