愛される学校づくり研究会

★このコラムでは、全国各地で教育の情報化に尽力されている皆さんへのインタビューを通して、情報化を推進するための肝について明らかにしていきます。情報化にかける思いや、予算獲得のポイントや学校現場での利活用率を高めるコツなど、様々な視点から語っていただきます。

【第8回】取手市編(その1)
 〜2年目にしてなくてはならないシステムに〜

*お答えいただくのは、茨城県取手市教育委員会指導主事の石塚康英さん。質問者は愛知県教育委員会海部教育事務所の玉置崇さんです。

玉置  石塚先生、はじめまして。まずは管轄をされている取手市内小中学校のICT化、特に職員室環境についてお話しくださいますか。

石塚  玉置先生、はじめまして。"あこがれの"玉置先生と対談させて頂けますこと、大変光栄に感じております。これを機会に今後ともどうぞよろしくお願いします。
 さて、取手市内小中学校職員室におけるICT化の進捗状況は以下の通りです。

平成16年度〜 校内LAN整備、学校と市教育委員会を結ぶ専用線(10M)整備
  学習指導用ノートPC配置(各校約20台)
平成21年度 教職員一人一台の校務用PC配置
  グループウェア導入(EDUCOMマネージャーC4th)
  USB型認証システム導入(サスティック)
 
 平成16年度に配置した学習指導用ノートPCは、主に教師が授業で活用するために導入したものです。文科省の地域指定を受けてネットワーク配信コンテンツの活用研究を推進していたのです。
 当時、教職員からは「学習指導用ノートPCを校務にも活用させてほしい」との要望が出ていました。教育委員会内でも検討したのですが、このPCは児童生徒の利用も想定されるため、「個人情報を含む校務には利用しない」との結論に達しました。
 となると、必然的に教職員は私物PCを持ち込んで校務に利用することになりますよね。情報セキュリティー確保についての通知や指示は、教育委員会も学校管理職も頻繁に行っていましたが、私物PCで個人情報を取り扱っていることに対する課題意識と不安感は誰もが抱えている状態でした。整備担当課では毎年校務用PCの予算要求を繰り返していたのですが、厳しい財政状況の中で実現の図られない状況が続いていました。
 平成21年度に予算が確保されたときは本当にうれしかったですね。このシステムを活用して2年目となりましたが、セキュリティーの確保、校務の軽量化等の面からも、もはや取手市教育委員会と市内小中学校にとって、「なくてはならないシステム」になっています。

玉置  2年目ですでに「なくてはならないシステム」となっているとは驚きです。そのような状況ですと、教育委員会と各小中学校との連携の方法に変化があったのではないでしょうか。

石塚  連携の方法が「簡単!便利!確実!」になったという感じでしょうか。それまで学校宛の文書送付は文書箱を経由して行っていました。文書は来庁する学校職員によって学校に持ち帰られていましたが、その頻度は多くても1〜2日に一度。全小中学校に文書が届くには数日間を要していたのです。また、急ぎの事務連絡はFAXを利用していましたが、「届いたかな?」といった不安をいつも感じていました。
 現在では、ほとんどの文書がグループウェア経由で送付されています。学校としては「今日は忙しくて教育委員会に行けないな」という場合でも文書だけは確実に受け取ることができるので助かるようです。
 教育委員会としても送付先一覧に表示される「既読」の文字が、確実に学校に届いたことを知ることのできる安心感となっています。当初は、「グループウェアの文書を頻繁に確認してもらえるのか」といった疑問の声もあがっていたのですが、「全ての文書をグループウェアで送付する」という教育委員会の姿勢を示したことで、特に校長・教頭・教務主任・事務職員に関しては、驚くほど頻繁に確認作業をしていただいています。FAX文書を「送った!」「受け取っていない!」といったトラブルも、もはや過去の話です。

玉置  これを聞いて羨ましく思う自治体や学校が多いことと思います。「全ての文書をグループウェアで送付する」という教育委員会の姿勢をきっちりと示し、それを貫徹されているからこそだと思います。システムを入れるだけではなく、いわばそこに命を吹き込むことを忘れてはいけないということだと思います。
 もう一つ、質問させてください。グループウェアを使い始めて、学校はどのように変わりましたか。

石塚  会議の効率化が図られた学校が多いですね。協議を必要とする会議にはきちんと時間をかけるけれども、伝達だけで済む内容はグループウェアを利用するといった学校が増えています。
 例えば、グループウェア活用に極めて意欲的な校長先生がいらっしゃる中学校は、「朝の職員会議廃止!」「放課後の職員会議は1時間以内!」が既に実現されています。この中学校の職員会議資料は、準備のできた資料から順次グループウェア上に掲載されていきます。教師には職員会議前に資料に目を通しておくことが指示されているため、自分の考えを整理した上で職員会議に参加することができるのです。以前なら提出の遅れた教師に合わせて職員会議資料が印刷されていたため、資料が会議直前に配付されることもよくありました。その場で資料を読みながらの会議では、いくら時間があっても足りませんよね。
 また、その中学校では、練習試合結果や剣道の昇段審査結果などを部活動顧問がグループウェアを利用して他の職員にお知らせしているようです。「おめでとう!良かったね!」と休日の努力を認められるような声を突然かけられたら、生徒は本当にうれしいでしょうね。

玉置  いいお話をありがとうございます。特にグループウェアを活用して、子どもとの結びつきを強めておられる事例は、すでにグループウェアを活用している学校でも「目からウロコ」の事例だと思います。ますますいろいろとお聞きしたくなりました。次回もお願いします。

(2011年1月31日)

我が町の情報化

●石塚康英
(いしづか・やすひで)

1986年、教員生活スタート。中学校教諭8年、小学校教諭13年。茨城県取手市教育委員会指導課指導主事4年目。専門教科は技術。現在、文科省「学校教育の情報化に関する懇談会 デジタル教科書・教材、情報端末ワーキンググループ」委員

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

現在、愛知県教育委員会海部教育事務所長。校長、教頭時代に校務の情報化に邁進。文部科学省発行「教育の情報化に関する手引」(平成21年3月発行)の執筆者の一人。現在、「学校教育の情報化に関する懇談会」委員。
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