愛される学校づくり研究会

★このコラムでは、「愛される学校づくり研究会」で発表された実践を掲載します。

【第2回】シンボルをつくり自慢できる学校に! 「成中といえばヒマワリロード」
 〜愛知県半田市立成岩中学校長 鈴木 正則〜

昨年7月、成岩(なわら)中学校の校庭に777本のひまわりが大輪の花を咲かせた。ひまわりが帯状に咲いている様子を「成中ヒマワリロード」と生徒が命名し、地元の新聞に「校庭150mヒマワリロード、生徒が育てた777本」と大きく報道された。ヒマワリロードは成岩中学校の自慢の一つである。

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生徒や地域が自慢できる学校をつくりたい

本校は都市文化と伝統文化が共存する地域環境にあり、地域は、学校に協力的である。この恵まれた教育環境を生かした教育活動を進め、"生徒が自分の学校を自慢できるようにしたい""地域の自慢の学校にしたい"これが校長としての願いである。自慢できる学校づくりを進めるうえで、「成中といえば○○が自慢だよね」と言えるような、○○にあたるものを模索した。

ヒマワリロードに込めた想い

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本校は伝統的に「花とあいさつ」をスローガンに草花の栽培活動とあいさつ運動を行っている。このスローガンに目をつけた。花の中でもひまわりは校章に用いられ本校のシンボルの花である。シンボルの花ひまわりを生徒が育て、学校一面に咲かせたら、素敵な学校になる。

本校は国道沿いにあり、地域の目がよく届く学校である。地域の方に、生徒が学校一杯にひまわりを咲かせた様子を見て頂けたら、地域の自慢になる。地域の声が生徒に届くことで、生徒の自慢にもなる。
 また、ひまわりを生徒や教職員になぞらえて、その人数分(777本)の苗を植えて育てたら、命を大切にする心情は高まるし、生徒の連帯感や愛校心も深まる。そう想い、ヒマワリロードづくりを始めた。
 昨年5月、一部の生徒とひまわりの苗を植え始めた。協力する生徒が増えてきた。それが委員会活動に広がり、草取りや水やり当番ができるなど生徒がひまわりを育ててくれた。ヒマワリロードづくりの様子は学校ホームページや学校通信を使って、逐次、保護者や地域に広報した。ホームページを見た地域の方から「花が咲くのが楽しみですね」といただいた一言に生徒は喜んだ。
 1学期の終わりには777本のひまわりが大輪の花を咲かせた。1学期の終業式の式辞では、全校生徒と教職員になぞらえた777本のひまわりが花を咲かせたことを祝い、新聞で大きく報じられたこと、地域から称賛の声をいただいたことを伝えた。全校生徒が喜びの笑顔になった終業式であった。

ヒマワリロードの命と想いを繋ぐ

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昨年、当時の3年生が、育てたひまわりから種を採り、「来年もヒマワリロードをつくってね。高校へ通学するときに見たいから」と後輩に想いを託してくれた。今年のヒマワリロードにはその種が花を咲かせている。

本年度、生徒会執行部が、"今年もヒマワリロードをつくり、花一杯の学校にする"ことを公約の一つにあげた。5月に行われた生徒総会では、生徒から「生徒のみんなでひまわりの苗を植えたらいいと思います」という意見が出された。また、4月、地域の方から「ヒマワリロード、今年もやりますよね。今年は私もひまわりを植えます」そう声をかけていただいた。

昨年のヒマワリロードの命は今年のヒマワリロードに繋がり、育てた想いは生徒に繋がり、本校生徒会の重要取組となった。また、想いは地域の方へも繋がっている。ヒマワリロードは、生徒と地域に「成岩中学校と言えばヒマワリロード!」と、シンボルとして定着し始めている。

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今年、委員会活動でひまわりの苗を育て、苗をうえる穴を掘り、6月、全校生徒と全教職員が一人1つ以上のひまわりの苗を植えた。今年は1000本のひまわりの苗を植え育てている。その中には地域の方が植えてくれたひまわりもある。7月末に「私のひまわりに花が咲きました」と女子生徒が私に報告してくれた。生徒の心にヒマワリロードが根付いていることがうれしい。

(2010年8月9日)

愛される学校づくり実践

●鈴木正則
(すずき・まさのり)

愛知教育大学大学院で数学教育専攻、複式学級の指導を皮切りに、小学校10年間、中学校8年間勤務し、多彩な教職経験をもっている。平成16年度から5年間、豊田市教育委員会指導主事を務め、平成21年度から半田市立成岩中学校長。愛知教育大学志水廣教授と算数数学教育について、教育図書や論文(日数教学会誌)を共同執筆、自主研修会を開催している。持ち前の明るさとバイタリティをいつまでも持ち続けることが私のモットー。