愛される学校づくり研究会

★新教育コラム「出会いこそが教師をつくる」開始にあたって

 だれしも、教師人生に変化をもたらした、心に残る出会い(人、物、出来事など)があるといいます。このコラムでは、その出会いについてリレー方式で語っていただきます。

【第5回】背中を押してくださる校長先生との出会い
〜大府市立大府中学校 永井直美〜

「はい、わかりました。いいね。ぜひ、進めてください」笑顔が優しい校長先生の声です。校長先生が応援してくださる、と感じられる一瞬です。

2年前この学校に赴任したとき、新しい仕事に不安でいっぱいだった私に「新しい視点で気が付いたことをどんどん言って、学校のあり方を変えていってね」と優しく声をかけてくださったのは校長先生でした。
30年教員をしているといろいろな校長先生に出会いましたが、今の学校の校長先生は、その中でも最高に素敵です。校長先生を尊敬する理由は、たくさんありますが、その中で3つ紹介したいと思います。

まず、第一番目は、校長先生はユーモアがあり、職員室に笑いがあふれていることです。校長先生は知識が豊富で、判断力があり賢い方なので、本当は近寄りがたい存在なのに、いつ声をかけても仕事の手を止めて、笑顔で応じてくださいます。見習いたいと思い、実践しつつありますが、私は頭が固いので、ユーモアについてはまだまだ修行が足らないところです。

そして、第二番目、校長先生は、朝会の話が上手です。長過ぎず、的確にわかりやすく表現をしてくださいます。話を聞いている中学生も「ふーん、なるほど」という顔をしています。先日も、2か月前の朝会の校長先生の話を、特別支援の学級の生徒がきちんと覚えている場面を見ました。担任の発問に対して「校長先生が、“きらきらチャレンジウィーク”の話をしていた。ノーゲームデイは、テレビやゲームの時間を決めて、家族とのふれあいや読書、趣味などに時間をあてるといいよって。僕のうちでもやっています」と答えていました。2か月も前の話を理解して中学生が自分のものとして発信できる姿に私は感動を覚えました。そこで、早速、私もカメラでその場面を撮影し、学校のホームページで紹介しておきました。保護者からも、「学校の様子や子供の成長の様子がよくわかる」と好評でした。校長先生が、わかりやすく話をして言語環境を整えてくださっている成果が出ていると思いました。

第三番目は、校長先生は人の短所を指摘するのではなく、長所を認めて伸ばすのが上手、ということです。
私は、それまで、人の気になるところがあるとがまんできなくて愚痴を言うことが多々ありました。もし、私に今の校長先生との出会いがなかったら、自分自身に自信がもてないまま、生徒や同僚の欠点にばかり目が向いてしまう教師になっていたかも知れません。しかし、校長先生の人を見る目の確かさと温かさに触れ、周りの人たちの良さを探してほめることを意識できるようになってきました。人はほめられると、自信がついてさらに理想の姿に近づこうと努力します。よい循環が生まれるのです。

少経験者を中心にした校内の自主研修会も、リレー形式で「次、わたしやります」と1学期間続いてきました。「電子黒板の授業での活用法」「保護者対応」「大人の書道教室」「フラッシュ教材の作成」等、毎回、温かい雰囲気の中、小グループでの実習中は緊張感も走り、会が終わると「参加してよかった」と笑顔が広がります。校長先生に報告すると、「あの人、あんないいところをもっているのだね」と必ず講師役の教員を本人のところに行って、ほめてくださいます。

気が付いたことを改善していこうと思いつつも、2年以上が過ぎてしまいました。変えていこうと思ったことでもよくよく検討していくと、伝統校の良さが生かされていることがたくさんありました。授業改善については、「気軽に公開授業」を呼びかけ、教室がずいぶん開かれて変わってきました。もちろん、校長先生はいつも足を運んで的確なアドバイスと励ましの言葉をかけてくださいます。

今後も校長先生を見習い、伝統校の良さを生かしつつ、学校をよりよくしていき、自分自身も成長につなげたいと思っています。

(2012年7月30日)

出会いこそが教師をつくる

●永井 直美
(ながい・なおみ)

東浦町、大府市の小学校勤務13年、知多市、東海市、大府市の中学校勤務16年。現在は教務主任3年目。専門は数学教育。
今年は、日本語が話せない中国人3人の日本語指導に挑戦。何事もチャレンンジ!と前向きに取り組み、笑顔でコミュニケーションが少しずつとれるようになる。
「心を込めて!」がモットー。