愛される学校づくり研究会

★このコラムでは、「愛される学校づくり研究会」で発表された実践を掲載します。

【第4回】学校公開日にミニミニ講演会開催
 〜前・小牧市立光ヶ丘中学校長(現・海部教育事務所長) 玉置 崇〜

たくさんの方に来ていただきたい

せっかくの学校公開日(授業参観日)です。訪問者が少ないのはとても残念です。PTA役員の方と相談して、授業公開と並行して、教員による「ミニミニ講演会」を開催することにしました。
 「ミニミニ講演会」を思い立ったのは、保護者の皆様に教職員の「人となり」について、よく分かってもらいたいという思いからです。「教師という顔のほかに、このような素敵で意外な面がありますよ」と伝えたいと思ったのです。
 この「ミニミニ講演会」は、参加者数増加に必ず効果があると思いました。担任や部活動の先生が話すわけですから、保護者の関心を呼ぶはずです。しかも、教育の話ではありません。講演会場には、PTA役員によるお茶やお菓子のサービス付きです。人が来ないわけはないという自信がありました。

ミニミニ講演会の様子

<ミニミニ講演会の様子・光ヶ丘中ホームページから>

大盛況! リクエストが続く

結果はやはり大盛況。「次は○○先生の講演をお願いします」というリクエストが出るようにもなりました。
 ここで「ミニミニ講演会」成功のポイントを書いておきましょう。


(1)教員が15分間話す

初回は、特に話し手が重要です。ユーモアに富む話ができる(教師として大切な技術)職員から講演会を始めるとよいでしょう。
 講演に際しての注文は以下の三つ。

  • 話は15分間で終わる。
  • 笑いを1回はとること。
  • 教育の話はしないこと。

 さすが我が校の教師、笑いは1回だけではなく、何度も笑わせていました。笑いの質も上質です。会場は、共感的な笑い声でいっぱいとなりました。


(2)授業開始時刻に合わせて始める

講演の開始時刻は授業開始時刻と合わせるとよいでしょう。15分間の講演を聞いたあとは、もちろん授業を見に行ってもらうのです。授業は30分間ほど見ることができます。授業の後半(山場があればなおさらよい)をしっかり見てもらうという配慮です。


(3)会場で副食試食会を並行して開く

簡単に言えば、会場でお菓子とお茶のサービスをするのです。PTA役員さんに相談しました。「授業参観にお菓子とお茶をサービスする学校があっていいのですか」と批判された方は一人もありません。「どんなお菓子が良いでしょうか。お茶と言っても、コーヒーや紅茶があってもいいですよね」という方ばかりでした、少なくとも我が校では!
 しかし、教室で子どもたちが学習していると思うと、少々気が引けます。「給食に出される副食(プリン・クレープ・ヨーグルトなど)を試食するのであれば、たくさん食べることができます」というアイデアが出て、会場(通称:PTAサロン)では、副食がそれぞれ10個から20個ずつ並ぶようになりました。合計で100個から150個ほどです。食べることができる時間は、ミニミニ講演会以外の時間としていますが、あっという間に売り切れます。費用はPTA会費から出しました。


(4)講演者は会場でひとときを一緒に

講演後、会場で、保護者からの質問を受ける教員もいました。私もコーヒーを飲みながら、お母さん方と四方山話に花を咲かせました。ここで聞いた話が学校経営のヒントになるのです。互いに心を開いていますので、ズバッと核心を突くことを言われたこともあります。これは学校をよくしたいという思いから出る言葉であって、学校批判ではなく、学校応援であると素直にとらえることができました。

(2010年10月11日)

愛される学校づくり実践

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

1979年、教員生活スタート。教諭19年、教頭6年、校長3年、教育行政職4年目を迎えている。現在、愛知県教育委員会海部教育事務所長。ICTを活用した授業や学校経営で実績があり、2010年4月より、文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員に就任。「やってみなきゃ分からない」をモットーに、「思いついたら、すぐ動き出す」ところもあって、失敗は数知れず。そのくせ、ちょっとしたミスで、いつまでもくよくよ悩むタイプ。眠れぬ夜も多い。
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